番外編
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萩原研二&ミス・パーフェクト
隙ありっのオチが萩原研二ならif。
警察学校卒業後、オチが萩原さんなら退場させる理由がないため、あの事件で死亡しないし、
退職もしないし、夢主も機動隊に留まり続けるだろう…。という感じ。
面倒なので組織のことはとりあえず忘れてください。笑
――俺は、要領はいい方だと自負していた。
手に入らないであろうものは欲しがらなかったし、リスクを背負うようなことだってしなかった。
…この時までは。
「―――…。(うわ、あの子キレー)」
『…』
警察学校で見かけた、俺と同期の女の子。
名前は宮野黒凪。高校卒業後に学校に入ったらしく、自分よりも3つ下らしい。
成績抜群、容姿端麗。あだ名はミス・パーフェクト。
今まで自分が手を伸ばそうとしなかったタイプの女の子だった。
「本当にかっこいいよねー! 萩原先輩!」
「分かる、あの甘いマスク、気さくで優しい性格…」
「「まさに、完璧って感じ!」」
そう色めき立つ、新しく機動隊へと配属された女性隊員の傍を何食わぬ顔をして通る、警備部機動隊、爆発物処理班所属――宮野黒凪。
「あっ、あの人だよほら、ミス・パーフェクト…」
「うわー…噂通りの美人だなあ…」
「「あれは高値の花だわ…」」
こそこそと廊下の端でそう話す、同じく新しく機動隊へと配属された男性隊員。
そしてその会話へ聞き耳を立てつつも傍を通り抜け…彼らの視線の先にいる宮野黒凪へと目を向けた萩原研二は、すれ違いざまに彼女と交わった視線に微笑みを浮かべ、
「おはよ。」
『ええ、おはよう。』
と、軽く挨拶を交わした。
そして互いに互いが来た道を反対方向に進み――
「お、おはようございますっ! 萩原先輩!」
「おはようございますっ!」
「ん、おー! おはよう! なになに、新人ちゃん?」
「おはようございます、宮野先輩!」
「あ、お、おはようございます!」
『おはようございます。今日もよろしくね。』
と、互いに先輩として後輩と会話を交わす。
女性隊員たちに完璧だともてはやされる萩原研二とミス・パーフェクトと評される宮野黒凪が付き合っているということを知らないこの後輩たちが撃沈する昼下がりまで、あと数時間。
「「「…ええっー⁉」」」
と、新入隊員たちから上がる大絶叫に「お、毎年恒例の。」と先輩たちは慣れたように笑った。
そんな中、食堂にいる全員から突き刺さる視線を受ける当の本人、萩原研二と宮野黒凪を前に松田陣平は「はあーあ。」と大きなため息を吐く。
「え、え⁉ あの萩原先輩と、あの宮野先輩がつ、付き合ってるの⁉」
「らしいよ…、なんでも数年前に起きたとある爆発事件で、お互い九死に一生を得て…」
「そのまま吊り橋効果で…⁉」
「そんなあー!」
吊り橋効果じゃないのになあ。
そう呟くハギに、隣で昼食を食べていた宮野が「そうなの?」と軽く返答を返した。
そんな返答に若干むっとした様子のハギが宮野の耳元に口を近づけ、俺に口を読まれないように口元に手を添えた。
「最初に会った時からゾッコンだったって言ったじゃん…」
『ふふ、そうね。』
「笑いごとじゃないんだけど…」
『ふふふ』
おいコラ。いちゃいちゃすんな。
そう言ってやれば、「ゴメンゴメン」と笑うハギと、うふふなんて言いながらこちらに目を向ける宮野。
マジでこの2人の何がどーなればくっつくんだよ…。
「今日も美男美女のお二人さんは辛いねー。」
「ハハハ…止めてくださいよ先輩…」
『あ、後で頼まれていた報告書をお持ちします。先輩。』
「ん、おお…、了解。」
なんて、上手く先輩を往なして食事を続ける宮野。
いやマジで、何がどーなれば宮野がハギと付き合うんだよ…。
『じゃあまたあとでね、研二君。私報告書の作成あるから…』
「ん、分かった。じゃあ仕事終わりに。」
『うん。』
