NARUTO/カカサク 短編①

Sit! Stay! Wait! Down!/安室奈美恵


任務が終わり、夕飯を買おうと近くのスーパーに寄ると、スイーツコーナーに似合わない人物がいて俺は思わず声をかけた。

「おい、カカシ。お前こんなところで何してるんだ?」
「何してるって、買い物に決まってるでしょ。お前こそどうしたの」
「それを言うなら俺だって夕飯を買いに来たとこなんだが。買い物してるのは見れば分かる。問題は甘いものが苦手なお前が何でスイーツコーナーにいるかってことだ」
「あぁ、そっちね。家に泊まりに来たサクラが急にプリン食べたいって言いだして買いにきたのよ」
「でもお前の家からここのスーパーまで遠いだろ。近くに他のスーパーあっただろうに」
「そうなんだけど、サクラが食べたいメーカーのやつがなくて。ここまで探しに来たんだ」
「他のメーカーじゃダメなのか?」
「前にそうしたら、機嫌損ねて大変だったんだよ。だから、仕方なくここまできたの」
「それはご苦労なことだな。それでお目当てのものはあったのか」
「あぁ。無事に見つかって良かったよ」

そう言ってカカシはプリンを一つ手に取る。

「それは良かった。しかし、そのわがままに嫌にならないのか?」
「うーん、別に嫌じゃないかな。甘いものを食べてる時のサクラの笑顔が好きだし。そのためなら全然」
「そういえば、前も深夜にいきなりサクラに呼び出されたことがあったって言ってたよな」
「怖い夢を見たらしくてね。急いで準備してサクラの家まで行ったのに、もう何事もなかったように寝てたから、意味なかったけどね」
「それひどくないか」
「まぁ、無事に寝れたみたいで良かったよ」
「ほかにも女と2人で話してるだけで、ビンタされていなかったか」
「あれは痛かったね~。道を聞かれただけなんだけど。でも、怒るサクラも可愛かったな」
「……お前、そんなに心の広いやつだったか?」
「まさか。サクラ以外のやつにやられたら、そっこう縁を切ってるよ」
「だよな」
「そりゃあ、サクラのわがままに時々困ることはあるよ。でも怒ることはないかな。なんかサクラなら許せちゃうんだよねー」
「惚れた弱みってやつか」
「あはは、確かにな。それじゃあ俺はそろそろ帰るよ。あまり遅いとサクラ寝ちゃうから」
「そうしろ」

カカシは俺との会話を切り上げると、プリンを持ってレジへ向かった。
その後ろ姿は何というか幸せそうで、俺もあいつに会いたくなった。
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