青の祓魔師
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なけなしハッピーエンド
藤本獅郎成り代わりのメフィスト寄り。
※夢主は女性です。
『こら、待ちな燐!』
「うるせぇババア!」
『誰がババアだあ゙ぁん!?』
「テメェだバーカ!」
待てェ!!
とドスの効いた声で呼ぶも我が息子ながら話を聞きやしない。
ったく、あんな喧しい餓鬼が神聖な教会に住む息子だと思うと…ため息しかでねぇ。
カツカツと肩を側に在った木で叩いていると遠慮がちな女性の声が。
ん?と振り返れば女性は悩みを聞いて頂けませんかと涙ぐんで言った。
そんな女性ににこっと笑った黒凪はどうぞ?と教会の扉を開いた。
『で、悩みとは?お聞きしますよ』
「はい…、実は夫が…」
そう、私はシスター。こう言った困っている人の話を聞くのが仕事の様なもの。
神様にも毎日祈りを捧げている私だが、見た目は全然シスターに見えない。
短い髪に、170cmという高身長。
言葉遣いも荒い。そりゃあ息子の燐にもババアと言われるだけの事は在ると思う。
だからかねぇ、アイツの…息子の悩みも今一理解出来ねぇのは。
――…なんだよ、最期まで息子の事も理解出来ねェのか。
思わず泣きそうになっちまった。
でも今目から流れ出てるのは自分の血なわけで。体も思う様に動かない訳で。
ああ、なんてこった。
息子の事で動揺しすぎてサタンに体奪われるとか馬鹿すぎる。
それにガタも来てる、もうこの体は間に合わない程に壊れているんだろう。
だって体中がいてぇもん。でも、息子だけは…燐だけは…っ
『あ、…たし……の!息子の、首ィ…』
「!?…お袋…っ」
『そう簡単に、獲れると思うなよ…、こんのクソ悪魔ぁ!』
【っ!?この…エクソシストォオオオ!!】
自分で心臓を思い切り突き刺した。
するとこれ以上干渉できないのか、サタンが体から抜けていくのが分かる。
よく見れば目からも、鼻からもありとあらゆる場所から血が溢れていた。
血が足りない上に、今の自分への一撃は致命的だ。
それでも、息子だけは護らないといけないからな…致し方ないわ。
どさ、と倒れて周りを見渡せば、共に働いていた弟子達が倒れている。
犠牲もこんなに出してしまった。何がシスターだこんちくしょう…。
「お袋!お袋ぉ…っ」
【自ら命を絶つとはな…、だがもう遅い。虚無界の門は開かれたの、だから…】
『…っ、さっさとのけ、悪魔野郎…』
「お袋ぉ!…くそっ」
待て!と声が響いた。
そちらに燐が目を向ければ、黒凪の弟子達が必死の形相で己を見ている。
その刀を抜いてはいけない、そう言っている。
が考えている時間は無かった、このまま放っておけば黒凪が死ぬ。
そう思えば考えている暇は無かった。
「死ぬな、クソババァ…っ!!」
『……り、ん』
「うぉおおお!!」
刀を抜いて振り降ろす。
すると周りに居た悪魔達が一気に消え去り、元の教会に戻った。
刀の刀身を鞘に戻しばっと振り返れば、目を閉じた黒凪が倒れている。
「お袋、」と呼びかけてみるが応答はない。
かた、と音が鳴り顔を上げれば弟である雪男が立っている。
何があったんだ、と目を見開いていた雪男は倒れている黒凪を見て急いで走り出す。
「母さん?…母さん!」
「~っ、う…」
「どれ、お見せなさい」
「!貴方は…」
燐以外の全員が目を見開いて現れた人物を凝視した。
燐もつられて顔を上げれば、黒凪の側には大きな白い帽子をかぶり傘を差した奇妙な人物が立っている。
ふざけた外見とは裏腹に真剣な表情で黒凪の様子を見ている。
そして彼が黒凪の額を軽くこつくと黒凪が微かに目を開いた。
『…な、んだよ…。メフィ、スト』
「…随分やられましたねぇ。貴方らしくない」
『……る、せぇ』
安心した様に微笑んだメフィストと呼ばれる男は黒凪を抱え上げ、瓦礫で埋まった壁に向かう。
そしてその瓦礫を一蹴りで吹き飛ばすと振り返り笑顔を燐達に向けた。
燐や雪男は黒凪が無事だった事に安心し放心状態だったが、彼の視線に顔を上げる。
「このゴキブリ並の生命力を誇る黒凪は今から治療をすれば一命は取り留めるでしょう♪と言う事で今から連れて帰ります♪」
「!助かるのか…っ!?」
「私が死なせません♪」
『お、い。誰がなんだってぇ…?』
横抱きにされている黒凪の膝がメフィストの頭に直撃した。
が、メフィストは動揺するでもなく黒凪を抱え直すとくるりと燐達に背を向けた。
その間に「やんちゃな人ですね♪」と嫌みったらしく話しかけ再び蹴りをくらっていたのは…見なかった事にしよう。
何はともあれ、タフな俺達の母親はどうにか助かるらしい。
それにしてもすんごい生命力ですね貴方は♪
(さてさて、一命を取り留めたら私と愛の誓いを交わしてくださるんですよね♪)
(誰が交わすか誰が。あたしは一生シングルマザーで通すんだよ)
(資金の面は?私が負担してあげてますよね)
(…だがしかし結婚は断る)
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