名探偵コナン
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はんなり男子の破壊力
服部平次成り代わり。
遠山和葉寄り。珍しく男主。
「――和葉ちゃん、服部君! こっちこっち!」
「あ、黒凪!あっちやて!」
『あー、こらこら。あんま走りなや』
「…あれ!園子ちゃんもおるやん!あ!コナン君もおるで黒凪!」
コナン君もおるん?なんかあったんかなぁ。
和葉に手を引かれながら流暢に言った黒凪に「何言うてんの、お迎えに来てくれたんやろ!」と返しながら和葉が走って行く。
引きずられる様にして改札を出た黒凪は和葉と共に駅の改札前に立っていた蘭達に駆け寄った。
遠目に見ても全力疾走の様に見えた2人だが、流石と言うべきか息は全く切れていない。
「ありがとうなあ蘭ちゃん、わざわざ駅まで迎えに来てもろて…」
『おはようコナン君。元気にしとったん?』
「うん、元気だよ!」
コナンの前でしゃがんで言った黒凪にコナンも子供らしくそう返答を返す。
それを横目に和葉も園子と蘭と一言二言会話をすると園子を先頭に駅の外へ出て行く。
駅を出て駐車場に向かうと鈴木財閥のリムジンが止まっていた。
和葉は始めて見るリムジンに「おおお!」と目を輝かせ黒凪も「凄いなあ」と笑う。
「さ、乗って乗って!」
「ホンマにええん園子ちゃん!うちリムジンなんて初めてやわ!」
「折角東京に来たんだから満喫してもらいたいしね!どうぞ!」
わーい!と乗り込む和葉を見て園子が黒凪に目を向けた。
服部君もどうぞ。園子の言葉に黒凪がにっこりと笑う。
色黒で吊り目な容姿をした黒凪だがその見た目に反して物腰はとても柔らかい。
ありがとう、と関西弁混じりに柔らかく声を掛けられた園子は少し頬を赤く染めて頷いた。
「うわあ…凄いなあ黒凪…」
『せやなぁ。大阪やったら車なんか乗らんと殆ど徒歩で動くもんなあ…。』
「…あ、世良さんから連絡来た。」
『ああせや、真純ちゃんも呼んどるんやろ?何処で会えるん?』
今から行く浅草に来るみたい。そこで合流しようって。
そう言った園子に「そっかあ、はよ会いたいなぁ」と笑う黒凪。
蘭はそんな黒凪を見ると膝に乗っているコナンにこそっと声を掛けた。
「相変わらず爽やかだね、服部君。」
「う、うん。そうだね…」
『蘭ちゃん、コナン君重たない?俺持つで?』
「あ、本当?じゃあお願いしようかな、」
素直に黒凪の提案を飲む蘭に「ははは…」とコナンが渇いた笑みを浮かべる。
爽やかで紳士、おまけに美男。そして剣道の有段者であり穏やかな性格なのに一人称は俺…。
これらは蘭や園子に聞かされた黒凪の所謂ギャップと言うものである。
そんな所がグッとくると話す2人の会話を幾度となくコナンは聞いていた。
『…最近はどうや?何も無いん?』
「今の所はな…。そっちこそ大きな事件に巻き込まれたりしてねーのか?」
『俺の方は大丈夫やで。多少乱暴な犯人でもどうにかなるからなあ。』
小さな声でそう会話を交わし小さく笑う黒凪。
その笑顔は相も変わらず優しく爽やかだった。
浅草に着けば沢山の人混みが目に入り、少し離れた場所で車を降りて雷門の方へ歩いて行く。
すると先に浅草に着いていた世良が此方へ走り寄って来た。
『おはよう真純ちゃん。暑かったやろ、大丈夫やった?』
「大丈夫大丈夫。ちゃんと日陰に居たし。」
「なあ黒凪!見て、めっちゃ屋台出てるで!」
『うん?…おー…ほんまやなあ』
親しげに話す世良から離す様に和葉が黒凪の腕を掴んでぐいっと引っ張る。
その様子に困った様に笑った世良は相変わらずの和葉の様子に園子達と顔を見合わせた。
