ハイキュー‼/黒尾夢
ほかの女の子を優先する彼氏と別れた。はずなんだけど……。
なぜか黒尾は私と友人が話しているところに割って入ってくる。
「なぁ、今日部活休みなんだけど、一緒に帰らない?」
「友達とクレープ食べに行くから無理」
「じゃあ、俺も一緒に……」
「だから、無理って「私はいいよー!」
「ちょっと!?」
「人数多い方がいいじゃん」
「でも……」
「わりぃ、ありがと! じゃあ、またあとで!」
黒尾が去り、私は友人を睨みつける。
「どういうこと!?」
「だってあんた断ってばっかりでしょ」
「当たり前じゃない。誰か好き好んで元カレとつるまなきゃいけないのよ……」
黒尾に別れを告げた日。バレー部でもない、クラスも違う私はもう黒尾とは関わることはないと思っていたのに、なぜか黒尾は絡んでくる。毎日連絡してくるし、部活がない日は登下校や遊びに誘うし、休み時間もこうして律儀に話しかけにやってくる。もちろん断ったり、塩対応をしたりしてるけどそれでもやめないことに私は戸惑っていた。
「まぁ、いままでの黒尾は確かにひどかったよ。でも、あんたと別れてから随分反省したみたいじゃない。あの女ともいまは一切関わってないらしいし」
「そうだけど……私はいままでのこと許してないし。てか、もうどうでもいい」
「ふーん、その割には黒尾が来るたび嬉しそうな顔してるじゃない」
「してない!」
「はいはい、そういうことにしといてあげる」
チャイムが鳴り、友人は自分の席に戻る。
私は自分の気持ちが分からなくなっていた。黒尾のことは確かに好きだった。でも、他の女の子を優先する黒尾にその気持ちも冷めたたはず。でも、黒尾はその子と縁を切り、前みたいに、いや前以上にアピールしてくる。そのせいか、その好きという気持ちが蘇ってきている。でも、蘇ってきたとしてもまた同じことをされたら……。その複雑な気持ちが黒尾を受けれられないが、完全に拒絶することもできないでいた。
そして、その放課後。
「ごめーん! 私、急に家で留守番しなくちゃいけなくなったから2人でクレープ食べてきて!」
「えっ……じゃあ、また今度で……」
「あんたが食べたがってた、マンゴースペシャル。確か今日まででしょ。今回を逃すともう食べれないかもよ~」
「うっ……でも……」
「じゃあ、お言葉に甘えて。行くぞ」
そう言って黒尾は私の手を取ると、クレープ屋へと向かって歩き出す。友人はそれを笑顔で見送っていた。
「手、そろそろ離してよ」
「ん-?」
「だから、手を……」
「俺は離したくないんだけど」
「私は離したい。もう別れたのに……!」
黒尾は急に立ち止まったかと思うと、手を握ったまま私の方に真剣な表情を向ける。
「俺は別れたつもりはないけど」
「私はある。彼女が一番じゃない彼氏なんていらない」
「俺の一番は前も今も彼女のお前だけだよ」
「……じゃあ、なんであの子を優先したりしたのよ」
「それは……主将として俺がバレー部を引っ張っていかなきゃと思って。チームはもちろん、マネージャーのことも。でも、その行動がいきすぎていたことにお前に言われるまで気づけなかった。ごめん。でも、もう間違えないから」
「……こわいの。もしまた同じことされたらって……そしたら、今度こそ私は立ち直れない。信じたいけど、信じられないよ」
「じゃあ、お前が信じれるまで頑張るから」
「一生信じないかもしれないよ?」
「でも、いつかは信じてくれるかもしれないでしょ?」
「それはそうだけど……」
「それでいいから。俺に頑張らせて」
「……分かった」
「ありがとう……じゃあ、クレープ食いに行くか」
「……うん」
歩き出した黒尾の手を私は握り返す。それに気づいた黒尾が嬉しそうに笑いながら、私たちはクレープ屋へと向かう。これからどうなるかは分からない。けれど、少しだけ黒尾のことを信じてみようかなと思い始めたのだった。
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