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なんだかんだ言っても
岸谷新羅 × 折原臨也。
「あ。もしもし?おはよー」
『起きてる』
「おはよ♪」
『…おはよ』
カチャカチャとキーボードのタップ音が響く。
ベットの上に座り、マイク付きヘッドホンを身につけてパソコンを扱う少女。
彼女はキーボードを叩く手を止めず「何?」と一言突然耳元のヘッドホンを乗っ取った男に返した。
一方少女に連絡を入れた青年、折原臨也は路地に身を隠し、あはは。と乾いた笑みを溢す。
「ねえ、俺の居場所わかる?」
『…アンタにあげた私の発信器持ってるなら』
「持ってる持ってる」
『………銀座?』
正解。と声が聞こえると同時に微かに銃の発砲音が聞こえた。
何やってるの、と問えばえっとね、と途切れ途切れに話し始める臨也。
大体の予想は付く。
彼の事だ、また面倒事に首を突っ込み今回は珍しく自分に不幸が降りかかったのだろう。
「助けてくれない?」
『…大丈夫じゃない?怪我しても兄さんが治してくれるし』
「怪我をする前提なの?」
『………』
黙る黒凪。
そんな黒凪に眉を下げた臨也は「待てコラァア!」と走ってくる男達から逃げ回る。
君は優しいよね、と特に疲れた様子もなく言う臨也。
本当に助けなくても大丈夫なんじゃないかと思ってしまう程に落ち着いた声だった。
「シズちゃんなら迷わずくたばれって言うよ?」
『……本当にくたばったら嫌だし』
「恋人だもんね」
『………助けないよ?』
やっぱり助けてくれるんだ?
臨也の軽口にブチッと無線を切ってやった。
そして変わらずパソコンのキーボードを叩く。
カチ、と実行キーを最後の仕上げだという様に押してやる。
画面に映る少し可愛げのある銀座の模型図。
赤い点が動きまわりその様子を目で静かに追う。
『…これだけ手助けすれば帰ってこれるでしょ、臨也』
壁に凭れかかり、重たい瞼をこする。
ため息を吐いた黒凪はパソコンを閉じ、眠りに着いた。
やがて自宅に帰った臨也は上着を脱ぎ、黒凪の部屋に入り込む。
覗き込めばやはり眠りこけている少女の姿。
「黒凪ー?…黒凪ちゃーん」
『…叩かないでくれる』
「起きてるー?」
『起きてる』
ぱちっと目を開いた黒凪。
相変わらず凄く顔が近い。
黒凪は徐に眉を寄せたが、臨也は依然笑顔のままだった。
むしろ更に嬉しそうに笑った。
「おはよ♪」
『……おはよ』
「心配だった?俺のコト」
『…ちょっとだけ』
素直だね。と笑って臨也が黒凪を抱きしめる。
それを甘んじて受けた黒凪はがしがしと頭を掻き、うー…と万歳をする。
するとバランスが崩れ2人してベットに倒れ込む。
それでも離さない臨也に「ちょっと、」と声をかけた黒凪は微かに目を見開いた。
『…寝てるし』
「……寝てないよ…」
『撤回。寝かけてる』
「そ。それが正解ー…」
そうとだけ言って眠ってしまった。
よほど疲れたんだろうか。
ため息を吐いた黒凪はもぞもぞと動き、パソコンを避難させる。
そして臨也の腕にすっぽりと収まると目を細めた。
『(起こされたばっかりなのに寝れるかな)』
「………」
『……(寝れるか)』
ゆるーい寝顔を見た黒凪は小さく笑い、目を閉じた。
温かい。ぽかぽかしてる。
特に考えようとしていないのに脳裏に浮かぶ言葉。
…本当に身勝手な人。朝起きたら居ないし、急に助けてって言うし。
たまに傷作って帰ってくるし。
『…心配なんだから、あんまり無茶しないでよ』
「んー…」
『…聞こえてるの?』
「……ん。」
聞いてないな?と問えばまた「んー…」と曖昧な返事。
聞こえてはいるんだろうけど、言葉の意味までは理解していないだろう。
そう結論付けた黒凪は今度こそ眠りに入った。
聞こえてるよ、
(全部聞こえてたって言ったら怒るかな?)
(それともまた知ってたよって言うのかな。)
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