NARUTO
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無関心では、なかったのに。
うちはイタチ成り代わりのはたけカカシオチ。
NARUTO中編 "桃色に染まる"とは全く関係ありません。
※夢主は女性です。
『悪いね、サスケ』
「ぁ、う」
『…私が憎い?』
「っ、」
息をごくりと飲み込む我が弟に目を細める。
冷たい視線で、射抜く様に目の前の弟を見つめた。
徐々に恐怖で侵されていくサスケの目を見た黒凪は徐に微笑む。
ひっと小さな声を出してサスケの足が、腕がガクガクと震えだした。
『…殺す価値もないね。そんなに臆病じゃ』
「ね、えさん…」
『ん?』
「な、…で…父さん、達を……」
ガクガクと震える口元を制御する事が出来ないらしいサスケに笑みを向け続けた。
サスケは只々怯えて震えている。
ごめんね。怖がらせて。でも任務だから。
姉ちゃん、アンタを護らなきゃ。
許さなくて良いからアンタだけは幸せに生きな。
そんな思いを込めて…なんておかしいけど。
『バイバイ、サスケ』
「まっ…―――」
『……。』
首の後ろをトンと軽く叩いてサスケの意識を飛ばした。
完全に脱力したサスケを床に降ろし、血にまみれた部屋を見渡す。
壁際には2人仲良く倒れた両親が居る。真っ赤に染まっている。
表情を崩さずに窓から外に出て、電柱の上に立ち静まり返る周辺を見渡し静かに空を見上げた。
「―――黒凪の、姉ちゃん…?」
『!』
微かな声に振り返れば、そこには少し驚いた様に自分を見上げるサスケの友人が居た。
彼の名前はうずまきナルト。
公園で1人寂しげに遊んでいた彼に声を掛けたのは確か私だった筈。
今ではサスケと共に修行をしたり、遊んだり。とても優しい子だ。
『…ナルト』
「どうしたんだってば?俺ってばサスケの部屋に忘れ物…」
「姉さんッ!!」
「!?な、んだってばサスケ…、」
ナルトが唖然とする中サスケはヒステリックに叫び続けた。
だがその言葉はどうして、やなんでばかり。
クスリと笑った黒凪は口を開きかける。
しかし2人で並ぶナルトとサスケの姿を見ると言葉が喉につっかえた。
ああ、もっと2人の成長を見ておきたかった。
親が居なくなったサスケはナルトの様に強く生きて行けるだろうか。
『………2人で』
「「!」」
『2人で私を殺しに来なさい』
「え、」
黒凪の言葉に意味が分からないと言う様にナルトが声を発した。
サスケは何も言わず黒凪の顔を見続ける。
黒凪もサスケの顔を見返すと徐に印を結び始めた。
印を結び終わった時、耐え切れなくなった様に右目から涙が頬を伝う。
それを見逃さなかったサスケは大きく目を見開いたが、煙と共に彼女は姿を消した。
「待てってば!サスケ!」
「遅いぞナルト。流石は成績がビリなだけあるな」
「んだとー!?」
「こらこら喧嘩しない。」
いがみ合うサスケとナルトを宥めるカカシ。
その様子を遠目に見るサクラ。
アカデミーに居た時は互いにあまり話している所を見た事がないが、班が一緒になった途端に随分仲良くなった2人。
否、元々自分が知らなかっただけであの2人は仲が良かったのだろう。
だって、
「(だって、自分の目標を言ったあの時)」
《俺は姉貴を探し出して、………》
《…はいはい!俺ってば、サスケのねーちゃんを探して里に連れ戻して火影になるってば!》
《サスケの姉ちゃんと火影の関係性がまったく見えない夢だね》
カカシのもっともな言葉にうえっ!?と目を見開いたナルトはうんうん悩み始める。
その様子を見て少し笑ったサスケが手を上げた。
どうぞ、とカカシが促すと意気揚々と口を開く。
姉貴と面と向かって話がしたい。
そんな目標を言ったサスケを見てナルトが小さく笑った。
「(私が入る隙間何て…)」
「サクラちゃんってば!」
「え、きゃあ!?」
「…何やってんだ、お前等」
サクラは予想以上に近かったナルトの顔に驚いて尻餅を着いた。