「…あ、黒凪ちゃん今日同期のみんなとメシだって覚えてる?」
『うん、覚えてるから大丈夫。』
ほわあ…、なんてキラッキラした後輩たちの視線を受けながらもどっかのドラマさながらの雰囲気を醸し出して会話を交わし、別れた2人。
そんな2人、というかハギをじとーっと見つめてズズッとコーラを飲み干す。
「…お前顔緩みすぎな。」
「え、マジ?」
「おう。緩みまくってんぜ。」
「いやー…、黒凪ちゃんと釣り合うように頑張ってんだけどねー」
あの子が俺を見てくれることが嬉しいんだよね。
そんな風にまさに宮野にゾッコン状態のハギを見て思わずこっちも顔が緩んでしまう。
まあ確かに、学校にいた時から宮野ばっかり見てたしなあ。
「!」
途端にけたたましいサイレンが鳴り響いた。
続いて放送が流れ、近場で爆発物らしきものが確認されたとのこと。
「行こうぜハギ。」
「おう。」
ばたばたと現場へ急ぐため、車両へと向かうとすでにそこには宮野がいた。
『今日出動している人間で爆発物の処理が出来るのは私たち3人だけだそうよ。行きましょう。』
「了解。」
「オッケー。」
車両に乗り込み解体のための工具やらを確認していると、現場の見学だということで後輩たちも何人か乗り込んできた。
いつかは慣れるべき現場だろうが、早速命を落としかねない現場に送られる彼らに同情する。
何人かは微かに震えているし、顔色も真っ青になっていた。
「ま、落ち着いていこーぜ。君らも座んな?」
ハギの指示を受けて後輩たちがそれぞれ車内に座る中、車が発進しものすごい勢いで現場へと向かっていく。
緊急車両の為ものすごい音量のサイレンが常に流れている中で、まず後輩たちに防護服を着せてやる。
「ちょっと暑いけど我慢な。」
「は、はいぃ…!」
『はい、これ研二君の防護服。』
「えー…」
『着なさい。』
「ハイ…」
後輩たちの準備を手伝ってやる俺の隣ではまず宮野がハギに防護服を着せていた。
ちなみにこの2人が付き合うきっかけになった時もハギは防護服を着るのを嫌がっていて、その時も今のように宮野に怒られてたっけ。
思えば付き合ってから宮野はハギに対してさらに強く出られるようになったし、ハギも素直にいうことを聞くようになったように思う。
「っし。ハギ、防護服手伝ってくれ。」
「ん。ちょっち待ってねー。今黒凪ちゃんの分やってっから。」
そろそろ現場に着くころだ。
少しでも早く着れるように自分でできるところまでやったら、ハギが最後に手を貸してくれた。
そして全員が準備万端になったところで現場に到着し、後輩たちを引き連れて現場へと向かう。
『工具は?』
「持った。」
『じゃあ君たちは私たちの後ろについてきてね。怖ければ少し離れていてもいいから。』
「「は、はいっ」」
そうして爆発物が仕掛けられている現場へ足を踏み込み、早速実物を拝む。
ふむ。トラップが多い…少し時間がかかりそうだ。
「こいつは俺がバラす。ハギと宮野は他に爆発物がないか…」
「もう調べてる…っと、ビンゴ。こっちに2つ発見。」
『…こっちにはもうないわ。松田君の前にある1つと、研二君のところの2つだけみたいね。』
となると必然的に宮野がハギの隣に並んでそれらを解体することになるだろう。
ちらりと視線を寄こすと宮野がハギの隣に腰を下ろし、爆発物へと手を伸ばしたのが見えた。
「すげー…」
「怖くないのかな…?」
そんな後輩たちの会話を背に爆弾の解体を続けていると…
ビーッ! と嫌な音が室内に響いた。
反射的に爆弾から目を背ける俺と、宮野の前に腕を伸ばしたハギ。
一方の宮野はしばし爆弾を見つめると、振り返って後輩たちへと目を向けた。
『…誰かの携帯?』
「すっ、すみません…携帯置いてくるの、忘れてましたぁ…」
そう答えたのは連れてきていた後輩のうちの1人。
どうやら着信だったようで、すぐに音が止まり室内がしんと静まり返る。
『せめてサイレントモードにしておいてね。…研二君、大丈夫よ。』
「っ、焦ったー…。」
