銀魂
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大切で、大好きで、ずっと一緒にいたくて。
来島また子成り代わりの高杉晋助寄り。
恋愛要素薄め…?
「―――ほぉ、こりゃあ上玉だな」
『…買われる気は無いよ』
ここは島原。
今は真夜中だというのに、この場所はひときわ目立って明るい。
そんな道を歩いていた一人の男は檻の中で座っている一人の遊女に目を止める。
彼女は周りに縋りつく様にしている女性達の中で唯一金色の髪を持った遊女だった。
男は片目に包帯を巻いた細身の男。その鋭い眼光に怯える他の遊女達を護る様にその遊女は目付きを鋭くした。
彼女の目元には微かに隈が見えるが、化粧で上手に隠してある。
「…名前は?」
『……アンタの事は噂に聞いてる』
高杉晋助、だろう?
そう問いかけて首を傾げれば男…高杉は微かに笑みを浮かべた。
遊女は黙った高杉に小さく「黒凪だよ」と言い放つ。
それを聞いた高杉は更に笑みを深め、近寄って来た男に目を向けた。
男はどれが好みで?と問いかける。
その男にそうだなァ…、と目を細めた高杉は迷う事無く黒凪を指差した。
『私は嫌だね。帰ってくんな』
「…金は出してやる。女を寄越せ」
『ちょっと!やだって言ってんだろ!?』
黒凪はキッと高杉を睨むが、彼は知らぬふり。
他の遊女達と引き離された黒凪は金を現金で払った高杉の肩に担がれた。
この細い体の何処に女一人を担げる程の力があるというのか。
黒凪は静かに歩き始めた高杉の背中をどんどんと叩くが、知らぬふり。
やがて彼は宇宙船に乗り込み黒凪を降ろした。
そして近づいて来たサングラスを掛けた男に声を掛けると黒凪は問答無用でその男に連れて行かれる。
――――…これが、私と高杉との出会いだった。
彼は島原にいた私に一目ぼれをして即決で連れ帰ったらしい。
黒凪は親に売られた遊女だった。
借金があった為にその肩代わりとして働いていた。
高杉はそんな彼女に一目で惚れたのだ。
『晋助様、侵入者です』
「あ?…捕まえたんだろうな」
『えぇ、勿論。足を撃っておいたので逃亡は無いと思われます』
「ククク…、やっぱりお前は役に立つ」
"そこ"は問題ねぇんだがな。
そう言った高杉にピクリと眉を寄せた。
何がご不満で?
目を伏せて言った黒凪の顎を刀でくいと上げる高杉。
黒凪は静かに高杉を見上げた。
微かに睨む様に見る黒凪に高杉が笑う。
「万斉に何吹き込まれたか知らねぇが、俺は昔のお前の方が好みなんだがな」
『…戻れと?』
「あァ。是非とも頼みたいね」
『……こっちも清々するよ。アンタに敬意を払うなんてまっぴらだったんだ』
高杉がまたニヤリと笑った。
…随分と素直な反応が返り黒凪は思わず動きを止める。
黒凪は静かに目を逸らした。
「なんであんな風に振る舞ってた?」
『万斉が脅したんだよ。刀片手にね』
「…後で言っといてやろうか」
『別に。それがアイツの仕事だろう』
結っていた髪を解きドカッと座る黒凪。
高杉が吸っていたキセルを持ち上げ「要るか?」と問うた。
黒凪は高杉を見ずに手を差し出す。
渡されたキセルを黒凪は慣れた動作で口に銜えた。
『……随分クセのある奴吸ってんだね』
「俺ぁそれぐらいの奴が好みでね」
『何となく分かるよ。アンタ見てると』
「…アンタ分かってんのかァ?その俺が一目で気に入ったってこたァ…」
あー、分かった分かった。
それ以上は聞きたくないと言う様に煙を吐き出す黒凪。
ククク、と喉の奥で笑う高杉。
…随分と今日は機嫌が良いらしい。
「相変わらず酔狂だなァ、アンタも」
『…そう言う女がお好みで?』
「まぁな」
『私はまともな方だと思うんだけどねぇ…』
薄く微笑んで窓から宇宙を見る黒凪。
…なんだ、今日は随分機嫌が良いじゃねぇか。
高杉は黒凪の表情をじっと見つめた。
長いまつげが伏せられ、その表情に影を指す。
相変わらず浮世離れした美人だと思った。
「アンタがまともなもんかよ」
『なんでさ。そんなに変かい?』
「変なんてモンじゃねェな。頭一つ飛び抜けて…」
『飛び抜けて?』
一瞬で間合いを詰める高杉。
彼の細い指が伸び黒凪の手からキセルを抜き取った。
それを銜えた高杉の伏せられた目が黒凪に向く。
長い前髪が揺れて包帯が見えた。
「俺の好みにドンピシャなんだよ」
『っ、……そのドンピシャな女に煙吐くかい?普通』
「別に構わねぇだろ。アンタはもう俺のなんだ」
『確かに買われたが、此処はまだアンタのじゃないよ』
ぽんぽんと右手で自分の胸元を叩く黒凪。
その動作を見ていた高杉はニヤリと笑った。
問題ねェさ、そう言った高杉に黒凪の目がチラリと向く。
アンタは俺に惚れる、…必ずな
(初めて会った時に思った)
(この女と俺は互いの命が果てるその時まで)
(共に居るのだろうと)
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