過去編【 子供時代~ / 黒の組織,警察学校組 】
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7年前のあの頃 with CHIANTI
「黒凪。半年ぶり。」
『…ああ、今日は貴方と任務なのね…コルン。』
「今日…新人、来る。」
コルンの言葉に目を少し見開いて「それって、あの人?」と右側を指させば、サングラスでその視線の先は見えないが…コルンが恐らくそちらへ目を向けた。
「…ああ。キャンティ。」
『キャンティ…』
「フン。」
『挨拶もなしに睨みつけてくるものだから、何かと思っていたの。』
肩を竦めてそう言えば、コルンが「あぁ…」と納得したように呟く。
「アイリッシュ…また俺たちの仲間、殺した。」
『アイリッシュが?』
「でもそいつ、スパイだった。」
『ああ、なるほどね…』
そいつ、キャンティの指導役。キャンティ、怒ってる。
相変わらずの片言でそう説明してくれたコルンに「へえ…」とキャンティへと目を向けた。
あんな見た目で仲間思いなのね…。
キャンティはオレンジ色の髪に、右目には蝶のタトゥーというかなり派手な風貌をしている。
それにも関わらず私を見た途端にこちらを睨んで一言も話さないものだから驚いていたのだ。
『(…まあ、いいか。無理に仲良くなる必要もない…)』
「…黒凪。今回お前はバイクで現場に向かえ…」
そう背後から私に声をかけ、鍵を放り投げてくるジン。
それを掴んでバイクへと目を向ければ、一足先にコルンとキャンティがヘルメットをかぶっている。
あの人たちと仲良く並んで現場に向かうのかぁ…車に乗せて行ってくれれば楽なのに。
なんて、最近取ったばかりの免許証をポケットに放り込んでバイクの元へと向かう。
「はっ、アタイ等についてこれるのかい?」
『?』
「アンタ…最近免許取ったばかりなんだってね。」
『…まあ、どうにかします。(前世でバイクはよく乗ってたし、身体が覚えてるから…)』
そうしてウォッカの運転で動き出したジンのポルシェに続く。
すぐに高速に入り、ぐん、とキャンティが速度を上げた。
それを見てコルンがこちらに合図を送り、彼もそれに続く。
『(別に無理して続く必要もないけど…)』
ポルシェのサイドミラー越しにジンと目が合う。
早く来い、と…。
アクセルを捻り、速度を上げてポルシェに並んで走行し…やがて高速を下りれば、信号で止まったタイミングでポルシェの隣でバイクを一旦停止する。
『…ジン、予定通り標的の誘導に移るわ。』
「あぁ…」
狙撃場所に向かうキャンティとコルンを抜いて1人左折する。
彼らを抜き去った時、微かにキャンティの舌打ちが聞こえた気がしたが…まあ、知らないふりをした。
≪配置についたか?≫
「ああ。バッチリ見えてるよ。」
「OK、いつでも…」
コルンと並んで標的2人の脳天に標準を合わせる。
その隣を歩くのは狙撃位置に標的を誘導している宮野黒凪だとかっていう、ガキ。
「(…今あのガキを撃ったら…)」
あの野郎…アイリッシュはどんな顔をするだろうか。
そんなことを考えながらあの憎い白人野郎の顔を思い浮かべる。
アタイの指導役だったグラッパを…アタイの目の前で撲殺しやがった。
しかも、狙撃手なんざ武器を使うまでもない、なんて嫌味も添えて。
「(ああムカつく…本当に殺してやろうか、あの女…!)」
標準を宮野黒凪へと合わせて引き金に指をかける。
途端に隣のコルンがこちらに目を向けた。
「キャンティ、標的、黒凪じゃない。」
「分かってるよ! でもさァ…ムカつくんだよねあの野郎…アイリッシュ…!」
「キャンティ…」
『…。』
標準の中でこちらに目を向ける宮野黒凪。
あいつも無線は持っているし、アタイ達の会話が筒抜けなのは分かっている。
「泣いて命を乞うなら撃たないでおいてやるよ…! 宮野黒凪…!」
『…、』
アタイがアイツをスコープで狙っていることが分かっているためだろう、宮野黒凪が口を大げさに動かしこちらに何かを言っている。
目を細めて口元を凝視し、解読しようと努めると…
『 お く びょ う も の 』
「――!」
『 だ か ら 武 器 な ん て 必 要 な い 』
「おっ…お前、アイリッシュからグラッパのことを聞いてやがったな…!」
挑発的に笑みを見せた宮野黒凪にブチ、と血管がキレた音がした。
殺してやる…この女…!
≪――キャンティ≫
肩が跳ねた。ジンの地を這うような、低い低い声が耳の鼓膜を揺らす。
≪テメェ…ここに何しに来た…≫
「っ…」
≪これ以上ふざけた真似をするつもりなら殺すぞ…。≫
「…チッ…!」
標準を標的へと戻す。
そして狙撃位置に立った2人に、コルンの指が引き金にあたってカチ、と音を立てたのが聞こえた。
≪…はい。どうぞ。≫
そんな宮野黒凪の声にもう一度舌を撃って…引き金を引く。
コルンの弾丸も、アタイの弾丸も予定通りに標的の脳天を撃ちぬいて宮野黒凪の傍に2人が倒れ込む。
≪…黒凪、戻れ。≫
≪了解…≫
標準越しにバイクの元へと向かっていく宮野黒凪を追いかけ、舌を打つ。
ああ、今すぐに殺してやりたい…!
「キャンティ」
「ああっ⁉」
「黒凪、撃つべきじゃない。殺される。」
コルンの言葉に「んなことは分かってるよ!」と答えてライフルを下ろした。
分かってる、グラッパがスパイだったことは。でも、どうしてもあのスナイパーを馬鹿にしたようなセリフが頭から離れないんだよ…!
バイクに乗ってジンの元へと向かえば、助手席の窓越しに会話を交わしているジンと宮野黒凪が見える。
「(あの女がジンのお気に入りじゃなきゃ今すぐにでも殺してやるトコなのに…!)」
ジンが助手席の窓を閉め、振り返った宮野黒凪と視線が交わる。
『さっきは挑発してごめんなさいね。でも…アイリッシュのことで恨まれても困るわ。』
「アイツが言ってたんだよ、アタイとグラッパを連れた任務の最中に…!」
《仕事が遅ェ。これなら弟子を連れてきた方が楽ってもんだ。》
「ってね…!」
アタイの言葉に少しぽかんとした宮野黒凪がため息を吐いて肩をすくめた。
『それも、私には関係のない話よ。アイリッシュの口が悪いだけ。』
「なっ…」
「黙れキャンティ。言ったはずだぞ…ふざけた真似をすれば殺す。」
今にも口をついて出ようとした罵倒の言葉を飲み込み、不完全燃焼で胸がムカムカする。
ムカつく、この女…! まだ19かそこらのガキの癖に…!
嫌味キレキレ師弟
(アイリッシュ、お願いだからトラブルを起こさないでくれない?)
(貴方のしわ寄せが私にやってくるのよ…なぜか。)
(あぁ、キャンティか?)
(俺に勝てねェからお前に行ったか。予想通りの行動だ。)
(…仕向けたの?)
(まあな。)
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