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NARUTO/ナルサク 短編 

Love yourself 〜君が嫌いな君が好き〜/KAT-TUN

「ちょっと! サクラ! あの話、聞いた?」

お昼休憩時間。お弁当を食べ終えのんびりしていると、いのが息を切らせながら私の元へやってきた。

「どうしたのよ。そんなに急いで」
「別れたのよ!」
「誰と誰が?」
「ナルトとヒナタよ」
「えっ!?」

私はいのの言葉がすぐには信じられなかった。

「うそでしょ……」
「それが本当らしいのよ! ヒナタがナルトを振ったらしいわ」
「そんな……なんで……」
「こっちが聞きたいわよ……」

それからのことはあまり覚えてない。いつのまにか自分の家のソファに座っていた。仕事はきちんと片づけたはず、たぶん。それぐらい衝撃だったのだ。

あんなにナルトのことが好きだったヒナタがどうして……ほかに好きな人ができた? いや、それはない。じゃあ何で……。それに、ナルトは大丈夫だろうか。案外繊細な心を持っているから、心配だわ。もしいま私が慰めにいったら、もしかしたら私が付き合えるかもしれない……そんな考えがよぎり、私はとっさに首を振る。なんて最低な女なんだろう。私はいつも自分のことばかり。自己嫌悪していると、家のチャイムが鳴る。

「誰だろう? 今日は誰とも約束をしていないはず」

不思議に思いながら、玄関のドアを開けると、目の前には今まさに考えていたナルトがいた。

「ナルト……」
「突然ごめん。サクラちゃんに話したいことがあってよ……」
「話したい事……うん、大丈夫。入って」

きっとヒナタのことだろう。私は平然を装い、ナルトを部屋の中に入れる。私はおそるおそるに部屋に上がるナルトを居間へと案内し、ソファに座らせる。

「紅茶でいいかしら?」
「うん」

紅茶を用意しながら、自分の気持ちを落ち着かせる。ナルトはきっとヒナタと別れたことの報告をしにきたのだろう。もしかしたら、どうやったらよりを戻せるかという相談かもしれない。うん、それだ。ショックだけど、大丈夫。ナルトのためだもん。覚悟を決めた私は紅茶をナルトの元へ運ぶ。

「はい。熱いから気をつけなさいよ」
「ありがとうってばよ」

私はナルトの隣に座り、紅茶を一口飲む。ナルトも同じように飲むと、ゆっくりと話し出す。

「あのさ、実は……ヒナタに振られたんだってばよ」
「そう……」
「もしかして知ってた?」
「ごめんなさい……いのから聞いてたの」
「そっか……」
「えっと、その大丈夫?」
「うん……」
「なら良かった……」
「……」
「……」

無言の時間が流れる。気の利いたことを言えない自分を思わず殴りたくなる。どうしよう、何か話した方がいいのかしら。でも何て……。そんな中、先に口を開いたのはナルトだった。

「……ヒナタに言われたんだってばよ。オレが一番大切な人は誰かって」
「どういう意味? ヒナタじゃないの?」
「オレもそう思っていたんだけど……。ヒナタはオレでも気づかなかったことを気づいていたんだ」
「?」
「オレがサクラちゃんのことをまだ好きなこと。オレの一番大切な人がサクラちゃんだってこと」
「何を言って……」
「好きだ、サクラちゃん。あの時はごめん。もしまだオレの事が好きなら……」
「そんなのヒナタの勘違いに決まってるじゃない」
「勘違いなんかじゃないってばよ。オレも自分でよく考えたけど、やっぱり大切なのは……サクラちゃんなんだってばよ」
「私もナルトの事が今でも好きよ。でも私は……アンタの隣に立つ自信がない」

ナルトはたくましくなった。心も体も。もちろん私も成長したと思う。だけど、根っこの部分は変わっていない。ワガママで自分の事しか考えられない弱虫なまま。本当に自分でも嫌になる。

そんな私の心を見透かしたようにナルトは私の手を取り、真っすぐに見つめて言う。

「オレはそんなサクラちゃんが昔から好きだよ。そのままのサクラちゃんがいいんだ。もしサクラちゃんが自分のことを好きになれないんだったら、俺がその分サクラちゃんを好きになるから、問題ないってばよ。だから、どうか俺と付き合ってほしい」

ナルトの手からはひしひしとその想いが伝わってくる。

「……分かったわ。言っておくけど、私はすごくワガママで重い女なんだから、覚悟しなさいよ」
「任せろってばよ!」

そう言ってナルトは私を強く抱き締める。私もいつのまにか広くなった背中に手をまわした。
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