番外編
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暗殺専門トリオの日常①
赤井秀一、降谷零は2人ともスパイではなく組織のメンバーで、
夢主含めたトリオで仲が良かったら…。
隙ありっにあるように、過去に出会っていたという設定などはとりあえずなしです。
純粋に組織にいるうちに仲良くなってつるむようになった感じ。
『ねえ、この後どうする?』
「いつものようにダウンタウンのイタリアンで食事して帰ります?」
「いや…今日はフレンチにしないか?」
黒の組織幹部、ベレッタ、バーボン、そしてライ。
スパイ活動、暗殺、狙撃と多岐にわたって頭角を見せている、黒の組織の中でも有望格。
任務の関係で離れ離れにならない限り大抵は一緒に行動し、任務などで同行した際には失敗知らずといった3名である。
「――…ベレッタ」
『はい?』
ベレッタが振り返り、ぴっと差し出された写真を見て…その差出人を見上げる。
彼女、ベレッタを物心ついた時から育て上げたという組織の幹部、ジンだった。
「なんです? …あぁ、最近ニュースによく出ていますね。違法賭博でしたっけ。」
ベレッタがそうするより早くジンの手から写真を抜き取り、写真の人物が最近世間を騒がせている大富豪だと気付いたバーボンが、隣に並んで写真を覗き込んできたライへと写真を手渡した。
「確か、明後日に出頭予定だったな? 司法取引をするとか…」
「あぁ。その司法取引で組織の情報を吐かれると面倒なんでな…殺せとの命令だ。」
『明後日に出頭予定なら、今日か明日には方をつけるべきね。…どうしてこんなに急なの?』
「こちらの動向を恐れたんだろう…標的が急に司法取引に応じることを決めたらしくてな。我々に殺される前に逃げる算段なんだろうよ。」
ふーん…、とジンを見上げて言ったベレッタの頭に「で?」とジンへ問いかけながらライが肘を置く。
「これはベレッタ単独での任務か? ジン…」
「いや…お前ら全員で任に当たれ。抜かるなよ。」
「タイミングはこちらに任せていただけるんですよね?」
「成功さえすれば文句は言わねェよ。」
そうとだけ言ってジンが踵を返し、3名から離れていく。
「さて、イタリアンの前と後、どっちがいいですか?」
「フレンチの間違いだろ?」
『私はまだお腹空いていないし…後かな。2人は?』
ベレッタが後が良いならそれでいいですよ。
以下同文。
そう笑顔で言ったバーボンとライに笑顔を見せ、
『じゃあ10分後に駐車場でね。』
「了解。…ライ、今日はフレンチにしてあげますから運転お願いできます?」
「分かった。車の位置がわかるならそこで集合。分からなければエレベータの傍でな。」
そうして10分後、最も最後に愛車の元へ到着したライはすでに待っていたバーボンとベレッタに小さく笑みを向けた。
「待たせてすまないな。」
『いいわよ。ねえそれより今夜のスーパーボール、誰の家で見る?』
スーパーボール。アメリカンフットボールの最高の大会であり、アメリカ合衆国最大のスポーツイベント。
この大会期間中ほとんどのアメリカ人はスポーツバーに集い、応援しているチームの試合を観戦するのがお決まりだ。
自身が到着するまでベレッタとバーボンはそのスーパーボールについて話していたのだろう、
「ライの家は基本散らかってますからね…僕の家かベレッタの家かな。」
『あ、私この前ワイン買ったの。おつまみ作ってくれるならお披露目するわよ。』
「それはいい。」
ライが車のロックを外すと、運転席にライ、助手席にバーボン、後部座席にベレッタが座った。
「なら今夜はフレンチの後にベレッタの家でスーパーボール観戦だな…さっさとこの任務を片そう。」
煙草に火をつけて言ったライに嬉しそうに頷いてベレッタが地図を開き、目的地を確認しつつ車内に目を向けた。
『えー…と、ライの車に置いてるのはベレッタ? コルト・ガバメント?』
「いい加減に覚えてくれ、俺の車はベレッタだ。」
「僕の車がコルト・ガバメントですよ。人の車に自分の拳銃を忍ばせるのはいい加減に止めたらどうです? ベレッタ。」
『基本的に貴方達の車で移動するんだから良いじゃない。忘れた時に便利でしょう?』
で、今日拳銃は忘れたんですか? と言うバーボンの言葉に「ええ、残念ながらね。」と肩を竦めたベレッタ。
その言葉に小さく笑ったバーボンは目の前のグローブボックスを開き、ベレッタが忍ばせていたベレッタM92とライのコルト・ガバメントを取りだした。
ベレッタM92を後部座席にぽいと投げ込み、ライのコルト・ガバメントを指先でクルクルと回すバーボンがライへと目を向ける。
「ベレッタがライの車にコルト・ガバメントを持ち込めばどっちが自分の物か分からなくなる。確か前にそう言ってましたよね? ライ。」
