ワンピース
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笑うのも、走るのも、旅をするのも。
モンキー・D・ルフィ成り代わりのトラファルガー・ロー寄り。
※夢主は女性です。
『トラ男!…トラ男ー』
「…るせぇ」
『やっぱ起きてるじゃん。おはよートラ男』
「………」
刀を担いですっと背を向けるロー。
彼の様子にぷく、と頬を膨らませた少女黒凪はぐっと足に力を籠める。
そして思い切りその広くて大きな背中に飛びついてやれば彼は少し焦った様に此方を振り返った。
不意打ちだった所為か予想以上に揺れる背中と焦った表情。
黒凪はにぱっと笑顔を彼に向けた。
『おはよっつってるだろ、トラ男!』
「…トラ男じゃねぇ。ローだ」
『?…いや、お前はトラ男だ』
「………。はぁ」
呆れた様に重くため息を吐くロー。
黒凪は首を傾げると徐に彼の身体に足を掛けよじ登る。
ローの身長は随分と高い。
それとは一転して黒凪の身長は船員の中でもチョッパーの次に小さい。
ローは黒凪の軽い体重とその小ささに微かに目を見開いた。
『なんだよ、トラ男って名前嫌いか?』
「あぁ。嫌いだな」
『折角私が付けてやったのに?』
「頼んだ覚えはない」
ぷくく、とまた頬が膨らんだ。
彼女はゴムゴムの実を食べたゴム人間。
空気を入れればその頬は何処までも膨らむのだろう。
大きな丸い目が見えた。黒凪がローから降りて彼の前に立った為だ。
短い黒い髪が風に揺れる。潮風が2人の間を通った。
『お前さぁ、いっつもそんなに眉間に皺寄せてると人相悪くなっちまうぞ?』
「……俺はそれでも別に」
『人相悪いと悪者にされちまうじゃん』
「…何言ってやがる、海賊は元々…」
帽子を深くかぶりそこまで言った。
そこでこっち見ろよ、と帽子を取られる。
しまった、俺とした事が油断した。
いとも簡単に帽子を取られ思わずローが眉を寄せる。
そして顔を上げるとすぐ目の前に黒凪の顔があった。
『なんでだよ、お前良いヤツなのに』
「…あのな…」
『トラ男は良いヤツだよ』
「……。…返せ、帽子」
手を伸ばすがひょいと躱される。
やけになって何度も手を伸ばすが全て避けられた。
黒凪がシシシ、と笑って帽子をかぶる。
すっぽりと収まった帽子は彼女の頭には少し大きい様で。
彼女の手が帽子のつばを掴んでいないとずるりと目元まで落ちて行った。
『…暗いぞ、トラ男!』
「帽子が目元まで落ちたからだろ」
『でもお前いつもこれぐらい深くかぶってるじゃん』
黒凪の頭に乗った帽子を取り上げかぶるローを見上げて言った。
そんな黒凪をチラリと見て刀を肩に担ぎ直す。
みょーんと黒凪の手が伸びローがかぶった帽子をくいと上げた。
目に入る日の光に微かにローが目を細める。
『ちゃんと顔上げろよ!…世界ってこんなに明るいんだ。』
「…やめろ」
『おいおい、動くなって。帽子また取るぞ?』
ため息を吐いて大人しくなったロー。
黒凪はゆっくりと手を離すとローの肩を押して座らせた。
そしてその隣に黒凪も腰を下ろし空を見上げる。
空にある太陽はとても眩しかった。
『眩しいな、トラ男』
「………」
『…ちょっとは笑えってトラ男』
「……。…お前はどうしてそんなに笑ってられる」
微かに黒凪の目が見開かれた。
笑った方が楽しいからだよ、そんな短い返答が返る。
黒凪の笑顔が眩しく感じられたローは帽子をまた深くかぶった。
今度は黒凪がそれを咎める事はしなかった。
チラリと目を向ける。
黒凪は今度は海を見ていた。
『トラ男が居なかったらもう私はこの世に居なかったんだ』
「……」
『トラ男のおかげでまた太陽を見られた。海だって見られた。…トラ男には笑っててほしいんだ』
トラ男のおかげで私は笑えてるんだよ。
真剣みを帯びた声で言った黒凪に思わず目を向ける。
彼女は相変わらず楽しそうに景色を眺めていた。
ローの口元が徐に吊り上る。
それを見た黒凪もまた笑った。
『全部全部、ローのおかげなんだ』
「!」
『……。だからトラ男!笑え!』
「……笑わねぇ」
なんでだよ、と彼女は怒った様に言った
(あああ心配だ…)
(?…何が)
(ウチの可愛い船長があの男を無意識に口説いている!!)
(俺等も似たようなモンだっただろ。)
(俺が心配してるのはだな…!って寝てやがる!)
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