彼女の叫び声に反応したサスケが道を少し戻り、ナルトと並んで覗き込む。
いたた…、と尻を撫でるサクラを見たサスケは徐に片手を差出し、サクラは微かに顔を赤らめて彼の手を掴んだ。
ぐい、とサクラを引っぱり上げたサスケは数歩進んで足を止めているカカシを見る。
「大丈夫かー?」
「大丈夫だってばよー!」
「だったら早く行くぞー、依頼人が待ってるからなー」
距離が遠い為だろう、間延びした会話をするナルトとカカシ。
その様子を見たサスケは少し笑い、両手をポケットに入れて歩き始めた。
少し背を丸めて歩くサスケにしばし見とれていたサクラはナルトの己を呼ぶ声にはっと我に返り走り始める。
数秒後、ガサ、と道の脇に並んでいる木々の葉が揺れた。
『(楽しくやってるみたいね)』
「なあなあカカシ先生ってば!」
「ん?」
「カカシ先生ってば歳いくつ?」
ナルトの突然の質問に微かに目を見開いたカカシ。
その様子を遠目に見ていた黒凪は徐に目を細めた。
確か、カカシさんの歳は……。
「26だけど?」
『(26、だったかな)』
「あれ?意外と若いってば…」
「意外とか言わないの」
そんな会話を小耳にはさんだサスケは地面に目を落とした。
自然に、無意識に自分の姉との歳の差を数えていたのだ。
やがて8歳差だと自分の脳内に導き出され、顔を上げる。
思っていたよりも歳の差がない。
それはナルトも感じていたらしく、ナルトが口を開いた。
「てか、黒凪姉ちゃんとあんま変わんねーし!」
「え?黒凪?」
「!…アンタ、知ってんのか」
「あー…、一応後輩だったからねぇ…」
だからあの子が里抜けしても今一現実味が湧かないって言うかさぁ…、と困った様に言ったカカシ。
そんな彼の様子に驚いた様にナルトとサスケが目を丸くした。
それは盗み聞いていた黒凪も同じだった。
確かに彼とは暗部での先輩後輩の間柄だ。
…まあ、親しかった様な気はするが。
「仲良かったしなぁ、これでも」
「仲良しだったんだってば!?」
「うん。あの子の部屋に俺が遊びに行ってたの知らない?」
「は?…知らねえ」
カカシのカミングアウトにサスケが更に目を丸くした。
まさか自分が子供の頃にカカシが来ていたなんて。
一度も見た記憶がないが…、と考えていると「ま、こっそりだったし」と彼が呟き考える事を止めた。
それにしても驚きだ。自分の姉と教官が実は仲が良かっただなんて。
つかあの子あの子ってちょっと親しすぎないか?
「…カカシ」
「んー?」
「……まさかアンタ、姉貴と…」
「ないない。よく同期とかに疑われたけど何もなかったよ」
だから安心しな、と笑うカカシ。
カカシをじいっと見ていたサスケは徐に顔を逸らし、フンと1歩先を歩き始める。
……何もなかった。確かにそうだ。
でも実際、あの頃共に居た私達の間柄は何だったのだろう。
互いの心情は一体どうなっていたのだろうか。
目を伏せた黒凪は気配を完全に絶ちその場から離れる。
「―――。」
「どうしたんだってば?カカシせんせー」
「…いや、何でも。」
「それよりもカカシ先生、この後の任務って…」
ああそうだったそうだった、と木を見上げていた視線をサクラに移すカカシ。
少し離れているサスケを呼び、今回の任務について足を止める事無く説明する。
…何もなかった。でもな、黒凪。
俺はあの頃、決してお前に対して無関心だった訳じゃない。
ただ、暗部である時点で。君がうちはである時点で。
相容れないのだろうとは、何処かで思っていた。
先に離れて行ったのは確か、俺だった
(父さんにばれてないでしょうね、カカシさん?)
(ま、大丈夫でしょ。多分。)
(ホントにサスケにだけは見つからないでくださいね)
(分かってるって)
(姉さん!修行…)
(今は駄目。許して頂戴、サスケ)
(……ふう、驚いた。)
(流石、反射神経だけで天井に飛び移るとは)
(伊達に暗部やってないからねぇ…)
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