1年目
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春の暖かな風に揺られる髪を耳に掛けて、目の前にそびえ立つ大きな校舎を見上げる。
私は才能のせいで学校というものにあまり好意を抱けない。
日本中、世界各国の学校を飛び回り悲惨な現状を見てきた私にとっては学校なんて―
「わっ、」
「おっと」
校舎をぼんやりと眺めながら考え事をしていた私の背中に強い衝撃が走った。
突然背中を押されて転ぶ、なんて日常茶飯事の私にしてみれば受身をとるなんて簡単だけれど、私の手足が地面につくことは無かった。
腹部を見てみると回されている誰かの腕。
「すみません、ぼーっとしてて…大丈夫ですか?」
「あ、すみません。私もぼんやりしてました」
声を掛けてきた男性の手を借りて体制を立て直し、振り返ってお辞儀をする。
よく見ると、同じ希望ヶ峰本科の制服に身を包んだ、全体的に色素の薄い男性。
確か、77期生の超高校級の幸運……?
「もしかしてキミ……新入生?」
顎に手を当てて横目でこちらをチラリと見るその人はどこか私を探る様な目をしていた。
「はい、ピカピカの1年生です。多分センパイ、ですよね?」
第一印象が大事、と満面の笑みで質問をし返せば先輩からはうん、と短い返事だけが帰ってきた。
「ボクの名前は狛枝凪斗。超高校級の幸運、だよ。キミの名前と才能は?」
「私の名前は苗字名前です。超高校級のいじめられっ子なんて不本意な才能です」
私ははにかみながらそう言った。