D.Gray-man
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言葉の綾
from the theme of, 言葉で3題 [言の葉屋]
「…ついて来るな」
『え。なんで』
「コムイが持ってきた情報にもあっただろ。此処には複数のアクマが居るんだよ」
『…手分けして片付けようって?』
チッと舌を打って頷いた神田。
随分とイライラしている。
…仕方ないじゃん。言葉足らずなアンタの考えを組み取った私の身にもなれっての。
口には出さず毒付いて歩き出す。
背を向ければ神田は何も言わず歩いて行った。
『…おいで、天使ちゃん。』
【ちゃんと名前を呼んでくれないと。】
【そうそう。誰が呼ばれたのか分からないじゃない】
【それで?お呼びなのは誰。】
巨大な翼を持ち端正な顔立ちをした男性の天使、目を閉じた派手な印象の女性の天使、白いベールで顔を隠した男性の天使が現れた。
3人全員が主人である黒凪の2倍程巨大な姿をしている。
彼等は周りを見渡すと一様に目を細めた。
【あら。かなり居るのねぇ】
【相変わらず大雑把だね黒凪。それともまた仲間から1人離れて来たのかい?】
【僕等の一撃が強すぎるから?】
巨大な翼を持つ天使、ミカエルとベールに身を包んだガブリエルがそう問うた。
黒凪は違う違うと笑って眉を下げる。
そんな主人の顔を横目にアクマに向き直った天使達。
女性の天使ラファエルが黒凪の前に立った。
【頼むよラファエル】
【私に護れないものは無いのよ、ボウヤ】
【あはは。そうだったね】
【ミカエル。さっさとやろう】
あぁ。とミカエルとガブリエルが前を向く。
黒凪の周りに薄い壁が現れた。
目を細めて黒凪が2人の天使の背中を眺める。
彼等2人から放たれた光は一瞬で複数のアクマを消滅させた。
『ありがとう』
【お安い御用。】
【また呼んでも良いわよぉ】
【……】
すぅっと消えた3人に手を振り黒凪は再び歩き出す。
するといつの間に此方に戻って来ていたのか、向かいの道から神田が姿を見せた。
あ。と黒凪が笑顔を見せる。
しかし神田は大きく目を見開き此方に走り出した。
「こっちに来い!」
『は?』
「黒凪!」
神田の様子に怪訝に振り返る。
――しまったと思った。
ニヤニヤと嫌な笑顔を見せるアクマが此方に迫っている。
彼が飛び込んでくる。
あぁ駄目だ。死んじゃ駄目だ。
…私も、彼も。
『っ、』
「六幻、」
『…セーフ。』
「抜刀!」
一瞬で斬り伏せられるアクマ。
横腹をかなり抉られた黒凪は膝を着いた。
体をペンタクルが覆う。
ピシッと右腕辺りで音が鳴った。
『イテテ、』
「くそ…!油断してんじゃねぇよ、」
『ごめんごめん。…でもなんで此処にいんのさ、ユウ』
「あぁ!?」
アンタついて来るなって言っておいてついて来たの?
またピシ、と頬から音がする。
神田が苦しげに眉を寄せてその頬に触れた。
冷たい手が、アクマには容赦のない手が。
もうほぼほぼ感覚の無い頬に優しく触れる。
「…言葉の綾だ、馬鹿野郎」
『はぁ…?』
「お前を独りにする気なんて更々ねぇよ」
『…独りにしたくせに。』
独りにする、くせに。
右目にまでヒビが進んだ。
パキッと右腕が朽ち果てる。
微かに動いたアクマが最後に力を振り絞る様に神田の背に弾丸を撃ち込んだ。
彼の頬にもペンタクルが現れる。
黒凪はくっと笑った。
『ばーか。態と受けてんじゃないよ』
「…るせえ」
『私と一緒には来れないくせに。…ホントばか…』
パァン、と完全に砕けた黒凪。
やがてペンタクルが引いて行く。
神田は何も言わず、表情も変えず立ち上がった。
馬鹿はテメェだ。
「…俺より先に逝くなよ」
俺は、死にゆく人間を追う事は出来ない。
死にたい時に死ぬ事は出来ない。
そんな俺の目の前で死んでいくお前の様な人間は。…そんな奴だけは。
ずるいよね
(貴方を放って聖戦から離脱した私の心は)
(張り裂けそうなほどに痛んでる)
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