本編
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「ぐすっ、うぅ…」
ああ、煩い。
子供の泣き声って1番嫌い。
「まーた泣いちゃったぁ」
「そんなんじゃ立派な忍びに何てなれないわよー?」
「デコリーンちゃん♪」
…あー…。あともっと嫌いなのがあったなぁ。
相手を傷付けようとする意地の悪い子供の声。
しかもその声の持ち主が女の場合。
「…ちょっと聞いてんの?反応しなさいよ!」
振り降ろされた平手をぱし、と片手で掴み取る。
顔を伏せていた少女がゆっくりと顔を上げる。
ゆっくりと開かれた金色の瞳が映したのは、
桃色の鬱陶しい髪だった
「(黒凪!)」
『………』
「(あれ?聞こえてる?黒凪ってば!)」
「それにしても遅いってばよー…」
再度呼びかけても反応しない黒凪に1人首を傾げる。
可笑しいな、大抵は呼びかければ返事ぐらいはしてくれるのに。
もう一度黒凪、と名を呼んでみる。
まだ返事は無かった。
「(もう!)黒凪ってば!」
「ぅえ!?」
「……」
思わず出してしまった声に口を両手で押さえ振り返る。
そこには案の定此方を見ているナルトとサスケ。
サクラは「何でもないの!」と両手を振ると部屋の隅に移動した。
「(黒凪、聞こえてないの?…眠たいの?)」
『(……あぁ、さっき起きたよサクラ)』
「(やっと反応してくれた…。もう、寝てたの?)」
『(うん。だって昨日煩かったんだもん、サクラ)』
ごめんごめん、と声に出さず謝るとサクラは目を閉じる。
こて、と隅で頭をもたげたサクラを横目にチラリと見てサスケは前を向いた。
次に目を開いたサクラの前には黒髪の少女が立っている。確かに眠たげだった。
『で?昨日行ってだサスケ君゙はどの子?』
「机で座ってる子!どう?クールでカッコいいでしょ?」
『(うーん…。私の好みじゃないね。奥で黒板消しを扉に挟んでる子は?)』
「(アイツはナルト…って何してんのアイツ!)」
サクラとの会話の途中で表に出た黒凪は微かに金色の瞳を覗かせサスケを見る。
それでも次に目に付いたのは瞳と同じ色の髪を持つ少年だった。
その少年の事をサクラに聞くとサクラが自分から黒凪を押しのけ表に出る。
瞬きでサクラの淡い緑色に瞳が色を変えた。
「こらナルト!なにやってんのよ!」
「だってさだってさ!遅刻してくる奴が悪いんだってばよ!」
「そーんな小細工に先生が引っかかる訳…」
うーむ。どうやらサクラ達が昨日言ってた通りナルト、サスケ、サクラの3人で第七班になった事は間違いないらしい。
だがその教師が現れないと。
またやはり眠たくなってきた。
その旨を伝えてサクラに許可を貰おうと口を開いた、その時。
ガラリと扉が開き顔を出した男の頭に見事に黒板消しが落下した。
「ぷっ、だーははは!引っかかったってばー!」
「(うそー…)」
『(ふざけてるだけじゃないの?)』
黒凪が眠たげにサクラに言った。
それでも俄かには信じられないらしくサクラはぱちぱちと黙っている男を凝視している。
すると「んー…」と黒凪に負けず劣らずの気だるげな声を男が発した。
その姿に一瞬サクラが目を見開く。
どこか黒凪に似た気配を感じた。
「お前等の第一印象はだな、」
「へへ、なんだってばよ!」
「嫌いだ。何ちょっと喜んでんの?」
がーんとナルトが固まった。
勿論突然嫌いだと言われたサスケとサクラも少し沈んだ表情を見せる。
やがてついて来いと促され外に出た4人。
男が少し離れた場所に座りナルト、サスケ、サクラは並んで座った。
「とりあえず自己紹介しようか」
「…あの、とりあえず先生からお願いしても…」