思わず息を止めていたらしいハギにそう声をかけ、伸ばされていた手を掴んでハギを落ち着かせたらしい宮野がこちらにも目を向ける。
『松田君、大丈夫?』
「おー…。さすがにビビったケド…」
「す、すみません…!」
と後輩が謝る中で解体を進め、まず最初に解体を終えたのは俺。
「っし、完了。ハギそっちは?」
「こっちもそろそろ…」
『…。松田君、これちょっと見てくれる? トラップが…』
「んあ?」
のそのそと防護服と一緒にそちらへ向かい、宮野の後ろから爆発物を覗き込む。
「…手前のコードちょっと持ち上げてくんね? …あー…、うん。その赤いの切ってだな…。」
「黒凪ちゃん、代ろうか?」
『研二君もう終わったの?』
「うん。」
のちに後輩たちは爆発物を前にこの3名はよく普段の様に会話を繰り広げられるものだと感心した。と語る。
それほど彼らからは緊張も不安も感じられないためだ。
『…あ、分かったわ。後はここを切れば…』
「正解。」
「おー、やったね。」
ハギが宮野の頭に手を伸ばし、防護服の上からぽんぽんとその頭を撫でる。
それを甘んじて受けた宮野はすぐに本部へ報告し、車両へと戻り…俺たちは着用しているとサウナにいるよりも暑く感じる防護服を脱ぐ作業へと移る。
まずは後輩たち。そして次に宮野…と手を伸ばしたとき、
「じゃあ次は陣平ちゃんね。」
とハギが俺の腕を遮って言った。
その言葉に「は?」と思いながらも宮野の手助けもあり防護服を脱ぎ、汗でびちょびちょになって張り付くTシャツを引っ張って身体から離す。
そして次はハギが自分から防護服を脱ぎ始め、それをとりあえず手伝う。
汗で若干湿った髪をかきあげ、ハギも俺と同じようにTシャツを何度か引っ張って息を吐く。
「あっつ…、やっぱ慣れねーわこれは…。」
「…じゃあ次は宮野でいーな?」
「ん? うん。黒凪ちゃん待たせてごめんね。」
『いいけど…貴方いつも私を最後にしたがるわよね…』
まず頭の部分を取ると、暑くて堪らなかったのだろう、宮野の頬が赤く染まっている。
そんな宮野の頬をハギが両手で包むと、
『うう、貴方の手、ぬるいわよ…』
「うわー、頬っぺた熱いね。」
『いいから胴体…』
「ははは、了解。」
そしてずるっと防護服を脱いだ途端にハギが車内に置いていた自身の上着を宮野の肩へかける。
折角防護服を脱いで涼しいのにそんなことを…と宮野へ目を向けたところで、その理由を知った。
ハギへと目を向けると後輩たちから “それ” …宮野の身体が見えないようにと位置を確認して立っているのが分かる。
「(なーるほど…)」
汗でぴったり身体に張り付いたTシャツの所為で宮野の身体のラインがくっきり出てしまっているし、髪も濡れているから…まあ、一言で言えば色気がむんむんなわけだ。
それをハギは見せたくないから宮野の防護服を脱がすのを最後に回した、と。
「(…なんつーか、)」
同じ状態のハギを見て顔を真っ赤にする新人女性隊員を見てから宮野へと目を向ける。
宮野は全く気にしてない様子で、むしろそんな後輩たちを微笑ましく見守っている。
「(なんつーか宮野、余裕だなー…。それに比べてハギは、)」
「黒凪ちゃんどこ見てんの?」
『ううん、別に?』
宮野の一挙一動を見ているハギを見て眉を下げ、笑みを浮かべる。
「(宮野のこと好きすぎだろ。必死じゃねーか。)」
「暑いねー。今日は冷たいの飲んで帰る?」
『それもいいわね。』
大切な君へ。
(いやー、それにしても流石は百戦錬磨の萩原だな。宮野さんまでものにしたか。)
(警察学校にいるころから仲良かったもんね、2人とも。)
(うん、俺も萩原なら安心して任せられるかな。)
(((なあ? 松田。)))
(うーん、なんつーか…)
(今回のハギの場合ものにしたってより、ものにされてるっつーかなんつーか…)
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