4.絶望のその先へ

楽園の翼/黒崎真音


「ん……」

サクラの目がゆっくり開いていく。

「……サクラ!?」

俺はサクラを思いっきり抱き締める。

「ちょっと、先生! 痛い!」
「あっ、悪い……」

俺は少しだけ腕の力を弱める。

「良かった、本当に……良かった」
「リンさんは?」
「もういないよ」
「どうして……。それに、私は死んだはずじゃ……」
「分からない。術が不完全だったのかも」
「そんな」
「……このばか野郎!」
「えっ! いきなりなによ」
「なんて無茶をしたんだ! 俺がどんな気持ちで……」
「……それを言うならこっちの台詞よ! 私がせっかく命がけでリンさんに会わせてあげたのに……」
「それでサクラがいなくなったら、元も子もないだろう!」
「そんなことないでしょ! 私よりリンさんがいいくせに!」

涙を浮かべながら、こちらを睨みつける。その表情を見れば、サクラがどれだけ心に傷を負っていたのかが分かる。

「ごめん、サクラ。本当にごめん……」
「本当よ。私がどんな気持ちで……」

サクラは俯く。俺は安心させるように頭を撫でる。

「でも、もういいんだ。サクラだけがいればいいんだ」
「そんなの嘘よ……」
「信じてもらえないかもしれないけど、サクラを失って自分の気持ちに気づいたんだ」
「カカシ先生の気持ち?」
「あぁ、俺はサクラを愛してる」
「信じられない……」

サクラは俺から離れようとするが、俺はそれを許さない。

「もう離さない。あんな思いは2度とごめんだ!」

俺の悲痛な叫びにサクラはしばらく考え込むと、「……それじゃあ、まだ先生の傍にいていいの?」と恐る恐る尋ねる。

「もちろん、いてくれなきゃ困る」と微笑むと、サクラは安心したように涙目で笑う。

「……仕方ないから、一緒にいてあげる」
「ありがとう、サクラ。これからもどうか一緒に……」

俺は初めて自分からサクラにキスをした。

【蘇生END】
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