イケメンで優しい黒凪を狙う女性は大阪でも多いらしく、彼に好意を寄せている和葉は随分と苦労していると聞く。
黒凪の腕をぎゅっと握ったままで雷門に向かって行く和葉と蘭達。
すると途中で人力車を持つ男性が和葉と黒凪に声を掛けた。
「どうも!仲の良いカップルですね~」
「か、かかかカップル!?」
『わあ、人力車や。』
「どうです人力車!お二人で仲良くここら辺を回りませんか?」
二人で仲良く。この言葉に目を輝かせた和葉だったが、黒凪が眉を下げて片手を横に振った。
ごめんなさいねえ、人力車は止めておきます。
やんわりと断った黒凪に「えー!どうしてっすか!?」と男性がオーバーに切り返した。
そこで理由を言い淀むようなら畳み掛けようと思ったのだろうが、彼の口から出た言葉は予想外のものだった。
『俺ねぇ、この子とゆっくり食べ歩きたいんです。出来る限り沢山奢ってあげたいんでお金はちょっと出せません。』
「っ!」
「……なあ、あれって天然で言ってるのか?」
「た、多分…」
かーっと顔を赤らめる和葉に「あ、そ、そうですか…」とすごすごと引いた男性。
そして少し離れた場所で黒凪の発言に疑いを持っている蘭達。
離れて行った男性ににこやかに手を振り、黒凪達が再び歩き出す。
そんな黒凪達に蘭達もついて行った。
「…Can you take a picture of us?」
『ん?』
次に話しかけれたのは外国人だった。
今の言葉をもう一度言って自分達を指差す外国人に黒凪がにこやかに対応する。
するりと和葉の腕の中から抜け出した黒凪に和葉がしょぼんとした。
はいチーズ、と英語を使わず写真を撮った黒凪は「これでええですか?」とやはり英語を使わず外国人の女性と写真を覗き込む。
その様子を見た和葉は自分の足元を見下した。
「(ええなあ、あの人身長高い黒凪と並んでも負けへんぐらいスタイルええし…)」
「Thank you!」
『はーい』
女性に手を振って戻ってきた黒凪は背伸びをして足元をじっと見ている和葉に微かに目を見開いた。
和葉はそんな黒凪に気付かず「これぐらい身長あったら…。」と呟く。
すると肩にぽんと手を置かれすとんと浮かせていた踵を地面に降ろした。
『何アホな事してんの、和葉』
「な、アホな事って何よ!」
『なんや、足でも痛いんか?』
「ちゃうわアホ!」
んべーっと舌を出して走る和葉に「あの子もあれ天然でやってるのかな…」と世良が呟いた。
すると黒凪が和葉に追いつき「こらこら。」と彼女の手首を掴む。
和葉はぐいっと腕を引かれ「うわっ!?」と素っ頓狂な声を上げた。
『あんま走り回りな。あぶなっかしい。』
「う、」
「…大人だなぁ…」
「(え゙。)」
ぼそっと呟いた蘭にコナンが驚いた様に振り返る。
ぽーっと黒凪を見る蘭に「あんにゃろー…」とコナンが彼を睨んだ。
黒凪は振り返って蘭達を見ると「こっちこっち、」と笑顔で手を振る。
蘭達ははっと目を見開くと其方に向かった。
『園子ちゃん、此処の名物なんやったっけ?』
「あ、えっと…色々あって…」
「…園子君もメロメロだな…」
「そうだね…」
園子が開くガイドブックの様なものを隣で少し背中を曲げて覗く黒凪の姿はやはり格好良い。
あんな人が好きだったら確かに苦労するよね…。と蘭が困った様に和葉に目を向けた。
和葉は未だに黒凪に掴まれている手首を穴が空く程見つめている。
パーフェクトボーイ、服部。
(蘭ちゃん、それ美味しそうやなあ。)
(あ、これはあっちに売ってるお団子で、)
(どこどこ?案内してえや)
(僕が案内するよ黒凪ちゃん!ほらこっち…!)
(ん?うん)
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