BLEACH
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ふとした孤独の隙間に
from the theme of, きっかけの恋のお題 [バツ印の使い方]
私は1人だった。強すぎた。
自分で言うなって?仕方ないじゃないか。
自分が惚れた男は全て自分よりも弱かった。
だから男は皆プライドの為に私の前から去って行った。
『どっかに強い奴は居ないのー。ねぇ、誰か知らない?』
「誰か知らない?って…。そりゃあ、冬獅郎とか」
『駄目ー。私が勝ったら可哀相じゃん』
「…俺は」
却下。と即座に返されて項垂れる黒崎一護。
あ゙ー。とベットに寝っころがる黒凪にくっそー…、と眉を寄せて目を向ける。
彼女は尸魂界に帰ったルキアの代わりに空座町に派遣された死神だ。
自分は強いと豪語し、実際にもかなり実力がある彼女。
そんな死神が何故現世に派遣されているのかと問えば、どうやら自分に会いに来たのだとか。
『ったくさぁ。君が尸魂界で暴れ回ったって言うから戦ってみたら…』
「…悪かったな。開始3分で負けて」
『………。弱すぎ』
「ゔっ」
うるせー…。と力なく言う一護を横目で見る黒凪。
するとそこに突拍子も無く窓からルキアが顔を出した。
総隊長が戻れと指令を…。と語るルキアにはいはい、といとも簡単に出て行こうとする黒凪。
一護はルキアとも話したかったのだが、すぐに去って行った2人に何も出来ずくっそー…、とベットに顔を埋めた。
「…あの、どうでしたか一護は」
『駄目だねありゃ。開始2分だったよ』
「…先程一護は3分と言っていましたが」
『あれは2分だったね。サバ呼んでるだけだよ一護が』
あの一護を2分で倒した。
強すぎると有名な黒凪にほとほと隊長格の死神達も困り果てているという話はよく噂になっている。
やがて尸魂界に帰還し、一緒に総隊長の元へ向かう黒凪と共に歩いていたルキアは周りの死神達からの恐怖の視線に少し眉を寄せた。
凄い、と思った。女性なのにかなりの戦闘力を誇る黒凪が。
なのに彼女は五番隊の平隊員なのだ。そう言えば、この光景は以前も何処かで…。
「…あ。」
『ん?どうしたの、朽木さん』
「あ、いえ…。…その、更木隊長に似ていらっしゃるなと…」
『更木?…あぁ。十一番隊の隊長さんね。そう言えば戦った事無いなぁ』
今度行ってみるか。と笑顔で言ってのけた黒凪。
それにルキアが驚いていると、突然の殺気に顔を青ざめた。
黒凪もそれに気が付き静かに前方に目を向ける。
そこには先程話していた十一番隊隊長、更木剣八が立っていた。
『あらぁ?更木隊長じゃないですか』
「よぉ…。お前だろ?腕っぷしが強い女ってのはよォ」
『あ、もしかして腕試ししてくれるんですか?』
「あぁ。」
ニヤリと笑った剣八と黒凪。
それを見たルキアと一角、弓親は顔を青ざめ、すぐさま回りに居た死神達にここから離れる様に声を掛け回った。
すると物凄い霊圧がぶつかり合い、かなりの霊圧にルキアは思わず膝を着いた。
…2人の斬り合いはかなりの時間を有した。
「終わった、のか…?」
「一体どっちが…。あ。」
『……ゲホッ、っ…』
「…チッ、」
霊圧が収まったそこには血を流して倒れる黒凪と同様に血を流して立っている剣八。
結果は更木剣八の勝利だった。
黒凪は傷口を抑え、立っている剣八を見上げる。
初めて出会った、自分よりも強い男。
黒凪は眉を下げて口元を吊り上げ、流れる血を見た。
やがてそれから1月程経ち、黒凪は癒えた傷口を見る。
…嬉しかった。あの時の戦いが蘇る。
また勝つと思っていた。だから最初は手加減していた。
が、やがてどちらも余裕が無くなり、本気でぶつかり合った。
その結果、互いに深手を負った状況で立っていたのはあの男だった。
『…嬉しかったなぁ』
「……あ?」
『嬉しかったんだよ。剣八』
剣八は窓際で座りながらそう言った黒凪に目を向けた。
2人はあれから随分と仲が良くなった、と言うか。なんだろう。
よくやちよを含めて3人で居る所を目撃されている。
一部では2人はもう結婚でもするんじゃないかと噂まで出ている程だ。
『私はアンタが好きだよ。』
「………」
『…殺してしまいたいほど。』
そう付け足せば、ニヤリと剣八が笑った。
そう、殺してしまいたいほど。
だが出来る事なら死んでくれるな。
俺もだ、と同意を示してくれるあの男と私の想いは何処まで同じなのだろうか。
何処かで枝分かれしていない事を、願う。
独りだった私を、あの男が救ったのだ
(んで、結局夫婦になったと)
(そうだねぇ)
(尸魂界最強の夫婦が誕生したと。)
(そうだねぇ)
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