HUNTER×HUNTER
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相棒は大切に。
フィンクス成り代わりのフェイタン寄り。
※夢主は女性です。
あらよっと。
気の抜けた声と同時に聞こえてくるのはその声に似合わぬ音。
ゴキ、やらパキ、やら。時折ボキッといっそ清々しい程に鳴り響く事もある。
そんな音を起こしながら人の波を抜けてくるとほぼ同じタイミングで隣に立った男。
『あっけね。』
「当たり前ね。こんな奴等強い筈が無いよ」
『つってもマフィアの端くれなんだからもうちょっとさぁ』
「おーい、フェイタンに黒凪ー」
終わったんならこっち来てよー。
そう声を掛けて来たのは目当ての宝があるビルの窓から身を乗り出すシャルナーク。
彼曰く自分は戦闘を好かないらしいが、頬にべっとりと付いた赤は明らかに血液だろう。
あの血の量からしてかなりの人間が居る事を悟った2人は顔を見合わせた。
そしてどちらから共無くニヤリと笑う。
『っしゃあ!待ってろシャル!』
「頼むよー?早めに……」
ってもう来てるか。
そう言って薄く笑ったシャルナークの視線の先には窓に足を掛けているフェイタンと黒凪。
早く入れ。わかてる。そんな会話をしながら入って来た2人。
十分シャルナークによって恐怖を植え付けられているらしい、部屋に居るマフィア達。
が、新たに現れた2人は明らかに別格だった。
「…さて」
『やりますか』
「おらおら退けェ!!」
ドゴォ!と壁が吹き飛んでその巻添えで何人かが一瞬で死亡する。
砂埃で視界が悪くなった光景にフェイタンと黒凪が同時に「あ゙?」とドスの効いた声で言った。
はっきり言って元凶は分かっている。
元々あまり旅団の情報は流したくないと言うのがクロロの考えだ。
それに大抵のメンバーは従って比較的、比較的静かに戦闘を繰り広げる。
が、どうも我慢できない奴が1人程居る訳で。
「おいウボォー。お前やり過ぎ…」
『ノブナガ…アンタ等此処とは真逆の棟だったんじゃ…』
「あ?向こうを殲滅したから来たんだろーがよ」
親指で背後を示すノブナガに従い其方に目を向ける。
…うん、見事に破壊しつくされている。
あーあ。とフェイタンと共に眺めている間にも背後ではウボォーギンが大暴れしていた。
その様子をチラリと見たフェイタンは舌を打つと刀を元に戻す。
「ワタシは降りる。好きにやてろ」
『え、マジで』
「………」
『えー…、マジで?』
嫌な顔をして黒凪を見るフェイタン。
一緒にやろうよ、あっちにまだ残ってるよ。そんな風に言って近づいてくる黒凪。
いつものパターンだ、とシャルナークが笑う。
どうも黒凪には"フェイタンと"共に戦うと言うこだわりがあるらしく戦闘には必ず彼を連れて行きたがる。
まるであれだ、おかーさん一緒にトイレ行こうよーってのと一緒だ。…あれ?違う?
『フェーイー…』
「早く殺らないとアイツに取られる」
「もう取られてるよ、残念だけど」
『え゙。』
ばっと振り返れば血の海、と死体の山。
そしてその中に立つゴリ…げふんげふん、ウボォーギン。
ビキッと額に青筋を浮かべた黒凪はうぉら!とウボォーギンの後頭部目掛けて足をぶつけた。
ドン、ゴォン!と鈍い音を立てて吹っ飛んだウボォーギンに次に「あーあ。」と肩を竦めたのはシャルナークとノブナガだ。
『おま、ウボォー!なんで全部1人でやるんだよ!』
「あー?そりゃおめぇ…、……なんでだろな」
『んの…』
「何やってる。帰るぞ」
あぁ!?と振り返れば無表情のクロロ。
ゔ、と動きを止めた黒凪はしぶしぶウボォーギンの上から退いた。
ウボォーギンも何事も無かったかのように立ち上がると「悪かったなぁ」なんて言いながら黒凪の頭を撫でる。
金色の髪には血がべっとりついている。
その血も固まりかけている訳で、しかもウボォーギンに撫でられたわけで。
…お分かりだろうか、今のウボォーギンによって彼女の髪がどうなったか。
『……あのなぁ、ウボォー…』
「おお、固まった血で見事に髪が。」
「へたなワックスより良いんじゃねえの?」
「あれか。無造作ヘアーってやつか」
ふざけた事言ってると…、
そこまで言って顔を上げた黒凪。
視界に小さな何かが入り込む。
頭で考えるよりも先に動く身体。
耳元をひゅん、と音と共に通り抜けたそれは背後の壁に激突した。
『…おお、あぶね…』
「ぐあっ」
『ん?』
「……残党が。当たたらどうする」
振り返れば男に刀を突き刺したフェイタン。
彼の一言と速さに誰かがひゅうと口笛を吹いた。
振り返ったフェイタンと目が合うと何故か血で不自然に固まっていた髪がぱさりと落ちる。
なんだよフェイのヤツ、機嫌悪…。
つかつかと近づいてきたフェイタンは黒凪の髪を掴んで引き寄せると頬をじいっと見る。
「…チッ」
『え、何』
「あーあ。黒凪女の子なんだから気を付けなよ」
「ギリギリで躱すからそうなるんだよ、馬鹿だね」
は?と頬に指先を寄せる。
どろりと付着したそれは真っ赤で。
遅れてやってくる痛みに「ああ、さっきの…」と呟いた。
何だよ機嫌悪いなフェイタン、と彼に絡むノブナガが思い切り睨まれている。
その姿を見て黒凪は微かに笑った。
当たったらどうする、ねぇ
(よくお前避けたよな、さっきの)
(正直ハエが突っ込んで来たのかと思った。)
(弾丸だったな。)
(うん。中々ビビったわ)
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