NARUTO/カカサク 短編①

一色/NANA starring MIKA NAKASHIMA
※サクラちゃんとカカシ先生が最低なので、読む人はご注意を。

「どうしよう……」
「どうしようって、どうにかするしかないじゃないのよ」

最近体調が良くないため病院を受診した結果、妊娠していたことが分かった。いや、そういう行為をしていたのだからおかしくはないし、素直に喜ばしいことでもある。でも、1点だけ問題がある。それは誰が父親かということだ。私には思い当たる人物が2人いた。このことを一人で抱え込むことができず、すぐにいのを呼び出し事情を話した。

「相手には言ったの?」
「言ってない。どっちに言えばいいのか分からないんだもん」
「まぁ、そうよね。私はてっきりサスケくんだと思ったんだけど、まさかカカシ先生とも関係を持っているとは……」
「だってサスケくん、滅多に帰ってこないんだもん。辛くて苦しい時に支えてくれたのが先生だったのよ」

私はサスケくんと付き合っている。でも、サスケくんは任務でほとんど里にいない。そんな寂しさを埋めてくれたのが先生だった。私にはサスケくんがいて、先生には彼女がいる。所謂セフレというやつだ。

「可能性が高いのはどっちなのよ?」
「分かんない。先生とは定期的に会ってるし、サスケくんもちょうど里に帰ってきていた時期だったから……」
「避妊はしていたの?」
「……してたわよ」
「まぁ、ちゃんとしていても100%大丈夫なわけじゃないからね……。でも、堕ろす気はないんでしょ」
「当たり前じゃない。どちらの子でも私の大事な子には変わりないし、産んでみせるわ」
「じゃあやることは決まってるわね。2人に打ち明けなさい。サスケくんには罵倒される覚悟でね」
「罵倒って……」
「浮気してたんだから、それぐらい受け止めなさい。もしどちらもダメだったら私が一緒にその子を育ててあげるから」
「いの~!」
「もうっ! 本当に仕方ない子なんだから」

いのに泣きながら抱き着くと、いのは優しく受け止めてくれた。いのの胸に頭を預けながら、私は心の中で謝った。

ごめんね、いの。避妊してたなんて嘘ついて。サスケくんとするときはいつもきちんとしているんだけど、お互い酔っていて1回だけしていないときがあったの。カカシ先生とするときは、先生が嫌がるから毎回つけていないんだけど、中には出させていないから大丈夫かなって。まぁ、普通ならカカシ先生の子の可能性が高いのだけれど、時期を考えるとサスケくんの可能性もある。私としてはどちらの子でも嬉しいのだが、果たして2人は……。

――――――――――――――――

いのに相談した日から数日。私は公園のベンチに腰を掛けて、悩んでいた。いざ話をしようと決心をつけたものの、サスケくんはいつ帰ってくるか分からないし、先生も忙しく中々会えなかった。

「でも、もし会えたとしてもちゃんと言えるかな……」

サスケくんは……カカシ先生とも関係を持っていた私を軽蔑するだろう。別れ話になることも覚悟している。子供のことに関しては、産むのは許してくれるだろうが、認知してくれるかどうか……。いや、してくれなくても産むけど。

カカシ先生は……分からない。案外受け入れてくれる……いや、ないな。そもそも先生には彼女がいて、私はセフレの立場。結婚も考えていないって言っていたし。“お金を出すから堕ろしてほしい”、うん、きっとこのパターンだ。私が断っても、うまいこと言いくるめるはずだから、なんとかして産むのは認めてもらわなければ……。

「はぁ~」

どっちに転んでも地獄。自分で招いた種だと分かっているが、頭を抱えずにはいられない。一体どうすればいいのかな……。

「サークラ、どうしたの?」

聞きなれた声に頭をあげると、いままさに考えていた人が私の前に立っていた。

「カカシ先生。どうしてここに……」
「久しぶり。ごめんね、忙しくて中々会えなくて」
「別にいいのよ……先生が忙しいのは分かってるから」
「ちょうど良かった。ようやく落ちついたから、サクラに会いに行こうとしてたんだ」

