BLEACH
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兄を傷付けない為だけに、生きて来た。
朽木ルキア成り代わりのオチなし。
家族愛/兄弟愛がメインのお話。
殺される――!
目の前にいる藍染と、迫ってくる市丸の刃。
これでいい、と想った。私はこの話を覚えている。前世でみたから。
この後に私が成り代わった人の兄が現れて、私を助ける。
そんな事はしなくて良い。あの人が来ない様に、ずうっと私はあの人にとって鬱陶しい存在で居たのだから。
悪さも一杯した、礼儀正しい行動などとった事も無い。
現世に行ったのだって、理由を問われた時アンタと一緒に居るのだが嫌だからと口にした。
大丈夫。あの人は来ない、来る筈が無い。
ぎゅっと目を閉じた時、一瞬で腹部に腕が回り藍染の腕の中から抜け出した。
そして優しく抱えられ、目を見開けばドス、と言う鈍い音が響いた。
顔を上げれば、来て欲しくなかった兄が居た。
『は、…嘘…?』
「っ…」
『な、んで…おかしいでしょ、なんで助けたのよ!?』
血が飛び散って、倒れ込んできた兄である朽木白哉を必死に支えた。
ただでさえ体格が大きな白哉だ、腕に掛かる負担は大きい。
が、そんな事がどうでも良い程私も動揺していたらしい。
昔から今日のこの瞬間が起きない様にと行動してきた。
だからこそ、この人が私の為に動く事なんて無いと思ってたのに。
「…朽木隊長、君がまさか朽木黒凪を助けるとは」
『!』
藍染の言葉に振り返ると再び刃が迫っていて、目を見開いた黒凪はその刃先を片手でつかんだ。
血がぽたりと落ちて、白哉に当たっていないか振り返る。
刀を掴んでいる手を虚ろな目で見ている白哉を見た黒凪はキッと市丸を睨んだ。
もう、とんだ誤算だよ。私は此処で死んで、兄様も一護との戦いの傷だけで。
ホントはもっと前から誤算は在ったんだ。
仲良くするつもりなんて無かったのに仲良くなっちゃって、助けにまで来てくれちゃって。
そこまで考えた時、藍染の元には夜一と砕蜂が、市丸の元には乱菊が現れた。
『っ、ふー…兄様、皆来てくれたよ』
「……その減らず口、直らぬのか。」
『…なにさ、この…思い通りにならない、』
「…?」
全部言う前に涙が溢れて来た。
本当に、思い通りになってくれない兄様なんだから。
白哉の背中を支えて藍染達を睨めば、虚の介入によって彼等は颯爽と逃げ出してしまう。
あーあ。正直あんな優男とはもう戦いたくもないのに。
藍染が消えるとすぐに卯の花隊長が現れ白哉や一護達の治療に当たり始めた。
その時黒凪は邪魔になると思い離れていたのだが、白哉に呼ばれ再び彼の元へ。
白哉の虚ろな目が黒凪を捕えると静かに語り始めた。
何故黒凪を養子にしたのか、そして…助けられなくてすまなかった、と。
全部、知ってるよ。アンタが言わなくても知ってた。だから心の底からアンタを嫌いになれなかったんだ、私は。
黒凪は拳を握りしめると、白哉を抱きしめた。
それはもう、思い切り。
「っ、」
「あの、あまり乱暴は…」
『私は嫌いだよ、でも好き』
「……」
黒凪の言葉に痛みで歪めていた顔を無表情に戻した白哉は静かに黒凪の背中に片手を添える。
初めて、兄妹の様な事をしたと思う。
兄とあまり一緒に居ない様にと積極的に受け持った現世行きの任務。
そしたらいろいろあって霊圧が全部あのオレンジ野郎に持っていかれて、そしたら怒ってる兄に連れ帰られて。
怖かったけど、嫌だったけど。
この人は立派に私の兄をやっていた様に思う。
『不器用な兄様』
「……」
白哉は静かに目を閉じ、眠りについた。
それを静かに見た黒凪は地面に寝かせ、立ち上がる。
そして空を見上げると頬を伝う涙に目を閉じた。
これから存分に甘えてやろうじゃないか。
手始めに暴れてやろう。
(にーいーさーまー)
(なんだ)
(一緒に風呂でも)
(断る)
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