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NARUTO/カカサク 短編②

恋はなんだろう/七海るちあ(中田あすみ)

第七班での任務中。俺はふと気になったことがあり、近くにいるサクラに尋ねた。

「ねぇ、サクラ?」
「なに?」
「お前、ナルトと同じ匂いがしないか?」
「えっ? うそ! 臭いってこと?」
「いや、そういうのじゃないけど……」
「信じられない! ちょっと確かめてみる!!」
「えっ、ちょっと」

俺の言葉を最後まで聞かずにサクラはすぐさま少し離れているナルトの元へ行き、ナルトと何やら会話をしている。しばらくして、サクラはこちらへと戻ってきた。

「先生! もしかしてその匂いって、金木犀みたいな匂い?」
「あ~、言われてみればそうかも」
「やっぱり! 柔軟剤の香りよ! ナルトにも聞いたら同じものを使っているみたいだったから、それが原因よ。先生が“匂う”って言うから、焦ったじゃない。そういうのは香りって言ってよ~」
「あはは、ごめんね」
「とりあえず、原因が分かって良かったわ。私、木ノ葉シリーズの柔軟剤の中でもこの金木犀の香りが一番好きなのよね~」
「へぇ~」


そして、任務終了後。

「そういえば、俺の家の柔軟剤きれてたような……」

ふと思い出し、薬局に寄ると、サクラが先ほど言っていた柔軟剤が置いてあるのを見つけた。

「……」

じっと見た後、俺はなぜかそれを手に取りいつのまにか会計をしていた。

「買うつもりなかったんだけどな……」

しかし、買ってしまったものはしょうがない。俺はその柔軟剤を使うことにした。



それから数日後。いつものように第七班での任務をこなしていると、サクラが俺の方にやってきた。

「ねぇ、先生?」
「ん?」
「先生もあの柔軟剤買ったの? 私と同じ香りがするから」
「あ~、まぁ、うん」
「そうなんだ。どうして?」
「どうしてって言われても……」

理由はとくにない。いや、分からないというのが正しい。無意識に買っていたのだから。俺がなんて答えようかと迷っている間に、サクラが何か思いついたように言う。

「あっ! もしかして私とおそろいにしたかったとか?」
「えっ?」
「ほらよく言うじゃない。好きな人と色々おそろいにしたいとか。だから、先生も私の事が好きで、私とおそろいの香りにしたかったのかな~とか思って」
「……」
「……なわけないか、冗談よ! あの柔軟剤、香りはもちろん普通に着心地も良くなるしね。深い意味はないわよね」

そう言い一人で勝手に納得すると、サクラは自分の持ち場へ戻っていく。俺はサクラが去った後もその場で先ほどのサクラの言葉の意味を考える。

“先生も私の事が好きで、私とおそろいの香りにしたかったのかな~”

そこで俺はハッとした。いままで柔軟剤にこだわったことはない。なのに、なぜあの柔軟剤を買ったのか。それはサクラが使っているから。なぜ、サクラが使っているからと理由で買ったのか。それはサクラが好きな香りだと言ったから。なぜサクラが好きな香りだからと言ったから買うのか。それは俺が……サクラの事を好きだから。

「なるほどね」

サクラの言葉でようやく自分の気持ちに気づいた俺はこれからどうやってサクラにアピールするかを考えなければならない。

「でも、その前に……ナルトには別の柔軟剤を使ってもらうことにしよう」

サクラとのおそろいは俺だけでいい。俺はナルトに別の柔軟剤を使ってもらうべく、急いで薬局へ向かうことにした。
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