ハイキュー‼/黒尾夢
「どうしよう……」
私の机の上には大量のウエハースが積み重なっている。なぜこんなにあるのかというと、ウエハースについている推しのカードを手に入れるために、大人買いしたから。おのれ、ランダム商法……。そして、ついに念願の推しカードを手に入れたものの、大量のウエハースに頭を悩ませていた。
「なにこれ、すごい量じゃん」
「黒尾くん……」
隣の席の黒尾くん。3年生で初めて同じクラスになり、さらに席が隣になった事がきっかけで話すようになった。
「えっと、推しのカードを手に入れるために買ったんだけど、このウエハースたちをどうしようかなって。全部はさすがに食べれないし」
「なるほどね。……推しってどんなやつ?」
「この子!」
興味をもってもらったのが嬉しく、私はカードを見せながら熱く推しの魅力を熱く語る。
「あっ、ごめん……急にこんな語られても困るよね」
「ん? いや、案外面白かったよ。推しはこいつね。よし! 覚えたわ」
そう言って笑う黒尾くん。なんていい人なんだろう……と感激していると、さらに続いた救世主のような発言に私は驚く。
「ウエハース、俺がもらうよ」
「えっ? いいの?」
「うん。バレー部のやつらに配ればすぐになくなるでしょ」
「ありがとう! この御恩は一生忘れないから!!」
「あはは、大げさだって」
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放課後の部活にて。
「クロ、その大量のウエハースどうしたの?」
「お嬢さんに近づくための第一の難関かな」
「? まぁ、いいけど……」