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ぷらいべったーログ(ハレ高)

ソファ越しに抱きしめられた状態で、ただ中空を眺める。
視界の隅に映るカーテンの様なそれは、男の長い黒髪だった。囲われているみたいだ、などと考えながら煙草を吸おうとポケットを漁る。その間も男は、何がそんなに楽しいのか、笑いながら頬を撫でてくる。
ライターをテーブルの上に置きっぱなしだと気付いたが、後ろから伸ばされた腕は離してくれそうにない。舌打ちをして、ソファにーー男に体重を預ける。
「どろどろに甘やかしてダメにして、何処にも行けなくして」
愛おしげに、蕩けた声で囁く。
「そうしたら私のモノになってくれるでしょう?」
姿は見えないが、きっと夢を見るような笑顔を浮かべていることだろう。
(まだ、そんなことを)
この男は、いつまで叶わぬ夢を見続けるのだろうか。そうやって甘やかして閉じ込めようとして、結局手に入らなかった愛し子のことを、まさか忘れておるまいに。
「ねぇ、ハーレム?」
髪を撫でながらかけられたその声が空恐ろしかったのは、遠い記憶の誰かに似ていたからだろう。
(本当に駄目になってしまえれば、楽だろうに)
生憎とそうはいかない。……だからこそこうやって、狂った蜜月を続けられるのだろうが。
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