ハイキュー‼/黒尾夢
今日の晩御飯は鉄朗の好きなサンマの塩焼き。
食卓に鉄朗の分だけ出すと、鉄朗がそれに気づき問いかける。
「サンキュー。あれ? お前の分は?」
「うーん、私はいいかな」
「もしかして、魚嫌い?」
「そういうわけではないんだけど……理由聞いても笑わない?」
「大丈夫だって」
「私、魚の骨が取れないの。いつも両親にやってもらっていて。自分でもやるようにはしてるんだけど、どうしてもぐちゃぐちゃになっちゃっうんだよね。鉄朗はいつも綺麗に取るでしょ? だから、そんな場面見せたらきっと幻滅されちゃうかなと思って」
「だからいままで魚系を食べなかったのか」
「うん、いい歳して恥ずかしいよね」
「そんなことないでしょ。人には得意なことと苦手なことがあるだろうし。これからは俺が取ってあげるから一緒に食べよう」
「本当に……?」
「あぁ」
「ありがとう、嬉しい!」
それから魚の骨を取る役目は鉄朗になった。しかし、私が魚を綺麗に食べられるように練習してできるようになったのに、鉄朗はその役目を頑なに譲らず、私の努力は泡となるのだった。