NARUTO/カカサク 短編①

恋のかけら/MEZZO"

「ヤバい……眠い……」

今日の任務は、アカデミーとは別の学校での先生のお手伝い。子供たちの相手はサスケくんとナルトで、外で元気よく遊んでいる。私とカカシ先生は空き教室で書類整理。本当は私も子供たちの相手が良かったんだけど、先生の指示で仕方なくこっちの分担になってしまった。ただでさえ単純な作業でつまらないのに、昨日夜更かししてしまったため、眠気が襲ってくる。いつもならさぼる先生も珍しく黙々と真面目に仕事してるのが原因だ。まぁ、そのおかげで大量にある書類の山もどんどんとなくなっていく。

「先生。コーヒー淹れようかと思うんですが、飲みますか?」
「うん、よろしく。でも、サクラってコーヒー飲めたっけ?」
「飲めないことはないです」

本当は苦手だが、眠気を覚ますには仕方ない。私はブラックコーヒーを2杯淹れると、片方を先生の方へ置き、もう片方を自分の方へ置くとさっそく口につける。

(やっぱり苦い……)

それでも眠気覚ましのためにちびちびと飲み続けるが、眠気がなくなる様子はない。

「サクラ……もしかして、眠いの?」
「そんなわけないじゃない」

私の様子に気づいた先生が声をかけてくれるが、なんとなく認めるのが嫌で否定すると、「そう……」と先生は再び書類整理に戻る。追及されないことにひと安心した私は、お手洗いに行くついでに顔を洗ったり、先生にばれないように眠くならないというツボを押したりするが、やはり効果はない。

これは本当にやばいかも……。必死に目を閉じまいとするも、だんだんと重くなる瞼に負けそうになって目を閉じた瞬間、唇に温かいものが触れた。

「えっ……なに……?」

思わず目を開けると、先生の顔が遠ざかっていくのが見えた。顔が遠ざかるということは、いままで近くにあったということ? 先生を驚きの目で見ていると、先生は平然とした様子でマスクを直してる。マスクを直すようなことって? 唇に触れたのは、温かく柔らかいものだった。そう例えるなら、前にいのと食べた唇のような食感を謳ったグミ……ってことは、キスされた……? 放心していると先生が何食わぬ顔で「どうしたの?」と声をかけてきた。

「先生、いまのって……」
「目が覚めたみたいで良かった」

そう言ってニッコリ笑うと、「そろそろナルト達の様子を見てくるか。あと残り少しだからよろしく」と先生は私の頭をひと撫でして去っていく。先生の言う通り、驚きすぎて目が覚めてしまった。いや、それよりも……。

「はっきりと言われなかったけど、これはやっぱりキスされたってことでいいのよね……? って、私のファーストキスーーー!!!」

先生を追いかけ廊下に出るが既におらず、私の叫び声は廊下の奥に吸い込まれていったのだった。
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