鬼灯の冷徹
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本当は大切だったりするのです。きっと。
閻魔大王成り代わりの鬼灯寄り。
※夢主は女性です。
ドォオオン!!
大きな破壊音が地獄中に響き渡った。
その音を聞いた子鬼達は顔を上げ、やがてやれやれと作業に戻る。
よく聞く、と言うより毎日聞く音だ。
「また鬼灯様怒ってるのかなぁ?」
「多分なー…。閻魔様もテキトーだし」
「あんなに閻魔様可愛いのにねー」
「…それ関係なくね?」
再び響く破壊音。
その音を間近で聞いていた閻魔大王、黒凪は眠たげな目を少し開いた。
ああ、やっと起きましたか。
地を這うような低い声。
顔を上げればすぐ傍に補佐官の顔があった。
『…あぁ、おはよう鬼灯君…』
「おはようございます。仕事中ですけどね」
『あは』
「……。」
はー…、と深いため息を吐いて体を離す鬼灯。
ぐっと体を伸ばした黒凪は破壊された壁を恐怖の表情で見ていた罪人を見下ろした。
罪人はぷるぷると震えながら顔を上げる。
閻魔大王と大きく書かれた机から顔をのぞかせた少女はちんまりとしていた。
その事に一瞬固まった罪人だったが、彼女が持ち上げた勺に目をひん剥く。
少女の体の何倍もある勺を軽々と片手で持ち上げたのだ。
『えっと、君は大叫喚地獄ね。はい次ー…』
「………」
『……………』
「起きろ」
ドゴォ、と再び壁に穴が空いた。
その音にぱちっと目を開いた黒凪は目をこすり、再び勺を持ち上げる。
その様子を見ていた唐爪と茄子。
彼等は用事を思い出して訪れたのだが、些かまだ時間はかかりそうだ。
『うー…、眠い…』
「全く。早く寝て下さいと言ったでしょう」
『ちゃんと寝ても眠たいのよ…』
「……はい、起きて。」
再び穴が空く。
毎回毎回訪れるたびに思うが、この穴だらけの部屋はいつもどうやって直しているのだろうか。
と言うかあれだけ鬼灯が凄んでいるのに普通に眠る彼女も凄いと思う。
やがて本日分の死人も全て通り終え、黒凪は今度こそ深い眠りについた。
そんな黒凪に上着をかけ、鬼灯は部屋を出て行く。
「あ、鬼灯様。閻魔様は?」
「今は眠っています。何か用事でも?」
「ああいやそんなに大事な用事でもないので…」
「なら放っておいてあげて下さい。…と言うより起きないと思いますがね」
全く困ったものです、と背を向ける鬼灯の額に青筋が浮かんでいた様な気がしたのは気の所為だろうか。
唐瓜はそそくさと帰ろうとしたのだが、茄子が無神経にも鬼灯を引きとめる。
はい?と普段と変わらぬ風に振り返った鬼灯だがやはり何処か怖い。
「閻魔様っていつも眠そうだけど、昔から?」
「…そうですね。昔からいつも眠っていました」
「へー」
「おい茄子!戻るぞ!」
あ、はーい。と歩き出す茄子。
その様子を見守っていると鬼灯の肩にふわっと上着が掛かった。
ため息を吐いて振り返る。
そこには鬼灯を見上げる黒凪が立っていた。
「…相変わらずどうでも良い時には目が覚めるんですね?」
『不思議だよねぇ。多分興味がある時は眠くならないんじゃない?』
「閻魔大王として死人に関する事にもう少し興味を持て」
『口調が悪くなってるよ?鬼灯』
鬼灯、と呼び捨てにした彼女にピクリと眉を寄せる。
が、彼は何も言わなかった。
今となっては鬼灯と言う名に゙様゙と付けられる方が多くなった。
いつの間にか目の前に立つ黒凪にも゙君゙と付けられる様になって。
彼女に鬼灯と呼ばれたのは随分と久々の様に思えた。
『君も大きくなったねぇ』
「…その節はどうもお世話になりました」
『そう思ってるならその棒読みどうにかしなよ』
「ああそれはすみません」
黒凪を見ずに行った鬼灯に「こらこら」とジャンプする黒凪。
鬼灯はチラリと彼女を見下した。
初めて地獄に来た時から黒凪は自分の側に居てくれた。
鬼灯と言う名を付けたのも彼女だ、育ててくれたのも彼女だ。
そして、自分が最も信頼して、大切で。
そう思える人もまた。
全ては彼女の存在があってこそ。
(鬼灯くーん)
(……)
(ほーおーずーきー。)
(………はぁ。何ですか。)
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