4.絶望のその先へ
甲賀忍法帖/陰陽座
どれぐらいそうしていただろう。
いつのまにか夜になっており、いくつかの星が瞬いている。
俺はサクラの亡骸を抱えたまま、湖の中央に向かって歩く。水中を歩いているため、当たり前だが一歩一歩が重い。胸までつかるぐらいの深さのところに辿りつくと、俺はヒモと一本の短刀を取り出す。
ヒモで俺とサクラの手を強く結ぶ。2度と離れることがないように。次に、サクラを抱えたまま短刀で器用に自分の胸をさした。
サクラは命をかけて俺の願いを叶えてくれた。今度は俺が命をかけてサクラの願いを叶える番だ。
俺は力を失い、湖に体が倒れる。どんどんと湖の奥深くへサクラと一緒に沈んでいく。薄れていく意識の中、この湖のほとりでサクラと過ごした時を思い出していた。
今日と同じような星空で、俺達はそれをただぼんやりと眺めていた。すると、一筋の流れ星が俺達の前を通り過ぎる。
「あっ、流れ星。お願い事しなきゃ」
サクラはそう言って手を合わせる。
「何を願ったの?」
「先生とずっと一緒にいれますように! 先生は願い事ってある?」
「特にないかな。願っても叶わない事が多いし……」
「そっか……。でも、私の願いは叶えてくれる?」
「うーん。そうしてあげたいけど、忍である以上約束はできないかな」
「そうだよね……」
サクラは一瞬悲しそうな表情をしたが、俺に気を遣い、その後は何事もなかったかのように別の話題を話し始める。サクラはきっと嘘でも一緒にいるって言ってほしかったんだ思うが、俺はあえて言わなかった。たぶんサクラもそれに気づいていたんだろう。
でも、あの時に言わなかった言葉。いまなら自信を持って言えるよ。
「サクラ。ずっと一緒にいるからね」
そこで俺の意識はついに途切れた。
【心中END】
どれぐらいそうしていただろう。
いつのまにか夜になっており、いくつかの星が瞬いている。
俺はサクラの亡骸を抱えたまま、湖の中央に向かって歩く。水中を歩いているため、当たり前だが一歩一歩が重い。胸までつかるぐらいの深さのところに辿りつくと、俺はヒモと一本の短刀を取り出す。
ヒモで俺とサクラの手を強く結ぶ。2度と離れることがないように。次に、サクラを抱えたまま短刀で器用に自分の胸をさした。
サクラは命をかけて俺の願いを叶えてくれた。今度は俺が命をかけてサクラの願いを叶える番だ。
俺は力を失い、湖に体が倒れる。どんどんと湖の奥深くへサクラと一緒に沈んでいく。薄れていく意識の中、この湖のほとりでサクラと過ごした時を思い出していた。
今日と同じような星空で、俺達はそれをただぼんやりと眺めていた。すると、一筋の流れ星が俺達の前を通り過ぎる。
「あっ、流れ星。お願い事しなきゃ」
サクラはそう言って手を合わせる。
「何を願ったの?」
「先生とずっと一緒にいれますように! 先生は願い事ってある?」
「特にないかな。願っても叶わない事が多いし……」
「そっか……。でも、私の願いは叶えてくれる?」
「うーん。そうしてあげたいけど、忍である以上約束はできないかな」
「そうだよね……」
サクラは一瞬悲しそうな表情をしたが、俺に気を遣い、その後は何事もなかったかのように別の話題を話し始める。サクラはきっと嘘でも一緒にいるって言ってほしかったんだ思うが、俺はあえて言わなかった。たぶんサクラもそれに気づいていたんだろう。
でも、あの時に言わなかった言葉。いまなら自信を持って言えるよ。
「サクラ。ずっと一緒にいるからね」
そこで俺の意識はついに途切れた。
【心中END】