第2章 出会いと旅立ち
翌朝。
朝食を済ませたエレンとミーシャは図書室の奥にある棚へと向かっていた。
ここには、昨夜見つけた書物のような、昔の伝説について書かれたものや、魔法に関するもの、経済学の本が並んでいる。
エレンはそこに並べられていた一冊の白い本を何の迷いもなく、手に取った。
だが、その本を開こうとした時…。
運悪く、二つ裏の本棚から評議員三人の声が聞こえてきた。これをセタームとリュードに知られたらまた何を言われるか分からない。そう思ったエレンは、素早く手に持っていた本をドレスの中に身に付けてあるコルセットの間に挟み込み、近くにあった経済学の本を読んでいるふりをした。
…間一髪。
三人が現れたのとエレンが本を開いたのはほぼ同時だった。
「…ここにおられましたか」
「…皆さん、おはようございます」
議長に声をかけられたエレンは後ろに居た二人を見た後、今まさに本を読み終えたばかりだと言うように元の場所へと戻した。
「昨日は二人が大変無礼な言い方をしてしまい、申し訳ありませんでした。…実はあの後、姫様が言っていた通り…シムズ国王は何かを手に入れようとしているのではと、ルパート国王陛下から連絡があったのです。…そこで試験が終わり次第、姫様の意見をお聞かせ頂く事となりました」
「…分かりました。…ですが私としましても昨夜の事は頭にきてますのよ?」
わざと拗ねた声を出したエレンに、三人は居心地が悪そうな表情を浮かべ、申し訳なさそうに会釈してから図書室を後にした。
それを見送るように見つめたエレンは急いで自分の部屋へと戻り、ベッドに腰をかけながら、試験について考え始めた。
朝食を済ませたエレンとミーシャは図書室の奥にある棚へと向かっていた。
ここには、昨夜見つけた書物のような、昔の伝説について書かれたものや、魔法に関するもの、経済学の本が並んでいる。
エレンはそこに並べられていた一冊の白い本を何の迷いもなく、手に取った。
だが、その本を開こうとした時…。
運悪く、二つ裏の本棚から評議員三人の声が聞こえてきた。これをセタームとリュードに知られたらまた何を言われるか分からない。そう思ったエレンは、素早く手に持っていた本をドレスの中に身に付けてあるコルセットの間に挟み込み、近くにあった経済学の本を読んでいるふりをした。
…間一髪。
三人が現れたのとエレンが本を開いたのはほぼ同時だった。
「…ここにおられましたか」
「…皆さん、おはようございます」
議長に声をかけられたエレンは後ろに居た二人を見た後、今まさに本を読み終えたばかりだと言うように元の場所へと戻した。
「昨日は二人が大変無礼な言い方をしてしまい、申し訳ありませんでした。…実はあの後、姫様が言っていた通り…シムズ国王は何かを手に入れようとしているのではと、ルパート国王陛下から連絡があったのです。…そこで試験が終わり次第、姫様の意見をお聞かせ頂く事となりました」
「…分かりました。…ですが私としましても昨夜の事は頭にきてますのよ?」
わざと拗ねた声を出したエレンに、三人は居心地が悪そうな表情を浮かべ、申し訳なさそうに会釈してから図書室を後にした。
それを見送るように見つめたエレンは急いで自分の部屋へと戻り、ベッドに腰をかけながら、試験について考え始めた。