過去編【 子供時代~ / 黒の組織,警察学校組 】
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18年前のあの頃 with 宮野志保
烏丸グループの元へやってきてから、半年が経った。
人間誰しも環境に慣れていくもので、私もこの頃には今の生活に順応していた。
今では考えなくとも銃に弾を籠められるし、襲い掛かられれば考える前に防御の姿勢に入る事が出来る。
言語だって、毎日色々と話させられていれば口をついて出るようになった。
「うん、君には素質があると思ったんだよ。黒凪ちゃん。」
『…。』
以前、私を両親から引きはがした意図が分からずおどおどしていた自分だが、今となっては組織が私を使って何をしたいのか大体の見当はついている。
だからこそ、枡山のこの応える必要のない言葉には、何も返さない。
そんな態度を取っても、私は殺されることはない。
なぜならこの人たちは…時間をかけて生粋の殺し屋というものを私で作り出そうとしているから。
「ということで、だ。」
訓練場に銀髪の長髪を携えた大男が入ってきた。
初老の枡山と並ぶと、余計その体格が目立つ。
そして人のよさそうな枡山の人相とは180度違う、その冷たい目、表情に鳥肌が立った。
「ボスの命令だ、ジン。やってくれるな?」
「…。こんなガキがどこまでやれるか見ものだな…。」
地を這うような低い声を聞いて鳥肌が立つ。
正直、まだここに来て半年の私はその圧に押しつぶされそうだった。
そしてこれから来るであろう、更に辛いものとなる日々に頭痛がするようだった。
そんな私をじっと見て、ジンと呼ばれた男の目が少し細まる。
「確かに、ただのガキじゃないらしい」
それからは地獄だった。本当に。
今まで以上にスパルタな教育に、1番辛かったのはーージンの任務に連れて行かれること。
何度彼が銃で吹き飛ばした頭を見た? 悲鳴を聞いた?
もう数えるのも馬鹿らしくなっていたのは、ジンとであって半年ほどの時。
それでも彼は頑なに私に人を殺させなかった。それは何故なのか。
そんな事を考えるよりも…人を殺さずに済んでいることに感謝ばかりしていた私はもうおかしくなっていたのだろうか。
『(自分でも…まだ折れてない自分の心に不思議でならない。)』
こんな生活はどう考えたって普通じゃない。慣れるべきではない。
でももう…何度人が目の前で亡くなっても何も思えなくなっていた。
そんな時だ。突然枡山が私を連れて父と母が働く研究所へと向かった。そして、
『…!』
研究所に併設された部屋でマジックミラー越しに赤ん坊を抱く両親を見た。
「さて黒凪ちゃん、あの赤ん坊だが…昼間は君が面倒を見ることになる。」
『え』
「君のご両親には研究に集中してもらわないといけないからね…。これはご両親の強い希望だ。やってくれるね?」
『…はい』
赤みかかった、私と同じ茶髪。
かわいい。
『…名前は?』
「確か…志保ちゃんだったかな。」
『志保…。』
そして初めて抱いた私の妹は小さく、弱く…絶対にこの子を守ってみせると私は1人心に決めたのだ。
今になったらわかる、誰が私を今まで人間たらしめたのか。
組織の望む、ただの駒となることを阻止してくれたのか。
人を人間たらしめるもの
(志保、本当にありがとう。)
(貴方はきっと自分が何をしたのかと疑問に思うでしょう。)
(でもね、貴方が生まれてくれた。それだけで十分だったの。)
(私にはそれだけで…。)
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