NARUTO
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大切で、大好きで、ずっと一緒にいたくて。
白成り代わりの再不斬オチ。
NARUTO中編 "桃色に染まる"とは全く関係ありません。
※夢主は女性です。
もっと、あの人と一緒に居たかった。
これが本音。今までずっと文句も何も言ってこなかった、僕の。
最期の我儘で、ずっと思っていた我儘。
偉いでしょう?再不斬さん。
ずーっと僕は貴方の為だけに生きて来たんですよ。
「ホントに…殺しちゃって良いんだってばよ?兄ちゃん」
『うん、構わないよ。あとねナルト君』
「ん?」
『僕は、立派な女の子だよ』
そうカミングアウトすれば、ぽかーんと開けられる口。
彼は先程僕が殺した少年の事も忘れて、そんな間抜け面を僕に見せた。
素直に感情が表に出る子だな、と少し笑う。
見えない事無いでしょう?と首を傾げれば彼はでも、だって、とあたふたし始めた。
よく言われる事だ。見た目は立派な女だが、口調や行動からもしかして男かなと思われてしまう。
「だ、だって声とかちょっと低いってばよ!それに力もめっちゃ強いし…!」
『あはは、女だよ。好きな人だっているんだから』
「!…それって再不斬だってば?」
『……うん。ずっと、ずっと好きなんだ』
でももうお別れだね。と笑った黒凪。
それを見て眉を潜めたナルトだったが、頭を振ってクナイを握り絞める。
黒凪はそれでいい、とナルトを見下し両腕をだらんと降ろした。
こんな子供に負けるような僕じゃあ、あの人の役には立てないから。
どうぞ殺して?と目を瞑る黒凪に小さく頷いたナルト。
彼はぐっと足に力を籠めるとクナイを持って走り出した。
やっとこれで、死ねるんだ。
そう思って眉を八の字に下げた時、どくん、と心臓が脈打った。
あの人が危ない。
そう思った途端、目の前に迫っていたナルトのクナイを持つ手を掴んだ。
「!?」
『ごめんね、ナルト君。まだ僕は死ねない』
「っ!何処行ったってば…!?」
『(再不斬さん…!)』
片手で印を結んで、急いであの人の元へ向かう。
待って、待ってくれ。あの人は殺さないで。
あの人は僕を拾ってくれた、護ってくれた。優しくしてくれた。
あの人だけだったんだ、僕を側に置いてくれた人は。
あの人だけだったんだ。こんなに僕が必死になれる人は…!
失いたくない、この世界からあの人を消したくない。
――――居なくならないでほしい。
「!?」
『………』
「―――…黒凪」
唖然とした、あの人の声が聞こえた。
再不斬は目を見開いて、目の前に立っている黒凪を見下す。
カカシも目を大きく見開いて己の手を掴んだ黒凪を見た。
左胸部分に穴が空いているにも関わらず、凄い握力で己の手を掴んできた黒凪。
彼女の行動に目を見張っている時、再不斬の刀が動いた。
カカシは逃げようにも手を掴んでいる黒凪が居る為動けない。
「よくやった黒凪…。」
「っ、くそっ…」
『…げほっ、』
「終わりだカカシィ…。俺の相棒ごとあの世に送ってやる…!」
振り上げられた刀。
それを見たナルトは3人に向かう足の速度を緩める事無く声を張り上げた。
なんで黒凪諸共斬れる、カカシ先生早く逃げろ、そんな内容を叫んでいるのは分かるが黒凪の耳に鮮明には届かない。
それは再不斬やカカシにも同じ事。
ナルトの目が黒凪に向けられ、2人の視線が交わった。
黒凪はにっと笑って再不斬の振り上げられる刀を穏やかな目で見上げる。
それを見たナルトはクナイを再不斬の刀に当て、再び声を張り上げた。
「そいつはお前の事が大好きなんだってばよぉ!!」
「!」
『……?…再不斬、さ…』
「お前は嫌いなのか!?なんで…!」
好かれてる事が分からねえんだってばよ!!
そんな言葉が響いた。
再不斬はピタリと動きを止め、目を見開いて己の腕を見た。
動けない、いや…動きたくないとでも言うのか?この俺が?
再不斬はナルトに目を向け、カカシは黒凪の手から腕を引き抜き距離を取った。
黒凪はふらりと揺れると倒れ掛かる。
そんな時だ、クナイが己に向かっている事に気が付いたのは。
ナルトの物ではない。カカシの物でもない。誰から…?
そこまで考えた時、ぐっと襟元を引かれ目を見開く。
『ぐえっ』
「…………」
突然の事で変な声が出た。…恥ずかしい。
そんな事を考えている間にも再不斬の腕で肩を抱かれ、どうにか立ったままの体勢をキープする。
クナイは黒凪に当たる事無く地面に突き刺さり、黒凪は少し遅れてクナイが飛んで来た方向を見た。
そこには黒凪と再不斬を雇った張本人、ガトーが立っていた。
再不斬とカカシ、ナルト、そして黒凪。
4人の睨む様な視線を受け止めたガトーは背後に居る自分の部下達に命令し、向こう側からの攻撃が始まった。
飛んでくる無数のクナイから黒凪を護る様に刀を振った再不斬は殺気を溢れさせる。
「おい、戦えんだろ黒凪」
『…はい。大丈夫ですよ、僕はタフなので』
「ケリ付けるぞ。カカシはもう良い」
『分かってます』
カカシもガトーがあの様子では戦う理由は無いだろうとクナイを仕舞っている。
ナルトの元へ向かうカカシを尻目に再不斬は刀を、黒凪は針を持った。
2人で目を合わせ、一気に走り出す。
決着はすぐに着き、何事も無かった様に2人でカカシの元へ行った。
「…俺の負けだ、カカシ。俺はもうお前と戦う理由がねぇ」
『この人に死なれると困るんです。見逃してください』
「ああ。それは良いが…、あの、な」
「ちょ、兄ちゃんってば血!血が…!」
だから女ですって、と真顔で言う黒凪。
そんな黒凪の胸からは血が流れ続けている。
傷口を同時に見た再不斬と黒凪。
数秒間2人してじーっと見つめると徐に再不斬が黒凪の背中をバシッと叩いた。
痛いですよ、と笑った黒凪を見た再不斬は「この通り大丈夫だ」と真顔で言う。
『じゃ、逃げましょうね再不斬さん。追手とか来てますよきっと』
「…ああ」
「ちょ、ちょっと待つってば!」
「『んあ?』」
同時に振り返った2人にナルトは両の拳を握りしめ黒凪を指差してこういった。
「コイツ、再不斬の事好きなんだってば!」…と。
あ?と眉を寄せた再不斬に「ちょっと!」と目を見開いた黒凪。
さっきまでの緊迫した空気は何だったのか。何処からこんな空気に…。
見つめ合う2人。その様子をニヤニヤと見ているナルト。
僕だって恋する乙女です。
(うわぁああ!ちょっと追いかけないでくださいよ!!)
(…逃げるからだ)
(うわっ!?)
(すげー…、再不斬一瞬で兄ちゃ…姉ちゃんの前に行ったってば)
(サスケくんんんよかったああああ)
(!?サスケ無事なんだってば!?)
(いーやー!来ないでぇええええ)
(じゃあ行かねぇ)
(嘘ですううう)
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