鬼滅の刃
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心を解かす、言葉
ほんの少し、ほんのすこーしだけ薄桜鬼の要素が入っている混合ものです。
もともと薄桜鬼に登場する”鬼”が日本に存在していた鬼なのですが、鬼舞辻無惨によって作られた存在が”鬼”ということになっていった…という感じです。
さらに無惨側の鬼たちにとって薄桜鬼側の鬼は稀血と同じで、大正時代にはほとんど絶滅させられています。
ちなみに無惨を鬼に変えた医者が作っていた薬に薄桜鬼側の鬼の一部も使われており、その影響で血鬼術で作られたものは物理攻撃でない限り薄桜鬼側の鬼には効きません。
――あの頃の俺の世界は灰色だった。
人を殺め、その報酬として受け取った金で飯を食う。
そんな汚れた金で、飯で作られた体を、また人を殺めるために鍛える。
任務には必要がないからと心を殺された弟たち。
すでに先祖によってその心を殺され、ただ同じことを繰り返していく、親たち。
すべてが俺にとっては、鬼畜だった――。
「おい。行くぞ。」
「…あぁ」
「ぼうっとするな、虚け!」
父の重い怒号が浴びせられた。
そちらに目を向ければ、その表情は無表情で。
何十年も前に殺された心は、この人の器にはもう戻ってこないのだろうなとまた目の前とは別のことを考える。
「天元。お前ももう15になるのだ。そんなことでどうする。」
「…はい」
「行け。」
父の声に合わせて6人の兄弟全員で一気に向かう。
目の前を走る5人の弟たちの背中を見て、目を細める。
俺には、本当はもう3人兄弟がいたらしい。
その3人は10つになる前に過酷な修行に耐えかねて死んでしまった。
明日にはこの中で何人残っている事か。
ただひたすらに任務へと向かって行く弟たち。俺はとてもそんな風にはなれそうにはない…。
そうしてふと視線を彼らから外したとき、草影の中に光る金色の瞳が見えた。
そして目を凝らすと、白髪が見え、その一部が赤い血で染まっている。
目を見開いたまま、前へと進み続ける中でその存在…女を凝視する。
『――。』
女が、こちらを見た。
話に聞く鬼の様に、額に生えた2つの角、金色の瞳、白い髪…。
その肩には大きな傷が入り、その血が飛び散ったのだろう、口元まで血しぶきが飛んでいた。
――ー俺は、今まで見てきたどんな人間よりもその人が美しいと思った。
同じ場所に女を探しに戻った時には、全員が寝静まった真夜中だった。
見つかりはしないだろう…そう思っていた。
しかし案外簡単に探していた女が見つかった。
洞穴の中でこびりついた血を鬱陶しそうに眺めながら過ごしていた。
予想に反して俺が洞穴に気づいて近付いても、女はたじろぐ様子すら見せなかった。
「…。」
『…迷子?』
女が微笑んで俺にそう問いかける。
俺はなんと返せば良いか分からなかった。
女の瞳と髪は黒く、昼間に見た角のようなものも見当たらない。
『貴方、暗い目をしているのね。同族を殺した人の目ね…。』
初めてそんなことを言われたように思う。
それはきっと、俺のような目をした人間しか、里にはいないからだ。
俺は持ってきていた着物と、真水につけておいた手拭いを見せた。
女はそれらを見て、俺の目をまっすぐに見上げて言う。
『ありがとう。』
その一言が、俺の心を解かした。
ありがとう。
(こんばんは。)
(…これ。)
(わあ、今日はおにぎり? ありがとう。)
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