ハイキュー‼/黒尾夢
今日は友達の紹介で知り合った男性とデートする日。友達からは名前しか聞いておらず、容姿や性格など一切分からない。ドキドキしながら待っていると、家の呼び鈴が鳴り、私は「はーい!」とドアを開けた。そこには黒髪高身長のイケメンがいて、私の姿を見て驚いている。
「初めまして、あなたが黒尾鉄朗さん?」
「うん。えっと、君は……」
「その様子だと、友達は話してなかったみたいね。まぁ、話してたら会ってくれないか……」
私はまたかと思いながらも、困惑している彼に言葉を続ける。
「私、見ての通り小人症なの。普通の女が出てくると思ったから、驚いたでしょ。友達から聞いているかなって思ってたんだけど……」
「いや、その……」
「気にしないで、こういうことは慣れてるから。こんな女と無理してデートする必要はないわ。友達には私が上手く言っとくから安心して。無駄足踏ませてごめんなさいね」
そう言いドアを閉めようとすると、彼が「待って!」とそれを防ぐ。
「デートしないなんて言ってない。知らなかったから、驚いちゃって……気分を悪くしたならごめん。でも、嫌じゃない。どうして俺が嫌だと思ったの?」
「だって、いままでがそうだったから。男の人はこんな低身長な女と一緒に歩くのは嫌でしょ? 特にあなたは背が高いし」
「俺を他のやつと一緒にしないでくれるかな。……ところで、俺の容姿はどう思う?」
「えっ? かっこいいと思うけど……」
「バレーは好き?」
「やったことはないけど、見るのは好きかも」
「じゃあ問題ないね」
「問題ないって?」
「俺は君のことを可愛いと思うし、もっと知りたいと思った。君も俺の容姿は合格みたいだし、中身はこれから知ってもらうとして……そのためにはやっぱりデートに行かなきゃだろ?」
そう言って彼は得意げに手を差し出す。
「……本当に私でいいの?」
「もちろん。俺は君がいいんだけど」
それでも渋る私にしびれを切らした彼は、私の手を取ると外に連れ出した。