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4.絶望のその先へ

ひぐらしのなく頃に/島みやえい子


しばらくしてサクラの亡骸を湖に沈めた。サクラはどんどんと奥深くに落ちていく。

「さようなら、サクラ」

それからの日々。俺は淡々と任務をこなし、任務がない日は部屋でぼっーと過ごした。何もする気が起きないのだ。だけど、湖には毎日欠かさず通った。花を持って1日の出来事を話し、話終えるとその花を湖に浮かべる。それをひたすら繰り返した。

今日も同じように話し終え、花を浮かべようとすると、水面に写っていた俺の顔がだんだんとサクラの顔になる。驚いて思わず湖から離れると、サクラが水面から現れる。

「どうして……」
「先生に会うために、湖の底から戻ってきたのよ」

サクラは微笑む。その表情は俺の知っているサクラと変わらない。

「サクラ……本当にお前なのか?」
「えぇ、そうよ。久しぶりね、先生。お花、いつもありがとう」
「俺にはこのぐらいしか出来ないから」
「そんなことないわ。いつも先生の話とお花、楽しみにしてたのよ」
「それなら良かった」
「……ねぇ、先生。どうしてそんなに離れてるの? もっとこっちに来て、顔が見たいわ」

俺はサクラの元へ歩き出す。サクラは近くに来た俺に両手を伸ばすと、俺の両頬を包む。

「先生……」
「サクラ……」

俺達はしばらく見つめ合う。頬に触れたサクラの手は冷たかった。

「そんなところにいると寒いだろ。さぁ、俺と帰ろう」
「それは出来ないわ。だって私はもう死んでいるし、この湖から出ることができないの。それに先生が私を沈めたんじゃない」
「それはそうだけど……」
「だからね、先生。先生がこっちに来て。湖の底は暗くて静かで、1人じゃ寂しいの」
「お前……」
「先生、お願い……。先生はいつも私のお願いを聞いてくれたじゃない」

辛そうな表情で言うサクラに戸惑っていると、サクラは俺の顔を引き寄せ、長い口付けをする。それを終えると、俺の耳元へ唇を寄せて妖艶に囁く。

「リンさんと一緒にいないなら、私が先生と一緒にいてもいいよね?」

そう言ってサクラは俺の首に両腕を回したかと思うと、湖へ引き摺り込む。道連れにしようとしてるのが分かったが、俺は抵抗しなかった。

「これでサクラの気が済むのなら」

サクラはすごい力で俺を湖の底へどんどんと引っ張っていく。だんだんと息が苦しくなる。苦しそうな俺を見てサクラが微笑んだかと思うと、再びキスをしてきて、俺はそのまま意識を失った。

【道連END】
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