「ああ俺?俺は畑カカシ。趣味は特にナシ。好きなものも特にナシ。嫌いなものは……無いな。はい、どうぞ」
結局名前だけじゃねーか、と3人共が突っ込んだであろう。
ま、それが自分達の上司なのだから仕方がない。
じゃあ俺がやるってば!とナルトが立ち上がる。
「俺ってばうずまきナルト!好きなものはカップラーメン、嫌いなのはお湯を入れてからの3分間!趣味はラーメン食べ比べ!」
「見事なまでのラーメン少年だねキミ」
「そんでそんで、将来の夢ってば火影になる事!里の皆が俺を認めるぐらいのすごい火影になるってばよ!」
「ほー…。…じゃ、次。そこの黒髪少年」
カカシの言葉にサスケが顔を上げた。
ナルトの次がやり辛いのだろう、微かにため息を吐く。
その様子にナルトが過敏に反応し睨んでいたのは見なかった事にしておこう。
「…うちはサスケ。好きなものは特にない。嫌いなものもな。…ただ、殺したい奴はいる」
「ころっ…!?」
「……俺とか言うなよ…?」
「はっ。テメーなんぞ殺して何になる」
絶句するサクラ、自分を指差して汗をだらだらと流すナルト。
ナルトとサスケの中が悪いのは周知の事実だ。
そもそも能力にも差がある上成績はビリとトップ。合わないのも納得の2人である。
「んー…。じゃあ次、女の子ね」
「あ、はい。…春野サクラです!好きなもの…って言うか好きな人は…、……。」
サクラの視線がついーっとサスケに向く。
サスケは全くサクラを見ようとしなかった。
カカシが微かに分からない程度にため息を吐く。
「それで?嫌いなものとかは?」
「ナルトです!」
「えええー!?」
「はい、オッケー。…じゃあ次。」
次?とナルトとサクラの声が重なった。
それでも依然カカシの視線はサクラを捕えている。
全員終わった筈だろ、とサスケが鋭い視線をカカシに向けて言い放った。
が、カカシは「いーや、まだいる」と笑顔を見せる。
「゙まだいる゙?」
「そうだろ?サクラ」
「…え、」
「お前の中に居る奴だよ」
カカシの言葉にサクラが胸元をばっと両手で隠す。
ナルトとサスケの視線もサクラに向いた。
不安気にカカシを睨むサクラにカカシが大丈夫大丈夫、と小首を傾げる。
「君の中にもう1人の人格が居るのは今の所俺と火影様、あと此処の2人ぐらいしか知らないから」
「……。」
「これからずっと任務も一緒なんだ、教えてくれ」
「…聞いてみます。でも人見知りだから出て来ないかも」
わかった。そう言ったカカシから目を逸らしサクラが目を閉じる。
黒凪、とサクラが微かに呟いた。
その名を聞くとサスケとナルトは「ああ、さっきの」と微かに目を見開く。
が、黒凪の反応は無くサクラが申し訳無さ気に目を開いた。
「…ごめんなさい、やっぱり反応しません」
「んー、そっか。そりゃ仕方ない」
「残念だってば、俺も見たかったのに…」
だからごめんって。そう言ってサクラがぷいと目を逸らす。
その行動にまたナルトがガーンとショックを受けた。
するとカカシがパンと手を叩き「さてと」と目を細める。
「じゃ、自己紹介も終わったし始めましょーか。」
「なんだってば!?もしかして任務!?」
「残念。今からやるのばサバイバル演習゙」
「演習?…アカデミーで散々やった事だ、必要無い」
サスケの言葉にふふふふ、とカカシが笑い出す。
何よ、とサクラが眉を寄せた。
そんなサクラに目を向けたカカシは「ひくなよ?」と前置きして口を開く。
「これは選抜試験だ。初めて聞くだろうが、この試験で君等の同期から60%がアカデミーに戻される」
「…は、」
「えええ!?」
「っつー事だ。ま、頑張れよ」
な、なによそれー!