『確かにそうだったわね。…あれ、ライ…レミントンは?』
「後ろに積んである。今日はコルト・ガバメントは使わない。…使うか? バーボン」
「僕はどちらかと言えばベレッタが良いんですがね…まあ良いでしょう。」
今日はコルト・ガバメントでいきます。多分使いませんけど。
なら返してくれ。
嫌ですよ。
そんな風に小言を言いあう2人を横目にベレッタが弾の有無を確認するために弾倉を取りだし、持ち上げた。
そしてその軽さに目を細めると身を乗り出して運転しているライのすぐ側に顔を覗かせる。
『ライ、私の弾倉は何処?』
「弾倉? …弾倉は確か…」
ライがバーボンの座る座席に目を向け、それを見たバーボンが助手席を何度か触って、
「…あぁ、此処ですか」
自身が座っている座席の底に手を伸ばした。
そして何度か手を往復させると、目当ての物を見つけたらしくそれを引っぱりあげ、弾倉だと確認するとベレッタに差し出した。
『ありがとう。コルト・ガバメントは弾あるの?』
「ええ。自分の拳銃はちゃんといつでも弾を入れてるんでしょう。」
「おいおい、人聞きが悪いな」
『だって本当の事じゃない。ねえ?』
ええ。僕ならベレッタのコルト・ガバメントにもちゃんと弾は補充してますよ。
あら素敵。と会話する2人にライがため息を吐いた。
そんなバーボンは俺の拳銃の手入れはしてくれない様だがな。
嫌味に言ったライにバーボンも嫌味に返す。
「それは貴方もでしょう? 僕のH&K P7の弾倉が空だ。…一体いつ使ったんです?」
「…この間の任務の時だ。手持ちが無かったんで使った。」
『あ、私のベレッタも使ったんでしょう。』
「相手が多かったんでな、2つ同時に使った。」
よくもまあ両手で…。
呆れた様に言ったバーボンがH&K P7に弾を装填してベレッタM92が入っていたグローブボックスに戻す。
そしてついでにその側に置いてある手袋3人分を取ると1組をライの膝の上、もう1組をベレッタに渡して最後の1組は自分の手元に留めた。
最後にぱたん、と閉められたグローブボックスを見てライが小さくため息を吐き、口を開く。
「この間にベルモットを乗せた時も不思議な顔をされたんだ、何故拳銃も手袋も3人分なのかとな。」
「あぁ、僕の車に乗ったキールも3人分ある拳銃を凝視していたような…。」
『そう? 私の車には貴方達の分とジンのベレッタが入ってるから4人分よ?』
「…ジンの分も入れているのか」
ジンのポルシェにも私の代えのベレッタが入ってるわ。
今ではどっちが自分の物か分からないんだけれど。
窓の外を見ながら言ったベレッタにライとバーボンが顔を見合わせる。
「相変わらず仲が良いですねぇ…」
『そりゃあそうよ。あの人は私の親代わりなんだから。』
「だから嫉妬されているのかもな。君の "お父さん" に」
『ええ? 嫉妬?』
え、気付いてないんですか?
素っ頓狂な声を上げて言ったバーボンに首を傾げる。
明らかに俺達を睨んでいるだろう。それに任務を言い渡す時はお前が主だしな。
思い当たる節があるのだろう、ベレッタは空を見上げて「あー…」と呟いた。
『言われてみれば…』
「だろ?」
「あれは露骨にしているとしか思えませんがね」
『そうねぇ…あ、此処じゃない? 目的地。』
ベレッタの言葉に車を止めたライは目的地である公園の中心部にある人混みに目を向けた。
そしてあらかじめ地図で確認していた場所に狙撃に向いているビルを確認すると、バーボンも同じようにしてからベレッタへと目を向け、笑顔で小さく頷く。
『それじゃあ私が標的を誘導するから指示をよろしく。』
「ええ。ライ、運転席を。」
「あぁ。…あ、おいベレッタ、」
『ん?』
ん。と差し出された黒いマフラーに笑みを見せて手を伸ばし、それを身に着けるベレッタを横目に「トランクからライフルを取ってくれ」と要求するライ。
マフラーから手を離したベレッタが体を捻じってトランクに手を伸ばした。
『ライ、貴方もマフラーつけた方が良いわよ。今日は風が強いし。』
「マフラーが視界に入ると邪魔なんでな、遠慮しておく」
「僕はその長髪も邪魔だと思いますがね」
「だったら君が狙撃するか?」
冗談を。そう言って肩を竦めたバーボンに小さく笑ってギターケースに入ったライフルを受け取ったライは車を出ると颯爽とビルに向かって歩いて行く。
彼が抜けた助手席にバーボンが座ると、次はベレッタが車を出て標的の元へ向かった。
≪…ガガ、…では作戦通りに迅速かつ確実にお願いします。≫
≪了解。≫
『はーい。いつでもどうぞ。』
Rye&Bourbon&Beretta
(俺達にばかり無茶な仕事が来るような気がするのは気の所為か?)
(気の所為じゃない?)
(僕等の成績が良いからじゃないですか。)