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愛をはぐくむの、
お蔵入り小説大公開。
逆トリからのトリップを目論んでいたもの。
……え、ちょっと待って。
ポタッと一瞬で吹き出した汗が床に落ちる。
そして目を見開いて喉元にある刀を見下ろした。
…あとちょっとで首に当たるんですけど…?
刀を持っている本人は隈が酷い目で此方をじっと見ていた。
『ちょ、ちょっとあの』
「…………」
『…あ、の…?』
よく見れば自分よりも幾分か年下、か。
しかも日本人っぽい男の子だ。
だけど彼が持っている刀は大人が持つ様な大きな刀で。でもそれを軽々と持ち上げて。
喉元に、全く動く事無く。
ひた、と冷たい感覚が首に伝わった時、少年に誰かが思い切り突撃した。
どんがらがっしゃーんと机やらを倒して行った2人の少年に我に返ってずざざっと後ずさる。
「落ち着けって!」
「……、…!」
「分かった、分かったからとりあえず落ち着け!今は状況が解んねえし!な!?」
そこまで必死に怒鳴ってはっと目を見開いた少年は右手を物凄い勢いで動かした。
その右手をじっと見ていた少年はくたっと力を抜き、その事に息を吐いて此方に向く青い瞳。
綺麗な金色の髪が揺れた。
綺麗な顔立ちで、綺麗な瞳で、睫毛だって長い。
だけど此方に向く双眼は酷く疲れ切っていて冷たい。
それは地面に座り込んでいる黒髪の少年も同様だった。
『(なん、なのこの子達…)』
「…此処は、何処だ」
『此処、は』
ごくり、と金髪の少年が唾を飲む音が聞こえた。
一方の黒髪の少年は興味が無い様に己の髪を摘まんでいる。
沈黙が降り立ち金髪の少年の頬を汗が伝う。
その様子を見て少し目を見開いた。
ああ、なんだ。この子達もビビってるじゃないか。…この子達って言うか金髪の方だけど。
『私の家、なんですけども』
「…は?」
『いやだって、…私の家、だし』
「…なんでそんな所に俺達が…?」
え。…知らない。
そう返せば、ぽかーんと青い双眼が此方を見る。
再び沈黙が降り立ち少し冷静になった黒凪は眉間に手を持っていく。
待って、この2人は一体どうやって此処に来たの。
むむむと思い返せば突然上空にぱっと現れた事を思い出す。
そしてすぐさま自分を見た黒髪の少年は刀を……。
『…ね、君達ってさっきまで何処に居たの?』
「え、…自宅、に」
『…どういう事…』
「異世界に来た、とか?」
うえ?と見れば、少し頬を赤くして顔を逸らした少年。
自分でも現実味のない事を言っている事は自覚しているらしい。
だが確かにそれ以外は考えられない。だって普通じゃないもの。
そうだとしたらどうすれば良いんだろう、子供だし放り出せないし。
お金はあるから問題は無いけどさぁ…。
『…行くとこ、ないよね?』
「……ん。」
『はぁ…。じゃあ此処にいなよ』
「…え、…良いんですか」
急に敬語になった少年に少し眉を下げて頷いた。
すると立ち上がって勢い良く頭を下げてくれる。
どうやら育ちは良いらしい彼は頭を上げると刀を抱えて暇そうにしている黒髪の少年の腕を引いた。
立ち上がった黒髪の少年は金髪の少年を見上げ、彼の指を見る。
あ、あれって手話だ。
『耳、聞こえないの?』
「…はい。こいつ、生まれつきそうらしくて…」
『…それはどうして、』
「え、と…」
「ありぁとぅ、ござぃます」
たどたどしい言葉。
微かに目を見開いた黒凪はしゃがんで「うん」と頷いた。
すると黒髪の少年は変わったものでも見る様に微かに目を見開き、顔を伏せる。
黒凪は金髪の少年に顔を向けて口を開いた。
『ね、名前は?』
「…ウォレス、です」
『君は?…あ、そっか』
えっとねぇ、と手を動かす。
実は手話は昔習っていたから分かる。
結構上手い方だから伝わると思うんだけれど。
すると黒髪の少年は片手を上げて、それから下げた。
口を開く様子を見て「お、」と目を見開く黒凪。
「ニコラス」
『……ニコラス、ね』
「……」
『私は黒凪』
にこ、と笑えば少し照れたようにそっぽを向いた。
どうやら自分が話す事に対する私の反応が嬉しい、らしい。
何だよ、刀持ってるけど可愛いじゃん。
黒凪はニコラスの頭をわしゃわしゃと撫でてウォレスの頭も撫でた。
2人共頭に手を置いて顔を見合わせている。
『これからよろしくね、ニコラス、ウォレス』
「…は、い」
『うんで良いよ。これから一緒に暮らすのにそれじゃあ私の身がもたないから』
「…ん。」
…丁度1人で寂しかったの。
そう言えば嬉しそうにはにかんでくれた。
ニコラスも少しは唇の動きが読めるのか小さく笑っている。
でもちょっと困った様な、悲しそうな顔をしていた。
こんな出会いはアリ? ナシ?
(って顔に凄く傷あるけど大丈夫!?)
(え、あ、これは…)
(鼻血も出てるし!なんで平気なのさ!?)
(…゙これが普通だから゙)
(普通じゃない!)
((!))
(…手当てするから、おいで)
(う、うん)