銀魂
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本当は聞こえていたくせに
from the theme of, 小悪魔なきみに恋をする [確かに恋だった]
「黒凪♪」
『……、』
肩をぽんと叩いて振り返る少女。
身長は神威の肩辺りに頭が来るほど。
少し赤みがかっているが似た系統の髪色をした長い髪を一つに括っている。
その後ろ姿は一瞬妹を連想させるが振り返った少女の目にはサングラスが掛かっている。
小さな顔には少し不釣り合いだった。
「今日の検診でもその目は治らなかった?」
『…えぇ』
「あらら。…それは残念だなぁ」
パシ、と音が響いた。
神威が突然振り降ろして来た拳を掴み取り、ぐぐぐと腕力のみで押し返す。
限界まで力を籠めるが神威の拳は押し返されることはなく精々その状態から動かない程度だった。
微かに眉を寄せた黒凪は足を踏み込み体に勢いをつけて拳を押し返す。
「っと。…なんだ、調子戻ってるみたいだネ」
『……チッ』
笑う神威に黒凪が無表情に舌を打つ。
その様子を見ていた阿伏兎は「おっとっと、」と距離を取る。
そして徐に側のレーダーを覗き込めばもう少しで目的の星に着く頃だった。
「おーい団長。あと数分で星に着くからそれまで…」
「やだね。」
『っ!』
思い切り振り降ろされた拳。
それを両手で受け止めた黒凪だったが力に押され船内の壁に激突した。
その様子に冷や汗を流す阿伏兎。
レーダーを覗き込めばまだ数分は掛かる。
『……くそ、面倒だな』
「お、やる気出た?」
『…あぁ。少し頭にきたよ』
「いいね。そうでないと」
神威が静かに腰を落とした。
気だるげに壁に凭れていた黒凪が目を神威に向ける。
冷たい目に神威はゾクリとし、笑顔を見せた。
サングラスが砕け散り赤い瞳が姿を見せる。
「アハハ。綺麗な色になったネ」
『お前がやったんだ。…感謝してるよ』
青筋を浮かべてそう言った黒凪。
彼女の瞳は元は神威と同じく青い瞳だった。
が、神威との喧嘩(殺し合いとも言える)で虹彩に傷が入り血の色をそのまま映してしまう様になった。
「可笑しいなぁ。あの時俺、ちゃんと殺せたと思ったんだけど」
『それは残念だったな。』
「君ってホント、殺し甲斐があるよネ」
『は、なめるなよ。お前にそう簡単に殺される筈が無い』
そんな会話をしながら目にもとまらぬ速度で攻撃し合う2人に只々脱帽するばかりだった。
おっそろしい2人ですコト…。と阿伏兎はため息を吐く。
そして辿り着いた星に目を細めると扉を一つ開いた。
その扉の位置が丁度蹴り飛ばされた神威の背後でその勢いのまま外に出る。
外の景色を一瞬見た神威はニヤリと笑った。
「ねぇ」
『あ?』
黒凪の右の拳を掴み取り、迫った彼女の左足も腕で抱え込む。
多少神威の横腹に衝撃があった筈だが彼はにやにやと笑っているだけだった。
びくともしない拳と足に黒凪が眉を寄せる。
「俺の子を産んでよ」
『…は?』
「そうすれば強い子供が生まれるだろ?そいつと戦いたい」
『…嫌だ。子供をそんな風に見る奴の子を産むものか。』
じゃあどんな奴なら良いのさ。
そうあっけらかんと問い返して来た神威に再び黒凪の額に青筋が浮かぶ。
黒凪が神威に捕まれている拳と足を動かそうと力を籠め始める。
神威も力をぐっと籠め踏ん張った。
『っ、離せ、』
「…まさか君、好きな人と一緒になりたいとか?」
『知るか、お前には関係ない…!』
「悪いケド関係あるんだよネ」
一瞬動きを止めた黒凪。
が、すぐに何も無かったかのように動き始める。
ぐっと歯を食いしばった黒凪は腕に力を籠めて体を持ち上げ神威の額に思い切り自分の額をぶつけた。
痛みが広がる額。2人の額から血が流れる。
それでも神威は手を離さなかった。
「ね、聞いてた?」
『…知らん。聞いてない』
「関係あるんだよ。俺、君の事」
『悪いが』
黒凪の真っ赤な目が神威を捕えた。
何も聞こえない。そう言った黒凪が再び思い切り額をぶつける。
ゴッ、と鳴り響く鈍い音。
今度こそ神威の手が緩んだ。
「っ、」
『…ふー…』
「…結構好きだって言ったらどうする?」
『……』
黒凪は顔を伏せたまま再び走り出した。
一瞬神威を捕える目。
神威に蹴りや拳が繰り出される。
それを軽く往なした神威は黒凪の顔を見た。
その表情は相変わらずの無表情で、いつも通りだった。
霧散した愛のことば
(お、今回は団長の負けだな)
(………)
(…おい。四肢または体の一部を破損した時点で勝ち負けが決まると決めたのは私達だろ)
(分かってるよ。強くなったネ)
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