そんなサクラの絶叫が響き渡りナルトもなんでだってばよ!とカカシに突っ掛る。
それでもカカシは「決まりだから」の一点張り。
ぎゃーぎゃー騒ぐサクラの中で黒凪が微かに目を開いた。
「…さて、只今の時間は…」
「10時だ」
「んじゃあ12時にセットして、」
カチ、と目覚まし時計をセットするカカシ。
すると彼はポケットから2つ鈴を取り出した。
これが本日の任務の課題。
そう言ったカカシの言葉に反応して全員の視線が鈴に集まる。
「これを昼までに俺から奪えなかった奴は昼飯抜き。」
「ええー!?俺ってばめちゃくちゃお腹減ってるってば!」
「…それだけじゃないだろ」
「ご名答。取れなかった1人はアカデミーに脱落だ」
ごくりとサクラが息を飲む。
静かに胸元に手を持って行ったサクラは眉を寄せた。
つまり3人中1人は確実に脱落ってわけねぇ。
サクラの脳内に声が響き1人目を見開く。
その様子をカカシは見逃さなかった。
「…んじゃあ始めるか。皆精々頑張れよー」
「武器と忍術の使用は?」
「全然オーケー。俺を殺す気で来い」
「そ、そんな…。殺す気で行ってもし殺しちゃったら!?」
大丈夫。俺死なないから。
少なくともお前等じゃあな。
そう言って笑ったカカシにむっとサスケとナルトが眉を寄せた。
じゃ、よーいスタート。
軽々しく発せられた言葉に3人同時に姿を隠した。
『(大丈夫?サクラ。)』
「(だ、大丈夫じゃないかも…。すっごくドキドキする、)」
『(代わろうか)』
「(…うん、おねが…)」
作戦会議か?サクラ。
そんな声が頭上から聞こえた。
サクラはビクッと肩を跳ねさせると反射的にクナイを取る。
一気に真上にクナイを投げたがそこには人影すらない。
「よっ。後ろだよ」
「…き、」
きゃあああ!と響き渡るであろう悲鳴にすぐさまカカシは耳を塞いだ。
が、目の前のサクラが瞬きをすると瞳の色が金色に変わる。
「お、」とカカシが微かに目を見開いた。
それと同時だろうか、振り上げられた拳が物凄い速度でカカシに向かう。
拳を受け止めたカカシは軽く背後に吹き飛んだ。
『…手応えなし、となるとそこだよな』
「!」
拳を振り降ろした体勢から拳を握り手の甲を背後に向かって思い切り振った。
その拳に吹き飛ぶカカシ。
次は手応えがあった為サクラと交代した黒凪は笑みを見せた。
吹き飛んだカカシに向かって歩き出せば丁度サスケの元へ吹き飛んだらしい。
今度はサスケと戦っていた。
『…へぇ、やるじゃんあの子』
「(でしょ!?やっぱりサスケ君は凄いなぁ…!)」
『加勢したら嬉しい?』
「(嬉しい!)」
じゃあやったげる、と黒凪が飛び出しサスケとカカシが離れた瞬間にカカシを蹴り飛ばした。
カカシは微かにうめき声を上げて転がって行く。
足元には焦げたような跡があった。
「!…サクラか。」
『残念。黒凪だよ』
「黒凪だと…?」
「いやぁ、凄い力だな…」
カカシが横腹を擦りながら現れる。
骨を砕いたと思ったが上手く受け身を取ったらしい。
ニヤリと笑った黒凪は拳の骨をぽきぽきと鳴らし腰を落とす。
『アンタもだいぶ器用だね』
「そりゃどーも。生徒に褒められる教官なんて色々アウトだけど。」
一気に走り出す黒凪。
カカシはそんな彼女を見ながらもチラリとサスケを見た。
まずはアイツから退けるか。
口に出さずそう呟く様に考えたカカシは忍術で姿を消し土に潜り込む。
黒凪は初めて見る忍術に少し戸惑い周りを見渡した。
「っ!?」
「はーい。まずは1人目」
『(土の中!)』
一気に地面に引きづり込まれたサスケが頭のみを地上に残して土に埋まった。
それを見た黒凪はすぐさまサスケの目の前ぎりぎりに拳を叩きこむ。
カカシは襲ってきた衝撃に目を見開くとすぐさま地上に這い出し黒凪を睨んだ。
『…よし、じゃあ心置きなく…』
「(待って黒凪!)」
『!』
ピタリと動きを止めた黒凪にカカシが片眉を上げる。
まずはサスケ君を助けて、とサクラが頭の中で懇願した。
