名探偵コナン
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out of nowhere
留学生の夢主が赤井さんと出会う妄想話。
≪パスポートは?≫
『持ってる持ってる。』
≪入学許可証の写しは?≫
『うーん…、うん、持ってるよ。』
携帯で電話をかけつつそう話す黒凪はカバンを閉じて立ち上がり携帯を手に持つ。
『じゃあお母さん、学校行ってくるね。』
≪気を付けてね。ホームステイのジェシカさんにもちゃんと挨拶していくのよ。≫
『おっけい。じゃあ行ってきまーす』
そう言って画面に向かって手を振り、通話を切る。
携帯をポケットに入れて部屋を出ると、丁度ホームステイマザーであるジェシカが何処かと電話で話している所だった。
私が住むホームステイの家にはジェシカ、彼女の旦那さんのジョー、そして息子のショーンが住んでいる。
「ええ、ええ。…わかったわ、丁度黒凪の部屋の隣が開いてるの。彼女に確認してから……、ええ。」
『(ん?私も関係してる事?)』
「ふぅ。…あ、黒凪。おはよう。」
『おはようジェシカ。どうしたの?』
それがね、と話し始めたジェシカ。
短い話、他のホームステイでトラブルに遭った日本人が新しいホームステイファミリーを探しているとの事だ。
「で、その日本人が男の子だっていうのよ。貴方と同い年。隣の部屋に男の子が住む事になるけど大丈夫?」
『うん、大丈夫。ショーンも17歳でほとんど私と同年代の男の子だしね。気にしないよ。』
「そう?じゃあとりあえずそう伝えておくわ。今日は入学式の前日の顔合わせでしょう?道はわかる?」
『大丈夫。じゃあね!』
勿論今までの会話は全て英語だ。
日本で英会話教室に行ったり外国人と話す機会を設けたりと随分と苦労した。
それにしても外国人の年上と話すのは初めてだし、英語独特の敬語がない話方というのにもまだむずむずしている。
「――…もしもし、赤井です。」
イギリス訛りの英語が薄暗い部屋の中で響く。
≪もしもし、お世話になっております。先ほど受け入れのホームステイ先が見つかりました。アドレスを言いますのでメモの方大丈夫でしょうか?≫
「はい、大丈夫です。」
言われたとおりにすらすらと紙にアドレスを書いていく。
書き終えた頃に「早速今日から移動して頂いて大丈夫だそうです」と相手が言った。
その言葉に「わかりました、ありがとうございます」と簡素に返して電話を切る。
「…はー…やっとここから出られるな…」
けだるげに放たれた彼の言葉は、宙に消えて行った。
『ただいまー…っと、』
扉を開けた途端に見えた大きな紺色のスーツケース。
瞬時に「ああ、今朝言ってた…」と後に来る予定である日本人のものであると理解する。
それと同時にくすりと笑った。
『(今日電話して今日来るって事はよっぽどひどいホームステイだったんだ。)』
ま、この家なら安心だろうなあ。
そんなことを考えているとジェシカの声が徐々に近づいてきた。
「まだ息子のショーンは学校で、もうすぐ帰るわ。他の日本人も…あら、」
『ただいまジェシカ。日本人の彼来たの?』
そういったと同時に彼の姿が見えた。
緑色の目、黒いくせっけの髪。それに随分と高い身長。
日本人って言ってたけどハーフじゃん。そう考えてとりあえず英語で挨拶をする。
『Hi, nice to meet you. I'm 黒凪.』
「It's a pleasure to meet you too. I am Shuichi.」
彼、シュウイチと言うのか。
そんな彼から返された英語の言い回しと発音に片眉を上げる。
『貴方イギリス人?』
「あぁ、そうだよ。君は日本人だね。」
『そうだよ。訛ってるでしょ?』
「いや、そんなに。俺がネイティブじゃなければわからないさ。」
英語のままで会話は続行。
初めてのイギリス人にドキドキだったが、とりあえず英語で話し続けてくれているのだから私の言いたいことは分かっているらしい。
嬉しさで頬が緩んだ。頑張って勉強してよかった!
「このまま英語の方が良い?それとも日本語?」
『え!日本語わかるの?』
「わかるよ。少し日本に住んでたから。でも君はここで英語を勉強したい筈だし、英語でずっと話そうか?」
『うん、そっちの方が貴方も気分いいでしょ?それでいいよ。』
そんな会話をした2人を見計らい、ジェシカが「それじゃあ…」と口を開いた。
「これからシュウイチがこの町と家に慣れるまでは貴方が色々と助けてあげて、黒凪」
『分かった。ねえシュウイチ、家の中は一通り見た?』
「あぁ。後は荷物を片すだけだな。」
『じゃあ今日は荷物を片付けた方が良いね。また町は今度案内するよ。』
そりゃあいい。ありがとう。
そう言って微笑んだシュウイチはとても同い年に見えないほど落ち着いている。
『ちなみにあなた学校は?どこの学校?』
「ここから近いよ。明日入学式なんだ。」
『え!それもしかしてこの学校?』
「あぁ。」
一緒だ!と笑顔で言うと少しだけ目を見開いて「そりゃあいい。」とまたシュウイチが言う。
どうやら新しいハウスメイトは学校も同じらしい。
『じゃあこれから一緒に登校だね。』
「そうだな。」
にっこり笑って言ったシュウイチに黒凪もはにかんだ。
It's meant to be?
(シュウイチ、起きなよ、遅刻だって。)
(私がシュウイチの目覚まし時計になったのは)
(学校が始まって1か月後の事でした。)
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