NARUTO/カカサク 短編②

I'll be the one/HΛL

ーサクラ:下忍時代ー

「カカシ先生って結婚しないの?」
「どうしたの? 急にそんなこと聞いて」
「近所のお兄さんが最近結婚したの。先生と同じぐらいの年齢だから、先生はしないのかなって」
「うーん、しないかな。相手もいないしね」
「えー、つまんないの! じゃあ、好きな人はいるの?」
「……どうだろう」
「えっ? いるの? その反応はいるでしょ! 誰??」
「サクラには教えなーい」
「ケチ―!! 特徴だけでも教えてくれたっていいでしょ!」
「特徴ね~」
「年上? 年下?」
「年下かな」
「なるほどね。じゃあ、可愛い系? 綺麗系?」
「可愛いと思うよ」
「どこらへんが可愛いと思うの?」
「うーん、なんだろう。感情的になりやすいところやすぐに手が出るところとか?」
「それって可愛いかしら……?」
「俺にとっては可愛いの。なんか目が離さなくなるんだよね」
「ふーん、先生って変わってるのね」


ーサクラ:綱手修行時代ー

「ねぇ、カカシ先生ってまだ結婚しないの?」
「その質問、前にもされたよね。しないよ」
「じゃあ、前言っていた好きな人は? あれからどう?」
「変わらないよ」
「えー、長いわね。そんなにのんびりしてると誰かに取られちゃうわよ」
「もう取られてるようなものだけどね」
「うそ!? 人妻? 先生、不倫はだめよ」
「いや、人妻じゃないから」
「ならいいけど……じゃあ、どういう意味?」
「その子にはもう大事な人がいるからね」
「そっか……それは辛いわね」
「そうでもないよ。その子のそばにいるだけで俺はそれで充分だから」
「そういうもの?」
「そういうもん。サクラももう少し大人になったら分かると思うよ」
「そうかしら……」


ー大戦終結後ー

「先生はいつになったら結婚するの?」
「逆にサクラはいつになったらその質問をやめてくれるの?」
「先生が結婚するまでかしら」
「それはずっとだね」
「あれから好きな人は?」
「変わらずかな。サクラこそサスケと結婚しないの?」
「なんでサスケくん?」
「サスケのこと好きなんでしょ? そりゃあ、任務で里にいないことは多いから結婚相手にはあまり向かないかもだけだけど、ずっとサスケを想ってきたサクラにとってはそんなこと朝飯前でしょ」
「いつの話してる? 確かにサスケくんのことはずっと好きだったけれど、いまは仲間としての好きというか……。それにいまは他に好きな人いるし」
「うそでしょ!? 誰? ナルト!? いや、ナルトはすでにヒナタがいるから……まさかの我愛羅とか!?」
「違うわよ! なんでそうなるのよ! もっと私の近くにいるでしょ!!」
「サクラの近く……?」
「そう。もう一つヒントを出すとしたら、私が毎回同じ質問をして、毎回同じ答えを返す人。これで分かるんじゃないかしら?」

私の言葉に先生は目を見開き、“まさか……”という表情を向ける。

「……だっていつから……」
「それは分からないけど、いつのまにか好きになってたのよね」
「本当なのか?」
「うそでこんなこと言わないわよ。本当は先生から言ってくれるのを待ってたんだけど、この調子だといつになるか分からなそうだから、もう自分から言おうと思って」
「俺からとは……?」
「まさか私が気づいてないと思ってる? 自覚ないかもしれないけど……先生、けっこう分かりやすかったわよ」
「……」
「ねぇ、先生。私、先生の口からきちんと聞きたいな」

先生の顔をじっと見ると、先生は一瞬戸惑ったような表情をしつつも、すぐに切り替え私の手を握って真剣な表情で私を見つめる。

「俺の……好きな人はずっと……サクラ、お前だけだったよ」
「……うん、知ってる。私も先生の事が好き」

ずっと待っていた言葉に私は満面の笑みで先生の手を握り返す。

「じゃあ、さっそくサクラの両親のところにご挨拶に行こうか」
「ん? 挨拶?」
「だって結婚するんだから、報告は大事でしょ」
「え、ちょっと待って! 結婚? 付き合うとかじゃなくて?」
「俺とサクラ、もう何年一緒に過ごしてると思ってるの。付き合うとか今更でしょ」
「そう言われると……そうかも? いや、でも……」
「いいから行くよ。婚姻届けも出しにいくから、急がないと」

そんな感じで先生はすごいスピードで結婚の準備をしていき、私はあっという間に“はたけサクラ”になったのだった。
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