黒凪はため息を吐くと後頭部を困った様に掻く。
するとその隙を見てカカシが走り出した。
…が。カカシも何かに反応すると背後を振り返り舌を打つと走り出す。
「(ほ、ほら!先生も何処かに行ったし…!)」
『…だったら自分で助けなよ、サクラ』
「え、でも…って入れ替わってるー!」
キャーッと1人叫びだしたサクラを怪訝な目で見るサスケ。
サクラ…?と名を呼ぶサスケにサクラの淡い緑色の瞳が向いた。
ぽっと頬を赤く染めたサクラは「待ってて、今助けるから!」と走り寄る。
やがてどうにかこうにか2人で協力して土の中から抜け出すサスケ。
すると目覚まし時計がある方向からジリリリ、とタイムリミットを知らせる音が響いた。
サスケは舌を打つと音の方向へ歩き出す。
「え、ちょっとサスケ君!待ってよー!」
『(…じゃ、私寝るからね。サクラ)』
うん、と小さく頷いたサクラはすぐさまサスケの隣に並んだ。
目覚まし時計の場所へ行ってみると側の丸太に括り付けられているナルト。
タイムリミットなのだから仕方がないとサクラとサスケが丸太の側に座り込む。
ぐーきゅるきゅると腹が空腹を知らせた。
「おー、だいぶお腹空いてるなぁキミタチ」
「(…やっぱりアカデミーに戻るのかなぁ、黒凪…)」
『(…ま、サスケが仮に忍者になれると判断されたなら殺してでも今から鈴を奪ってあげるよ)』
「いやぁ、お前等には驚かされるばかりだ。アカデミーに戻る必要もなさそうだな」
その言葉を聞くとサクラがぱあっと顔を明るくさせた。
ナルトは「やったー!」と括りつけられながらも喜びを露わにし、サスケも微かに微笑む。
が、次に聞こえた言葉は予測していた様な嬉しいものでは無くて。
「お前等全員、忍びを辞めろ!!」
「…は、」
「んなぁああっ!?」
「忍びを辞めろって…!」
だーかーら。
そう言ってカカシが気だるげに首を傾げた。
お前等は忍びになるに値する様な人間じゃない。
よって忍びを諦めろって事だ。
その言葉が響いた途端にサスケが走り出す。
「だからガキなの。分かるか?」
「ぐ、ぅ…」
「ちょ、サスケ君になんて事…!」
一瞬でサスケを足蹴にしたカカシ。
サクラは微かな恐怖に両手の拳を握りカカシを睨んだ。
ギロリと鋭く冷たい目がサクラに向く。
ぎり、と歯を食いしばったサクラは口を開いた。
「黒凪!助けて、サスケ君が…」
「お前にはそれしか能がないのかサクラ!!」
「っ!」
ビクッと肩を跳ねさせるサクラ。
じわりと涙が浮かんだ所で瞳の色が再び金色に変化する。
チッとカカシが舌を打った。
ゴキ、と肩を鳴らす黒凪にカカシが静かに立ち上がる。
「…お前、歳はいくつだ黒凪」
『あー…。18歳かな』
「お前なら分かるだろ。俺が言ってる意味も…」
ドゴ、とカカシが腹を蹴られ吹き飛んだ。
おおおお…とナルトとサスケが目を見開く。
カカシが吹き飛んだ方向を見ていた黒凪は足を降ろし腕を組んだ。
『知らん。言っておくが、アンタの言うチームワークなんて私には必要無い』
「!!」
「チーム、ワーク…」
サスケが目を見開き、ナルトが呟いた。
すると黒凪の背後にカカシが現れ「分かってたのか」と低い声で言う。
黒凪を抑え込もうとしたカカシの腕を黒凪は難なく掴み取った。
『…悪いケド、協力する様な一族じゃないのよ私達は』
「(一族?)……お前はそれで良いかもしれないがサクラはどうする」
『!』
「お前のその行動でサクラは忍びを辞める羽目になったんだぞ」
その言葉に黒凪が舌を打つ。
するとサクラの身体から力が抜けぐったりと倒れ込んだ。
カカシは反射的にサクラを抱きかかえ顔を覗き込む。
すぐさまサクラが顔を上げた。
「…そんなの、鈴が2つしかないのにチームワークだなんて…!」
「当たり前だ。これは試験なんだ、仲間割れする様に仕掛けたまで。」
「何だってばソレ!ひきょーだぞ!」
「……。まあ良い、試験の本質を知った所で後1回だけチャンスをやる」
マジだってば!?
