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NARUTO/カカサク 短編②

love come down/Kalafina

「ねぇ君。いま、一人? 俺達と遊びに行こうよ」
「いや、この後予定あるんで無理です」
「え~、そんな風には見えないけど。俺達、君を楽しませる自信あるし、行こうよ」

一人で買い物を楽しみ、休憩していた時に若いチャラそうな男2人に声をかけられた。所謂ナンパというやつだ。塩対応をとってもしつこい彼らにどうするか悩んでいた時に、「サクラ! ごめん、待たせたな」と聞き覚えのある声。この声って……。後ろを振り向くと、予想通りの人物が私達に近づいてくる。

「カカシ先生」
「道で迷ってるお婆さんを助けてたら遅れて……あれ、そいつら知り合い?」

こう言ってはいるが、カカシ先生とは今日会う約束をしていない。ただ、私の困っている状況を見てどうやら“待ち合わせをしていて、これから一緒に行動する”という設定で助け舟を出してくれているらしい。私も素直にそれにのることにした。

「ううん、知らない人。先生を待ってる時に声を掛けられたの」
「彼女が暇そうにしてたからさ。それにこれから仲良くなる予定だから、あんたは帰ってくれてもいいよ」

待ち人が来たというのに諦める様子のない彼らに驚きながらも、これはどうしたものかか考えていると、カカシ先生にグイっと肩を引き寄せられ、先生との距離が一気に近くなる。

「それは無理なお願いかな。この子は俺の可愛い彼女で、これからデートなんで」

“えっ!! ちょっ! 近い近い!! てか、彼女ってなに!?”と声と表情に出さなかった私を褒めてほしい。生まれてこのかた、お父さん以外の異性とこんなに接近したことがない私はプチパニック状態。だけど、ここで態度に出したら、先生の芝居が水の泡になってしまう。

「な? そうだよな?」

甘い顔しながらも圧をかけてくるカカシ先生に私は思いっきり深く頷く。

「そういうことなんで。早くどっかに行ってくれません?」
「え~、でも俺達と遊んだほうが絶対に楽しめるよ」

それでもなお諦めない彼らと、先生との距離の近さに相変わらずパニック状態な私は、早くこの状況を変えたい一心で、もうどうにでもなれ! と先生の彼女になりきることにした。

「私達はラブラブなので! あなた達の入る隙間はないです!」

私は先生の方を向き腕をひっぱると、顔を寄せて唇の端にキスをする。先生の目が見開くのが分かった。“ごめん! でも唇にはしてないから許してほしい!”という思いを込めそれを終えると、今度は彼らの方を向いて勢いよく「こういうことなんで! 早くどこかに行ってください!!」と言い切る。

「っち、なんだよ」

そのおかげか、悪態をつきつつも、男たちは去っていく。それに安心した私は「はぁ~、ようやくいなくなったね。ありがとう、カカシ先生」と再び先生の方を向くが、なぜか先生は片手で顔を覆い、項垂れている。それを見た私は“あれ、やっぱりキスはまずかった? そりゃあ、付き合ってもない女からされたら嫌だよね”と一気に不安になる。

「ごめん、先生。いくらふりでも嫌だったでしょ? でも唇にはしてないからノーカンだと思いますよ。ね? だから、気にしないで」

私は必死にフォローするが、先生の様子は変わらない。そんなに嫌だったのか……。女に慣れてそうだと思ったけど、案外ピュアなのかな。

「本当にごめんなさい」

もうどうすることもできないと悟った私は、視界に入るのも嫌だろうと、先生に背を向けこの場から離れようとする。その時、先生に腕を掴まれた。

「カカシ先生?」
「……嫌じゃない」
「えっ?」
「まさかサクラからしてくれるなんて思ってなくて」

そう言った先生の指の隙間から見えた顔色は真っ赤だった。

「先生、顔真っ赤」
「仕方ないでしょ。好きな子にキスされたんだから」
「唇の端だからキスはしてないってさっき言いましたよ。……って、え? 好きな子? 私?」
「他に誰がいるのよ?」
「先生が私を好き?」
「だからそう言ってるでしょ」

ようやく顔を上げた先生はさっきよりは落ち着いた顔色だったが、まだほんのり赤かった。

「うそ、だって……そんな素振りは……」
「俺、一応頑張ってアピールしてたつもりだったんだけど。サクラ、全然気づかないんだもん」
「えっ、うそ。確かに距離が近いなって思うことはあったけど……」

よくよく振り返ってみると先生の私を見る目が優しかったような……。ほかにもいくつか思い当たることがあり、今度は私の顔がどんどんと赤くなっていく。カカシ先生が私を好き。なにそれ、嬉しいかも……。ひとり物思いにふけっていると、急に先生の顔が近づいてきて唇に柔らかい感触があたる。

「あと、これでノーカンじゃなくなったでしょ」

意地悪い表情をした先生の顔が離れていく。私、いま先生にキスされた……。

「えええーーー!!!」

そんな私を満足そうに見守った先生は、「さぁ、本当のデートに行きますか」と私の手を取って歩き出した。
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