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その目を向けられて
降谷零(安室透)成り代わり × 赤井秀一の3話目です。
「なあ、アンタさ…」
「…はい?」
『?』
ん?と聞きなれた声にふり返る。
そこにはミステリートレインで出会った少女、世良真純と沖矢昴がいた。
世良の事はよく知っている、自分が数日前まで死に物狂いで探していた男の妹だ。
彼女には主にベルモットが酷い事をした。
そしてそんな彼女に腕を掴まれている男には主に私が酷い事を。
「…何所かであった事ないか?」
「?……僕の記憶にはありませんが…」
「…ホントか?」
『(困ってるなぁ…)』
一旦通り過ぎたものの、どうしても気になって戻ってきてしまった。
じーっと沖矢の表情を見れば、相変わらず飄々とした顔だが困っているように見える。
いっぱい迷惑を掛けたしなぁ…と考えた黒凪は足を踏み出した。
…沖矢と世良だけを注意して見ていた黒凪には足元に居る子供達など見えていない。
「世良のねーちゃん、それぐらいに……」
『あれ?沖矢さん?』
「「!」」
世良と沖矢が同時にふり返った。
そんな2人に笑顔を見せ、首を傾げる。
どうしたんです?こんな所で。
少し睨むように目を細め、世良を見る。
すると世良は素直に沖矢の腕から手を離した。
『奇遇ですね。』
「ええ…」
「もしかして沖矢さんと安室さんって恋人同士なんですか!?」
『「え?」』
光彦がそう言い、そうなのか!?と元太と歩美が食い付いた。
彼等の勢いに弾かれた世良は沖矢と黒凪から少し離れ、コナン、灰原と顔を見合わせる。
一方沖矢と黒凪は顔を見合わせ、違う違うと否定する。
が、子供達は納得していないようで。
「だって安室のねーちゃん、ちょっと怒ってたぞ?」
『え?…えええっ!?怒ってないよ!』
「嘘!だって世良のおねーさんの事睨んでたもん!」
『それは離してあげてって意味で…』
ほら!と3人の声が重なった。
その声に「ゔ」と固まる黒凪。
ねーそうでしょそうでしょと近づいてくる3人の子供達からじりじりと逃げる黒凪に沖矢がくすりと笑った。
ちらりと沖矢を見上げた黒凪は目を見開き、一瞬固まる。
コナンも微かに沖矢の顔を見て目を見開き、徐に微笑んだ。
「それぐらいにしてあげてくれないかい?」
『…あ、どうも…』
「で、結局どうなんだよ!」
「ん?」
付き合ってるの?違うんですか?と元太、歩美、光彦の順番に質問が飛び交う。
うーんと眉を下げた沖矢は不敵に笑い、口を開いた。
そりゃあ勿論、魅力的な女性だとは思いますが。
その言葉にぼんっと黒凪は顔を赤らめ、きゃーっと子供達は笑顔を見せた。
『え、あの、えっと…』
「………やっぱ違うか」
わたわたと焦る黒凪を笑顔で見る沖矢。
その様子を見ていた世良は目を逸らし、頭をがしがしと掻いた。
兄ではないかと一瞬疑ったものの、あんなにほいほい女性を口説くような男ではなかった。
違うよな。と結論付けた世良はため息を吐き、肩を落とす。
「どうです?これからお茶でも」
『ええっ!?』
「おおー!ついに僕達少年探偵団のおかげでカップル成立ですか!?」
「すごいすごーい!」
いやまだカップルじゃねーし。…それに、
コナンは困った様に黒凪と沖矢を見上げた。
あの2人はそう言う次元の問題じゃ…。
そういう意味を込めて見ていれば、沖矢と目が合うコナン。
沖矢は片眉を上げた。
「(…え゙)」
「…そんな顔をするな、」
「『「!」』」
沖矢の言葉に世良、黒凪、灰原が目を見開いた。
顔を上げた黒凪は沖矢を見上げ「あ」と顔を青ざめて呟く。
本能的に「やばい」と感じた黒凪は沖矢の腕を掴み、ぴゅーっと走りだす。
えええ、と目を見開いた面々だったが、この後に予定があった為追いかける事はしなかった。
『おま、おまえ…!』
「…なんだ。やっと気付い」
『口調戻せバカ!流石に妹にはばれるぞ!?』
「……その"妹"よりお前の方が早かったみたいだが?」
だーかーらー!と眉を寄せる黒凪。
が、はっと目を見開くとまじまじと沖矢を凝視した。
ついこの間の調査の結論はお前と沖矢昴は別人だった筈なんだが…?
だから言っただろう?教えてやるからお茶でもどうですかって。
そう言った沖矢にぴたりと動きを止める黒凪。
『…いや言ってない!』
「ほら、行きますよ?安室さん」
『おま…いい加減にしろよ!』
「もう少し女性らしくお願いできますか?」
ふざけんな!そんな声が響いた。…ような。
やがて本当にお茶をした事がばれた2人は本当に付き合っているのかと追及された事は。
…また別の話。
勘違い?いいえ違います
(お前さぁ…、信じすぎだよ私の事…)
(それの何が悪いんだ?)
(もうちょっと警戒しろよ!私お前の事…)
(俺の事が?)
(きら……、……あーもう!)
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