「…スフレでいいわエレン。…でも変な子ね？魔法使いは皆、私達魔女を恐れて近付かないと言うのに…」

「…ふふっ。だってずっと夢見ていた事だもの！」

そう。以前からエレンは魔女と友達になれたらと思っていた。

それが今叶って、急に可笑しくなってきた二人は、どちらかともなくお互いに微笑み合った。



…それから二週間経ち、試験当日の朝。

エレンはいつも着ているドレスではなく、白いガウンを羽織って宮殿へと向かっていた。(試験は宮殿の中で行われ、試験を受ける者と検査する者はこのガウンを着なければならないという決まりになっている)

宮殿に入ったエレンは評議員三人と国王にお辞儀した後、部屋の真ん中に現れた大きな箱のような形をしたものの前に立ち、二回ほど深呼吸してから、目の前にあった扉を開け中に入った。

と同時に、電流が体内を駆け巡るような感覚が襲う中、箱の中に置かれていた白い紙を宙に浮かばせた。



ーこうする事で、体を通り抜けた電流が紙に当たり、紙色が変化する。そしてその色により、魔力の大きさや自分が選択した階級に応じた魔力が備わっているかが一目で分かるようになっている。

仮に選択した階級に適した魔力が備わっていなくても、筆記や能力、技術の三つが基本となっているので、それに適した試験が行われるのだ。


……やがて。白かったはずの紙が少しずつ赤く染まり始めた。(また、階級によって色が異なり、初級は青。中級は黄色。上級は紫。最上級は赤だ)

完全に赤く染まった紙は箱の中を一周し、箱の色を紙と同じ色に変えると、直ぐに机と椅子に早変わりした。

そこにゆっくりと腰を下ろしたエレンは、机の上から出てきた問題用紙と羽ペンを取ると、素早く解き、用紙を宙に浮かばせ立ち上がった。