ナルトがぱあっと笑顔を見せた。
次のチャンスは昼からだと言ったカカシ。
挑戦する意志のある物は昼飯を食えと指示を出した。
「ただしナルトには食わせるなよ。勝手に昼飯を食おうとしたルール違反者だ」
「ええー!?」
「じゃあな。俺もテキトーに飯でも食ってくる」
しゅん、と消えたカカシ。
顔を見合わせたサクラとサスケは徐に弁当に手を伸ばす。
カカシの言葉を信じ切る事が出来ない2人は丸太の側に座り、辺りを警戒しつつ食べ物を口に運んだ。
緊張から味のしない弁当にサクラがため息を吐き眉を下げる。
ぐーぎゅるぎゅる、とお腹の音がナルトから聞こえた。
「…、ナルト…」
「おっ、俺ってば全然腹なんか減ってねーってば!全然!全然…」
またぎゅるるる、と音が鳴る。
サスケの目がまたナルトに向いた。
じっと自分の弁当を見るサスケ。
サクラの中からその様子を窺っていた黒凪は小さく微笑んだ。
「…ほらよ。」
「うえ?」
「え、サスケ君!?」
「…今なら奴の気配も無い。大丈夫だ、食え」
目を見開いてサクラが黒凪に声を掛けた。
何?と反応を示した黒凪にカカシの事を訊こうとしたが、彼女は止める。
先程のカカシの言葉が引っかかるらしい。
黒凪は何も言わず口を閉ざした。
「わ、私のもあげる!食べて!」
「サクラちゃん…!」
「(これで良いんだよね?黒凪)」
『(良いんじゃない?)』
黒凪の言葉に安心した様に笑ったサクラは箸で弁当の卵焼きを掴んだ。
うるうると目に涙を浮かべたナルトが口を開く。
サクラは微かに嫌がりながら彼の口に卵焼きを放り込んだ。
もぐもぐと食べて笑顔を見せるナルト。
その瞬間、ボンッと大きな煙が現れた。
「お前等なぁ…。俺は言った筈だが?」
「せ、先生!」
「覚悟は出来てるか?」
カカシが3人をギロリと睨みつけた。
サクラがその目に怯えて少し後ずさる。
ため息を吐いた黒凪が表に出た。
ビビるナルトと眉を寄せるサスケの前に黒凪が立つ。
『チームワークでしょ。結果オーライだって思わない?』
「そ、そうだそうだ!」
「アンタが言った事を俺達なりにやっただけだ。何が悪い」
「そうだってばよ!」
うんうんと頷くナルトにカカシが目を細めた。
カカシが一歩3人に近付き顔を覗き込む。
黒凪とサクラが入れ替わり3人共カカシから目を逸らさなかった。
じっと見ていたカカシは徐に微笑む。
「合格!」
「…え?」
「…合格…?」
「そ。お前等3人共合格だ!」
ええー!?
そんなナルトの叫びがまた響く。
黒凪はサクラの中で「よかったじゃん」と声を掛けた。
「ど、どうして…?」
「今までの奴等はさ、俺の言う通りに弁当を与えなかった馬鹿ばっかりだったわけ。そんな奴等には死んでも鈴なんかやらなかったよ」
「……弁当をあげて正解って事…?」
「そゆこと。…忍の世界でルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされるだろ?でも俺ば仲間を大切にしない奴はそれ以上のクズ゙だと思ってる」
3人が目を見開いた。
黒凪は目を伏せ小さく笑う。
喜んだ様子の3人に笑ったカカシはビシッと親指を立てて口を開いた。
「これにて演習終了、全員合格!明日より第七班は任務開始!」
「やったー!」
「フン。」
「やったってば!俺ってば忍者!?忍者だー!!」
うるせぇ。ウスラトンカチ。
そう言ってサスケが縄を切ってやりナルトが地面に足を着ける。
そのサスケの行動にサクラは内心でキャーッと盛り上がった。
カカシはにっこり笑うと歩いて行く。
自然と3人も彼について行った。
チームワーク
(こ、これから私忍者何だ…!)
(よかったねサクラ。これから頑張らないと)
(そうだよね!サスケ君とこれから毎日一緒なんだ…えへへ)
(恋に発展するかも?)
(しゃーんなろー!)
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