そう言って、先生は私の隣に腰を下ろす。

「顔色悪いけど、大丈夫?」

先生は私の頬に手をあて、ゆっくりと撫でる。優しくて安心する手つきに私は自分の手を重ねた。

「心配してくれてありがとう。ちょっとね」
「悩みでもあるのかな。俺で良かったら話を聞くよ。サスケのこと?」
「うーん、サスケくんのことでもある」
「“も”? ということはサスケと誰かってこと?」
「そうね……まぁ、そうなるわね」

私は言葉を濁す。言わなきゃいけない、でも想像通りの反応だったら……そう思うと言葉が続かなかった。口を開いては閉じる私の反応に先生は戸惑いつつ、私の頬から手を離すと、今度は手を握ってくれた。

「時間はあるし、ゆっくりでいいよ」

先生の優しい声とぬくもりに、私はここまできたら腹をくくるしかないと、子供ができたことを思い切って打ち明けた。先生は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静な表情に戻り問いかける。

「……サスケには言ったのか?」
「まだ言ってない。里にいつ帰ってくるかも分からないし」
「まぁ、そうだよな……。ちなみに、どっちの子の可能性が高い?」
「それも分からない」
「そうか……」

そう言って先生は顎に手を添えながら、考え込む。先生の表情からは何を考えているかは読み取れない。やっぱり迷惑だったのかな……言わない方が良かった? 堕ろせって言われたらどうしよう。不安で押しつぶされそうになりながらも、私は先生の言葉を待つ。長い沈黙のあと、先生は意を決したように口を開いた。

「……分かった。俺がこの子の父親になるよ」
「えっ……いまなんて?」
「だから、サクラと結婚して、俺が子供の父親になるってこと」
「でも先生の子じゃないかもしれないのよ?」
「そうだけど、サクラの子には間違いないじゃない」
「でも……」
「いまのサスケにお前と子供の世話ができるとは思えないし……そうなると必然的に俺が責任を取るしかないでしょ」
「でも、先生彼女いるじゃない」
「あ〜、そうだった。まぁ、大丈夫」
「何が大丈夫なのよ」
「向こうから告白されてなんとなく付き合っていただけだし、別れるよ」
「そんなあっさり……」
「とにかくサクラはお腹の子の心配だけしてればいいの。ね?」
「……先生は本当にいいの?」
「まぁ、まわりからも身を固めろってうるさかったし……ちょうどいいのかもな」
「……」
「サクラは俺と一緒になるのは嫌?」
「嫌じゃないけど……」
「ならいいじゃない。とにかく後の事は先生に任せなさい」
「……分かった。ありがと、先生」

先生は私の返事を聞くと、ニコリと笑い、私の頭を撫でる。これからまだやることはたくさんあるし、サスケくんともきちんと向き合わなきゃいけない。不安はあるけれど、先生がいてくれるなら大丈夫。私は先生と一緒になることを改めて決意した。

――――――――――――――――

■後書き■

分かりづらいかもなので、ここで少し補足を。

先生はサクラちゃんのことを愛しています。子供ができたから、仕方なく結婚するわけではないです。私の中のカカサクがそんなの許しません。サクラちゃんがサスケくんとくっついても、結局サクラちゃんを諦めきれずに中途半端に手を出してしまったパターンですね。先生は不器用な男なんです。

サクラちゃんも先生のことを愛しています。いまのところ自覚はしていないですが。サスケくんのことももちろん好きですが、先生への好きとは違います。サスケくんがいなくて寂しいからカカシ先生に体を許したのではなく、カカシ先生が好きだから体を許したんです。ここ重要。その違いに今後サクラちゃんは気づいていくと思います。

いつか前日談や続編、番外編などで詳細を書けたらいいな……。


また、タイトルからも分かるように『NANA』をイメージしています。連載再開、待っています。


以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
40/100ページ