過去編【 子供時代~ / 黒の組織,警察学校組 】
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7年前のあの頃 with CURACAO
パァン、と耳栓の向こう側でくぐもった銃声が響き、構えていた拳銃を下ろし…ゴーグルを外した。
そして目を細め、じーっと前方の的を見つめる。
『…外れてる。』
はぁ、と息を吐いて再びゴーグルを装着し、銃を構える。
拳銃越しに的を視界に入れ、目を見開いて引き金に指をかけた。
そして指を引き上げた瞬間、背後の扉が開く。
また銃声が響き、耳栓を外して振り返ればそこには不機嫌な顔をしたジンが。
『…あら。耳栓つけてこなかったのね。』
「…」
『耳大丈夫?』
不機嫌にこちらを睨んだジンが徐に的へと目を向ける中、徐に傍にある耳栓を彼に差し出した。
それを何も言わずに取り、ジンがこちらに歩いてくる。
そして少し腰をかがめ、私を同じ視線でまた的を見つめた。
「この距離にして3日…精度がまるで上がってねェな。」
『また荒探し? これでも的の中央部分に当たるのがほとんどになってきたのよ。』
「じきにお前は日本警察に潜入することになる…この程度で満足していて通用すると思ってるのか?」
『…分かったわよ。また明後日に見に来て。それまでにどうにかする。』
いい心がけだ。そう言って扉を開いて…ジンが動きを止めた。
「おっと。取り込み中だったか?」
「…。」
『ジン?』
耳栓をずらしてジンを振り返れば、ジンが見下ろす先に立つブロンドヘアの女性と目が合った。
「…聞いたぜ、ラムの側近になったらしいな…キュラソー」
「…ああ。そのラムの命令で日本に来ていてな。その子は?」
『…、』
ジンの指示を伺うように拳銃を下ろし、彼の隣に並ぶとキュラソーと呼ばれた女性が私とジンとを見比べて「あぁ」と納得したように目を細めた。
「噂の子ね。」
『(噂の子?)』
「確かコードネームは…」
「黒凪」
ジンの声にキュラソーが口をつぐむ。
「銃を片せ。」
『…了解。』
すぐに台へと戻って拳銃を片していく。
「…ラムが久々に彼女に会いたがっていた。何度も任務に同行させるように言っているのに…なぜそれを許さない?」
「はっ。なんの話か見当もつかねえな。」
「あの頃はまだ育て始めたばかりだったが…この10年で色々と仕込んだらしいな。手の内を明かすのが怖いか?」
『仕込まれた覚えは特にはないけれどね…。』
ジンがこちらに目を向け、煙草の煙を吐き出して扉を大きく開いた。
キュラソーの傍を通って歩いていくジンに続いて彼女の傍を通る時…キュラソーが私の手首をつかむ。
「私はキュラソー。宮野黒凪だな?」
『…ええ。機会があればよろしくお願いします…キュラソー。…ああそれから…』
「?」
『綺麗な瞳をお持ちね。』
きっと言われなれた言葉なのだろう、キュラソーの顔色は変わらなかった。
でも少しだけ微笑んで、彼女が言う。
「貴方こそ。」
『…』
キュラソーの手から手首を抜いてジンの後を追う。
この時私は、彼女がどんな顔をしてこちらを見ていたのか、知りもしなかった。
自身の特殊能力を使って私を隅々まで観察していたことなんて、微塵も。
「――やはり、どこを調べても…彼女が宮野エレーナと宮野厚司の娘だという以上の情報はありません。」
「…そうか。」
「…考えすぎでは? 彼女はただの子供のように見えました。…確かに、これまでの様子を見る限り…類まれなる天才だとは思いますが。」
ふ、とラムが小さく笑みを零したのが見えた。
「どうも、この組織で長く生きていると疑い深くなって仕方がない…。だがお前が言うのなら、きっとそうなのだろう。」
「…はい。」
Rum
(初めて彼女のコードネームをあの方から聞いたとき…良いコードネームだと思ったことを覚えている。)
(組織の中でも有望株であるジンが育て上げ…)
(ジンの期待に答え続けた、類まれなる天才。)
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