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太陽のような人
奴良若菜成り代わり × 奴良鯉伴オチの3話目です。
「えええ!?何やってるの氷麗!?」
「すみませんリクオ様ー!」
「母さん何処!?母さんー!」
「黒凪様ー!」
どたどたと走りまわる2人のすぐそばにあった襖がガラッと開いた。
あ。と2人が見上げる先には寝起きの表情で頭を掻く鯉伴。
チラリと細められた目が向けられる。
リクオは思わずと言った様に「父さん…」と呟いた。
「母さんか?」
「あ、うん」
「……。そこ」
ぴっと指された方向にどたどたと再び走っていく2人。
鯉伴が示した方向に行けば洗濯物を干している黒凪。
「母さん!」「黒凪様!」と同時に発せられた声にゆっくりふり返る。
すると目をうるうるさせた氷麗と疲れ切ったリクオがいた。
『どうしたの?』
「うっ、…それが、…そのー…」
「母さんが作ってくれた朝食がさ…」
『?』
2人に連れられて台所に行けば見事に凍った料理達。
あら…、と呟いた黒凪にうう、と縮こまる氷麗。
すると彼女の頭に黒凪が優しげに手を置いた。
『大丈夫よ、今からでも間に合うわ』
「ほ、本当ですか!?」
『鯉伴様』
「んあ?」
普通の顔をしてしれっと現れた鯉伴にビクッと跳び上がるリクオと氷麗。
手伝ってくださる?と首を傾げる黒凪。
その様子をじっと見ていた鯉伴は「しかたねぇなぁ」と眉を下げると服の袖を上げた。
そこからは早かった。予想以上に2人のコンビネーションは凄く、たったの数分で再び朝食が出来上がる。
「よっ、おしどり夫婦!」
「流石は総大将とその奥方!」
「止めろよテメェ等…」
『止めてくださいな、皆様』
いやはや感服。
そんな声が飛び交いパチパチと拍手喝采。
その大半の声は飛び回っている鴉天狗や小妖怪のものばかりだが。
笑顔を見せた黒凪は嬉しげに鯉伴を見上げ、共に料理を運び始める。
「……仲違いせんで良かった」
「!…初代、」
「のぉ、鴉天狗よ」
「…本当に。」
一時はどうなる事かと思いましたぞ。
そうしみじみと言った鴉天狗。
あれ程までに関係が崩壊しかけていたものの、今では見事に修復されている。
鯉伴の夜遊びもあれからめっきり無くなり、浮いた話も完全に無くなった。
それ程の覚悟が黒凪にも伝わったのか、彼女も鯉伴への接し方を変えた様子が顕著に表れている。
「…ったく、リクオもさっさと立派になってくれねぇかね」
「何度も言ってるでしょ父さん…。僕は継がないって」
「っつったってよぉ、変化したって聞いたぜ俺ぁ」
『私も聞いたわ。本当?リクオ』
ゔ、と朝食を詰めた様な声が聞こえる。
小さく笑ったぬらりひょんは襖を開き、よう、と片手を上げた。
先に頂いて居ます、や、おはようございます、と声を掛けられるぬらりひょん。
ドカッと座った彼に湯呑が差し出された。
『おはようございます、ぬらりひょん様』
「ああ、おはよう黒凪さん」
「よぉ親父。皆腹空かしてたから先食ってたぜ」
「おう。構わん」
そう言ってぬらりひょんが茶を喉に流し込んだ時。
どたどたと騒がしい足音と共にガラッと開かれた襖。
現れた見覚えのない妖怪達に朝食を嗜んでいた全員が顔を上げる。
ギロッと向けられた目(主に鯉伴と他幹部達)に妖怪は一瞬固まった。
が、すぐに彼等に武器を向ける。
「奴良組だなぁ!」
「どっからどー見たってそうだろぉが」
「此処で死んでもらう!」
「やれやれ、朝から騒がしい」
気配を察するに、朝からかなりの数を率いて来たらしい。
徐に立ち上がった鯉伴、首無。
他は立つ事は無く何食わぬ顔で食事を再開した。
父親と側近が朝から敵と戦っている中、リクオは黒凪に茶碗を渡し、彼女は米をよそう為に立ち上がる。
襖を抜けて台所に向かう黒凪。
するとそれに目を付けた妖怪が1匹、彼女に向かった。
「黒凪!?」
「奥方様!」
『?』
「総大将の女だけでも始末してやるッ!」
黒凪は振り返り、此方に迫ってくる妖怪を見下ろした。
遠目に顔を青ざめた鯉伴と首無が見える。
彼女は徐に目を細め、胸元から凄い速度で拳銃を取り出した。
パァン!と鳴り響いた銃声にビクッと朝食を取っていた面々も体を跳ねさせる。
そして全員が黒凪を見れば、彼女はふわりと微笑んで首を傾げて見せたのだ。
『残念でしたね、腐っても極道の女房。不意打ちでは死ねません』
「うぉおお…」
「母さんいつの間にあんなの持って…」
「凄いです奥方様…」
ぱちぱちと巻き起こる拍手に困った様に笑って台所へ向かう黒凪。
その後を鯉伴が焦った様について行った。
炊飯器を開けた時、黒凪におぶさった鯉伴は彼女の胸元に手を差し入れる。
そして拳銃を取り出すと黒凪をチラリと見下した。
「んな物騒なモン何処で拾ったんだ?」
『側近の方に我儘を言って貰ったの。』
「なんでまた…。今回は役に立ったが、」
『私はね、弱いのは嫌なのよ』
あの人と一緒ではいたくない。
…なんて、口が裂けても言えないけど。
やっぱり気にしちゃんだから仕方ないじゃない?
その意味を込めて目を合わせる事はしない。
鯉伴は小さく笑うとぼそりと呟いた。
良い女だなぁ、ホントに
(ねー、僕のご飯まだ?母さん)
(リクオも来るか?)
(リクオもおいで)
(……恥ずかしいよ。)
((いいから。))
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