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貴方のマジな顔。
相馬博臣成り代わりの佐藤潤オチ。
※夢主は女性です。
私は相馬黒凪。
ワグナリアと言うファミリーレストランのキッチン担当の20歳です。
隣で私と一緒に料理を作っているのは佐藤君。
彼も私と同じ20歳のとっても優しい人だ。
…でもそこがいじりやすいと言うか、彼の弱みを握っている私としては楽しいばかりである。
……それにしても最近ぽぷらちゃんから頭の悪い人を見るような視線を受けるのはなぜだろう。
と言っている内にも轟さんが出現した!佐藤君に言わないと!
『佐藤くーん!轟さんが出勤してきた――』
「うるせぇ」
『あいたっ!?』
ごつっと殴られた額を抑える。
くっ…、毎回毎回殴られる私だけど諦めないよ!
私は目の前の恋愛沙汰には手を出さないと気がすまない性格なんだからね佐藤君!
黒凪の視界に重い荷物を持ち上げて外に出て行こうとする轟がチラついた。
『ほら佐藤君轟さんが重そうなものを持って外に出て行くよ!頑張って佐藤君ここは任せたまえ!』
「……はぁ…」
『ほらキビキビ歩くんだよ佐藤君!ね、小鳥遊君!』
「え、あ、はい!頑張ってください!」
お前もか…、と疲れ切った顔を小鳥遊に向ける佐藤。
その表情に少し罪悪感を覚えた小鳥遊だったが、黒凪が轟と佐藤の仲を取り持っている事を知っているのだろう、笑顔で手を振った。
するとそれを見ていたぽぷらが小鳥遊の服の袖をくいと引っ張る。
目線を下げた小鳥遊は何ですか?としゃがんで首を傾げた。
「違うんだよ小鳥遊君…」
「え?何がですか?」
「佐藤さんが好きなのは黒凪さんなんだよ」
「え、……ええええ!?」
嘘でしょう!?と返せばふるふると首を横に振るぽぷら。
どうやら本当らしい。まさかの事実。
まさかあの優しくて美人なフロアチーフではなくあの掴み所が無くて佐藤さんに関してはちょっとウザい美人の相馬さんを選ぶとは。
物凄い感性だ…。と遠い目をして呟く様に言った小鳥遊。
するとありがとうね佐藤君と話しながら戻ってくる佐藤さんと轟さん。
『うんうん、良い感じだね佐藤君。そのままゴールだよ…。』
「……先輩、相馬さんは…」
「あの通り全然気づいてないんだよ…。」
「……。(佐藤さん、頑張ってください)」
佐藤は小鳥遊の憐れんだような目に一瞬目を向けると仕事に戻った。
隣では野菜を上機嫌に切る相馬が立っている。
こいつとは2年前程からの付き合いだ。
同い年で、同じキッチン担当で。…あまり話さない俺とは違ってすぐに話しかけて来た奴。
青い髪に優しげな顔とは想像もつかない様なドS野郎。人の弱みを掴むのが生きがいみたいな奴。
…それでもなんで俺は…。
『あ、佐藤君。』
「あ?」
『轟さんがのろけ話に来たよ?』
にやにやした相馬の顔を掴んで野菜に向け、とりあえず話しかけてきた轟の話を聞く為振り返る。
振り返った佐藤を見た轟は笑顔で京子さんが――。と話し始めた。
その様子を横目に佐藤が作っていた料理を仕上げる。
ふんふーん♪と楽しげに料理をする相馬に佐藤は微かに眉を寄せた。
「(俺の秘密を知ってるんだったら気づいてても可笑しくねぇだろ…)」
「?どうしたの、佐藤君」
「…何でもねぇ。(まさかワザと俺と轟を引き合わせてんじゃねぇだろうな)」
「それでね、この前も京子さんが…」
佐藤はイライラする、と髪をくしゃりと掴んだ。
流石に轟も彼の機嫌を見かねたのか仕事に戻るね、とそそくさと出て行く。
それを見た相馬は佐藤を見上げ、彼の腕を軽くこついた。
振り返った佐藤は目を相馬に向ける。
『何やってんのさ佐藤君。轟さん逃げちゃったじゃない』
「…お前には関係ねぇ」
『関係無くても気になるんだよ!早く2人共くっついちゃえば……』
「……なんで俺と轟の仲をそんなに気にするんだ」
え?面白いから。
と、真剣な顔で聞いて来た佐藤にあっけらかんと返す黒凪。
ピキ、と佐藤の米神に青筋が入る。
うおお、と自分の失言で佐藤が怒った事を悟った黒凪は静かに彼から離れる様に足を踏み出した。
が、佐藤がガッと彼女の腕を掴み「うわっ!?」と黒凪が目を見開く。
『な、何?佐藤君…。…怒った、とか?』
「………。俺が好きなのは」
『え?なんて?』
「…俺が好きなのはお前だ。馬鹿野郎」
佐藤の言葉にいつもの笑顔が崩れた黒凪。
ぽかーんとした表情で動きを止めた彼女を見ながら佐藤は手をゆっくりと放した。
…嘘だぁ。とやっと口にした黒凪。
が、佐藤の真剣な顔を見ると次の言葉を飲み込んだ。
そしてまじまじと佐藤を見上げる。
『(よくよく見てみれば稀に見ない佐藤君の本気の顔…と言うかキメ顔?え、これはマジなのか?)』
「……お前なら分かるんだろ、他人の性格だとか色々。」
『…う、ん…。佐藤君が本気なのは…分かった、かも』
「………」
黙った佐藤に顔を真っ赤にした黒凪。
そして口元を押させた黒凪を見た佐藤はばっと背中を向け、壁に手を着いた。
その様子を見ていた小鳥遊は何やってんだあの人達…。と眉を下げる。
佐藤さん助けてーとキッチンにやって来たぽぷらは真っ赤な佐藤の顔を見ると微かに目を見開いた。
「…ああー!?もしかして佐藤さん!」
「るせぇ」
「わわっ、お、おめでとう佐藤さん!」
「小鳥遊にでも助けてもらえ。」
ぽぷらの背中を押してキッチンから出す佐藤。
それを見た黒凪は赤い顔を同じく真っ赤な佐藤に向ける。
黙った2人は何も言わず顔を背け合った。
佐藤は気まずげに微かに眉を寄せて包丁を握る。
黒凪は彼に聞こえる様に天井を見上げてこう言った。
吃驚したけど、嬉しかった
(…結局どうなったんですか?)
(えへへ、それはね小鳥遊君)
(おい小鳥遊。これ持って行け)
(あ、ちょっと待って潤君!これ忘れてるから!)
(っと。悪いな黒凪)
(…成程。)
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