NARUTO/サスサク 短編

スワンソング/KinKi Kids

「サスケくんのことは好きだった。でもね……私、もう疲れちゃったの」

木ノ葉隠れの門の前。サクラが今にも消えそうな声で、だけどしっかりとした目で俺を見つめながらそう言った。目には涙が溜まっているが、それを流すまいと必死にこらえていた。

「サスケくんのためならいつまででも待てる。そう思っていたはずなのに……! サスケくんのことを想えば想うほど辛くて……いつのまにか待つのが苦痛になっていったの。弱い私でごめんなさい。本当にごめんなさい……」

謝り続けるサクラに俺はなるべく優しい声で「いいんだ、サクラ。もういいんだ」と声をかける。サクラの目が少し見開いたかと思うと、そこからどんどんと涙が溢れてくる。俺は指で拭おうとするが、とても追いつかない。

「なんで別れを告げるお前が泣くんだ」
「だって~」
「……謝るのは俺の方だ。俺はお前の笑顔が好きだった。けれど、俺と付き合ってからのお前は笑ってはいたが、どこか泣きそうだった。俺がそうさせてしまったんだな。すまなかった」
「そんなことない! サスケくんと付き合えるってなった時はすごく嬉しかったし、一緒にいる時はすごく幸せだったの。ただ、その分離れている時のことを考えると……」
「……お前はさっき“弱い私でごめんなさい”と言ったな」
「うん……」
「お前は弱くなんかない」
「そんなことない。私がもっと強かったらきっとサスケくんと離れることに耐えれたもの」
「いや、それは違う。お前が弱いままだったら、俺との別れを選ばないはずだ」
「そんなこと……」
「俺が里抜けした時と、俺がいま旅に出ている時の寂しさは違うだろう?」
「そう言われると確かに違うけど……」
「それはお前が強くなったからだ。だから、もう泣くな」
「サスケくん……」

サクラの涙は止まり、俺はそれに一安心する。

「いままでありがとう。俺はお前に会えて幸せだった」
「私も幸せだったよ。別れてもサスケくんが大切なことには変わりないから」
「それは俺も同じだ。……それじゃあ、俺はそろそろ行く」
「うん……気を付けてね」
「あぁ」

俺はサクラに背を向け、歩き出した。
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