家庭教師ヒットマンREBORN
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暴君 × 柔和
ザンザスの奥様妄想。
『あなた、お客様が……』
「ゔお゙ぉい!! 黒凪さん入ってくるんじゃねぇ!!」
『あらあら、まだ怒っているの? うふふ、元気ね?』
「ちょっ、」
ザンザスが放った酒の入った瓶を必死の形相で受け止めるベルフェゴール。
はー…、と心底安心した様な彼の様子とは打って変わってまだうふふ、と笑っている黒凪。
荒れ狂った部屋や中に居るベルフェゴール、スクアーロの心境から確実にほど遠い雰囲気を醸し出している女性。
彼女はマフィアとは程遠い容姿であるが、立派なヴァリアーのボス、ザンザスの妻である。
『うふふ、相変わらずにぎやかね。』
「ししっ、とりあえず出ててくれよ、黒凪さん…」
『え? でもお客様が…』
「いーからいーから」
無理に部屋の外に出したベルフェゴールは顔の真横に直撃した瓶にビクッと反応するといつもと同じくニヤリと笑い己のボスを見た。
スクアーロは「よくやったぁ!!」と叫ぶ様に言うと暴れるザンザスを宥めにかかる。
その様子を見ていたベルフェゴールはふうと息を吐き額の汗を拭った。
「ししっ、めんどくせー」
「落ち着けぇボス!!」
「るっせぇ!!」
元々キレやすいボスだが、彼が怒っている理由はいつもとは少し違っている。
ベルフェゴールはしし、と笑うと先程押し出した女性の右足に包帯が巻かれている事を思い返した。
彼女は怪我をしていて、それが原因でボスは怒っているのだろうが、あの傷は決して敵のマフィアや、まして自分達が付けたのではない。
あの傷も、今日の様に怒り狂ったボス本人が知らぬ間に傷つけてしまったものなのだ。
つまり今現在自分とスクアーロは彼の完全なる八つ当たりでこんな目に合っている。
だから先程自分は必死で彼女を護ったのだ。
また傷ついたとあらば次はどうなるか分からない。
『…ベル君、』
「? ししっ、まだかかるぜ?」
『ちょっと私からも言ってみるから』
「(…案外良い作戦かも?) …んじゃあ頼んでみっかな」
ごめんね、と中に入った黒凪。
勿論彼女の隣には何かあった時の為にベルフェゴールが付く。
彼女は静かにザンザスの元に行くとにっこりと笑って彼に声を掛けた。
『あなた。』
「あ゙ぁ?」
『私の事で怒ってくださっているんでしょう? でも私、暴力は好きじゃないわ。』
あまりのテンションの差にザンザスの勢いに若干ブレーキがかかったのが見て取れた。
そしてその激情を映した目が改めて黒凪へと向かい、
「…チッ」
スクアーロは怒りを鎮めた己のボスに我が目を疑った。
正直彼は黒凪の事をうっとおしく思っていた節もある。
なぜならば、どんな理由であれ彼女に傷が付けば確実に恐ろしいボスの怒りを買うにも関わらずただの一般人であるから。
一体何処で出会って今夫婦なのか、知る由もない。
自分がこの女性に出会ったのは、本当になんの前触れもなく唐突にザンザスが彼女を連れて籍を入れると言い放った日だった。
『お客様が居ますから、急いでくださいね。』
「…あぁ。全員一旦出ろ。」
『分かりました。後で一緒に片付けましょうね、あなた。』
「分かってる。…悪かったな。」
いえ、と笑った黒凪。
その顔をじっと見たザンザスは目を逸らし、早く行けと呆然と立っているスクアーロを睨みつける。
スクアーロは我に返ると既に出ているベルの後を追って黒凪と共に外に出た。
「…吃驚したぜぇ。アンタも立派にあいつの嫁さんなんだなぁ」
『え?』
「いや、正直あんな男を止められる女なんて一生見るこたぁねぇと思ってたんでなぁ…」
『うふふ、これでも夫婦ですからね。』
アイツがこの人を選んだわけが未だに分からねぇ。
だが、つまり妻と言うものはこういうものなのだろうと、ふと思った。
だって、妻ですから
(え? なんであの人をボスが選んだか?)
(あぁ。カマのテメェなら分かるんじゃねェのか)
(もうっ、そんなの運命に決まってるでしょ!)
(生憎俺は信じてねぇ)
(でも、お互いは会った時にこの人と結婚するだろうなって分かったらしいわよ?)