NARUTO/カカサク 短編①

Tattoo Kiss/米倉千尋

先生との面談で彼氏と別れてから数日。街を歩いているとカカシ先生に会い、声を掛けられた。

「サークラ」
「カカシ先生!」
「ねぇ、サクラ。あれからどう?」
「あれからって?」
「新しい彼氏できた?」
「あ〜、そのことね。そんなすぐにはできないわよ」
「なら良かった。サクラに相応しい人が見つかったんだ」
「えっ、うそ……どうして?」
「このままだといつまでたっても同じことの繰り返しになると思ってね。俺が探してみることにしたんだけど、そしたらぴったりな人物を見つけてね」
「そう……」
「サクラ、明日仕事休みでしょ。さっそく会わせたいから、明日木ノ葉公園前に10時集合ね」
「えっ!? いきなり言われても……」
「それじゃあ、よろしく!」

そう言うと先生は素早く立ち去り、私はその場に一人取り残される形になる。

「一体何なのよ……」

先生の一方的な約束に私は行くか迷っていた。実は最近、カカシ先生のことを好きなことに気づいたからだ。どうやってアピールしようかと考えた矢先のこの出来事。先生が私に相応しい人を紹介してくれるって……これはもう脈無しということではないのか。私は大きなため息をついた。


翌日。私は気が向かないながらも、約束を反故することはできず、結局公園の前で待っていた。しばらくすると珍しく時間通りにカカシ先生がやってきた。

「お待たせ!」
「カカシ先生! ……あれ、もう一人は?」
「もう一人って?」
「先生が紹介したい人」
「えっ、いるじゃない」
「? どこに?」
「ここに」

先生は自分の方を指差している。私は先生の後ろを見るが誰もいない。

「誰もいないじゃない」
「いるよ、まだ分からない?」
「は?」

私はもう一度まわりを見渡す。もちろん誰もおらず、自分を差し続ける先生を見る。この場には私と先生しかいない……となると……。

「もしかして……先生?」
「正解!」
「えっ! えっ! ちょっ、どういうこと?」
「いや~、俺もびっくり。シカマルに言われるまで気が付かなかったよ。はい、これ。俺の資料を渡しとくね」

そう言って先生は何枚かの紙を渡してきたので、それを受け取る。紙には先生のプロフィールや経歴がいままでの男達と同様に書かれてた。おそらくこれもシカマルがまとめたのだろう。最後の紙には付箋がはりつけており、シカマルの字で“いい加減素直になれ”と書かれていた。シカマルは私の気持ちにいつから気付いていたのだろう……。

「シカマル……」
「本当シカマルはできる男だよね。で、サクラに相応しい男は俺しかいないと思うんだけど、どう?」
「どうって言われても……先生、私の事好きなの?」
「うん、好きだよ」

そう言って先生は先ほどのおちゃらけた雰囲気とは違って、真剣な表情で私を見つめてきた。その瞳に吸い込まれそうになれながらも、私は自分の心の奥にずっとしまっていた言葉を吐き出した。

「私も……先生が好き!」
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