NARUTO/ナルサク 短編 

ハツコイリズム / IDOLiSH7

「サクラちゃん、今日も可愛いんだから、変なやつに絡まれないように気をつけるってばよ」
「はいはい。ありがとね、ナルト」
「あと、今日は早く帰るから」
「うん、待ってるね」
「それと……」
「……もうっ! 分かったから早く行かないと遅刻するわよ!」
「あっ! いっけねー!! それじゃあ行ってくるってばよ!!」
「いってらっしゃい」

私は日課となっている“いってきます”のキスをするとナルトを見送り、こちらを先ほどから見ているいののもとへと向かう。今日は久しぶりにいのとお茶をするのだ。

「おはよう、いの」
「おはよう、サクラ。あんた達、道端で朝から熱いわね〜」
「そうかしら?」
「サクラはともかく、ナルトよ。今日だって仕事前にわざわざここまで送ってくれたんでしょ。あんたにベタ惚れじゃない」
「可愛いでしょ。まぁ、時々ちょっぴりうざいけどね」
「そう言う割には幸せそうな顔してるわよ」

そんな会話をしながら喫茶店に入ると、お茶を飲みながら他愛もない話をしていく。そして、話題はいつのまにかナルトと私の話へ。

「そういえば、どうしてナルトと付き合ったの? あんた、カカシ先生とサスケくんからもアプローチされてたじゃない」
「えっ! カカシ先生は冗談かと思って……。てか、サスケくんも!?」
「あんた気づいてなかったの!?」
「うん」
「まぁ、口には出してなかったから仕方ないか……。でも、あんただけを特別扱いしてたのはまわりからみて丸わかりだったわよ」
「そうなんだ。知らなかった……」
「サクラって変なところで鈍いわよねー。でも、今更知ったところであんたの気持ちは変わらないでしょ」
「もちろん」
「で、ナルトを選んだ理由は?」
「うーん。私も上手く説明できないんだけど……ナルトが一番真っすぐに“可愛い”とか“好き”って言ってくれたからかな」
「?」
「例えばカカシ先生に“可愛い”って言われても、それは子供やペットに言うような意味合いが含まれているというか。なんかいまいち私を好きな気持ちが伝わってこなかったのよね。サスケくんはそもそも言わないし。でもナルトは純粋に私の事を女の子としてきちんと“可愛い”って言ってくれてるのが伝わってきたの。それってすごく幸せなことなんじゃないかなって気づいたからかな」
「つまり、一番サクラのことを好きな気持ちが伝わってきたってことね」
「そういうこと! いままでひどい態度とかとった時もあったのに、それでも変わらずずっと私を見てくれてたし、気持ちも変わらなかった。本当すごいやつよね」

私はナルトに告白された時のことを思い出す。それは何度目かのナルトからの告白の時。

「サクラちゃん、好きだってばよ」
「ナルト……前にも言ったけど、私にはあんたに想われる資格なんてないし、私よりナルトにふさわしい子がいると思う」
「俺はサクラちゃんがいいんだ。この気持ちは今も昔も変わってないってばよ!」
「この先は変わるかもしれないじゃない!」

ナルトは私の手を取るとそれを自分の胸に持っていく。“ドクドク ドクドク”とナルトの胸から伝わる鼓動は通常より速いような気がした。

「こんなにドキドキするのは……今も昔もサクラちゃんだけ。俺はこの胸の鼓動がずっとこの先も同じように刻んでいく気がするんだってばよ」
「ナルト……」
「俺の勘が当たるのはサクラちゃんもよく知っているんじゃないかな。もし俺の言葉が信じられないなら、サクラちゃんが信じられるまで、俺は何度だって言うからさ。サクラちゃん、大好きだってばよ!」

そう言って笑ったナルトの笑顔は目が眩むほどに眩しかった。その時、その笑顔をずっとそばで、一番近くで見ていたいと思ってしまい、私はついに自分のいままで見て見ぬふりをしていた気持ちを認めることにした。

「その言葉信じてあげる。……私もあんたが好きよ」

その後、感極まって大泣きするナルトを慰めるのが大変だったけ……。



「……サクラ。サクラ!」
「あっ! いの……」
「もうっ! 自分の世界に入らないでよ」
「ごめんごめん」
「まぁ、女は想うより想われる方が幸せっていうもんね。サクラ……いま幸せ?」
「もちろん! 世界で一番幸せよ!」

それから再び他愛もない話をして、いのと別れた後はある場所で用事を済ませる。そして、夕飯の買い物をし、家へと帰り、夕食を作る。ちょうど作り終えた時に「ただいまってばよ~」とタイミング良くドアが開く音がし、私はすぐに玄関へとナルトを迎えにいく。

「おかえりなさい」
「はい、これサクラちゃんに」
「餡蜜……しかもこれ私が食べたかったやつ! 嬉しい! ありがとう」
「えへへ、喜んでくれて良かったってばよ」
「でも、これでまた太っちゃうわ」
「サクラちゃんは太っても可愛いから大丈夫だってばよ」
「なにが大丈夫なのよ〜」
「それに太っても俺と夜の運動すれば……」
「何言ってるのよ!!」

私はナルトを思いっきり叩く。頭をさすりながら「ごめんってばよ」と涙目のナルトに、私は「次はないからね!」と許す風の態度を取る。まぁ、最初から怒ってはいなかったけど。

「それより、今日のご飯はハンバーグよ」
「やったー! サクラちゃんのハンバーグ、好きだってばよ!」
「せっかく出来立てなのに冷めちゃうから、早く手を洗って着替えてきて」
「まかせろってばよ!」

急いで洗面台に向かうナルトを見て私は自分のお腹を見る。

「ナルト、きっとびっくりするだろうな~」

夕食後、家族が増える事を知ったナルトはどうするだろう。きっと驚いて喜んでくれるのは確かだ。そう確信できるほど私はナルトに愛されてると思う。今日の用事も病院で、そこでナルトとの赤ちゃんがお腹にいることが分かったのだ。

「あなたのこともきっと愛してくれるわ。だから安心して生まれてきてね」

私は微笑みながら、ナルトとの子供がいるお腹をそっと撫でた。
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