銀魂
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どこかに灯るかすかなぬくもり
from the theme of, きっかけの恋のお題 [バツ印の使い方]
私は夜兎。
何故か幽閉されている身だ。
気づけば真っ暗闇の中で鎖に繋がれていたのだから、何らかの原因で記憶を無くしているのかもしれない。
いつもこの場所は真っ暗闇で、光何てもう随分見ていない。
酸素が保っている事が甚だ疑問だが、自分が生きているのだからどうにかなっているに違いない。
『(つか食事も食べて無い筈なのによく生きてられるな、私)』
無限にも感じられるこの空間での暮らし、そして時間。
目を細めれば辛うじて目の前に何かがある事は分かる。
恐らく壁であろう目の前の物体がもしも崩壊した時、私はどうなるのだろうか。
夜兎の弱点は太陽の光。恐ろしいものだ、数時間当たっていればすぐに衰弱してしまう。
その弱点にこれだけ触れていなければ光を見た時、私は即座に絶命するだろう。
《―――じゃあね、姉さん》
《お姉ちゃん……、行かないでよぉ…》
『………。』
偶に聞こえてくるこの2つの声。
青年と、小さな女の子の声。
誰なんだろう、自分の顔も覚えていない私には記憶の何処かにある彼等の事を思い出す術は無い。
会ってみたいと思った、話をしたいと思った。
でも光が怖かった。それ以前にどうやって此処から出れば良いのか分からない。
『……で、も』
私は外に出たい。こんな、何もない真っ暗闇何て嫌だ。
外に出て、光に当たって、彼等に会いたい。
出して。と掠れる声で言ってみる。
反応何て帰ってくる筈が無かった。
初めてこの場所で目を覚ました時に精一杯叫んださ、でも駄目だった。
―――なのに。
『(なんで、扉が開いてる)』
ゆっくり扉が開いて行く。
正直私はかなりの光が舞い込んでくることを覚悟していたのだが、開かれた扉の先から漏れる光は随分と弱々しいものだった。
この薄暗い感じとゆらゆら揺れる光は恐らく火の光。大方蝋燭だとかそこら辺の類だろう。
随分光を見ていない私の目は無意識に細まり、久々の微かな光に瞳孔が縮こまった。
「…っ、やっと見つけた…。」
『………?』
「っはー…。まさかこんな奥の奥に居るなんてなぁ…」
ずかずかと入り込んだ男の髪は銀色で、頬には汗が伝っていた。
恐らく走り回っていたのだろう、随分息を切らしている。
人間だ、とじいっと見ながら考えていると徐に人間の手が自分に迫った。
彼の手が黒凪の手を取り、持っていた木刀で足を縛っていた鎖を断ち切る。
そこで初めて私は自分の髪色が綺麗なオレンジ色である事を理解した。
「立てるか?」
『……っ、無理、かも』
「だよなぁ。……よっと」
黒凪を抱え、徐に頭に布をかぶせてやる。
遮られた光を名残惜しく思いながらも自分の体の力が抜けた事を感じ取る。
やはり微弱とはいえ光は自分にとってかなりの毒らしい。
少し速足に背負われながら進む。
「…俺は坂田銀時。アンタの妹にアンタを助ける様に頼まれて来た」
『……妹…?』
「あぁ。…黒凪、であってるよな?」
『ん。……あ、神楽…?神楽だよね?』
思い出した名前を言ってみれば、おう、と頷く彼…坂田銀時。
銀時は黒凪の掠れた声に一瞬心配げな目を向けた。
何も言わずに目を此方に向けた銀時を見た黒凪は少し目を細める。
そして徐に腕を持ち上げるとだらりとしていた腕を彼の肩に回し、首に抱き着いた。
『ありがとう、ございます』
「おう」
簡素な答えに目を閉じ、広い背中に体重を預ける。
申し訳ない気持ちは勿論あるが、気だるさに負けた。
もしかしたら寡黙な人なのかもしれない。
だってあれから何も話してくれないし、ずっと前を見ている。
顔が汚れているのだろうか、それとも知らぬ内に顔に傷でも入っていたのだろうか。
やーべぇ、顔見れねぇ
(銀ちゃん!アタシのプリチーなお姉ちゃんを助けてほしいアル!)
(あ?……本当にプリチーなんだろうな)
(当たり前ね!惚れたらぶっ殺すアル)
(ぶっ殺される事確定だな、こりゃあ)
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