NARUTO/サスサク 短編
月のしずく/RUI
サクラがこの世を去ってからも毎年続けているお花見。
前までは愛娘も一緒だったが、いまは嫁いでおり、今年は俺一人。
せっかくだからと夜に訪れ、夜桜とともに酒を嗜む。
「……なぁ、サクラ。俺もそろそろそっちに行っていいか?」
誰に言うともなく呟いた瞬間、強い風が吹き、多くの花弁が舞い散り、思わず目を瞑る。風はすぐに収まり、俺は目を開ける。
「久しぶりだね、サスケくん」
目を開いた先には、ずっと会いたかった人物が舞い散る花弁の中に立っていた。
「サクラ……」
俺は幻術かと思い、解こうとしたが効果はない。
「これは術じゃないよ」
サクラが笑って、俺に近づいてくる。そして、俺の頬に手を当てる。
「ねっ? 本物だよ」
「本当にサクラなのか?」
「だからさっきからそう言ってるじゃない」
俺は頬に添えられているサクラの手を掴む。確かにずっと求めていたサクラの温もりだ。
「本当だな」
俺はサクラの手を離し、腕の中にサクラを閉じ込める。
「会いたかった……!」
「私もだよ、サスケくん」
サクラも俺の背中に手をまわす。俺達は今までの時間を埋めるようにしばらくそのままでいた。
「サスケくん、やっぱり歳を重ねてもかっこいいね。シワもいい感じ」
「お前は変わらないな」
サクラは俺の知っているサクラの姿のままだった。
「お前がいなくなって、大変だったんだからな」
「うふふ、そうみたいね。全部じゃないけど、ところどころ見ていたから」
「そうなのか……」
「サスケくんが初めてのおむつ替えに四苦八苦している姿や、反抗期に悩んでいる姿、娘の彼氏に勝負を挑んだりとか……可愛かったな~」
「! 仕方ないだろ、お前がいなかったんだから」
「そうだね、ごめんね。あの子を立派に育て上げてくれてありがとう」
「……里も平和になって、あいつも一人前になり、嫁いでいった。俺の役目はあらかた終わった。そろそろそっちに行ってもいいころだと思うんだが……」
そう言うと、サクラが悲しそうな表情でそれを否定する。
「まだダメよ」
「どうして」
「孫ができるかもしれないでしょ。可愛い孫、見たくないの? それに、もしかしたら里に再び脅威が訪れるかもしれない。その時にサスケくんがいないと……」
「それは見てみたいが……いつになるか分からないだろ。それに里には俺がいなくてもナルトがいるし、次世代も育ってきている」
「ダメったらダメ! ヨボヨボのおじいちゃんになるまで、こっちに来るのを認めないわ! 私がここに来た理由はそれを伝えるため」
「サクラ……」
「サスケくん、もうちょっとだけ頑張って。私はいつまでも待ってるから。待つのが得意なのは知ってるでしょ?」
「そうだな……お前のしつこさはもう十分知ってる」
「しつこいってひどーい……愛が深いって言ってほしいな」
昔みたいなやり取りに俺達は微笑み合う。
「とにかくサスケくんはもう少し後でこっちに来てね!」
「……あぁ、分かった」
「約束よ! ……それじゃあ、そろそろ時間みたいだからいくね」
「!? もう行くのか?」
「うん。サスケくんに会えて嬉しかったよ」
「俺も会えて良かった」
俺はサクラにキスをすると、サクラは照れくさそうに笑う。
「えへへ、嬉しいな」
「そんな顔しないでくれ。離しがたくなる」
「もうっ! サスケくんったら……」
サクラは俺から少し離れると、「また今度ね」と俺のおでこに指でトンと当てる。
「それは!?」
驚いた瞬間、また風が強く吹き、桜の花弁があたりを覆いつくす。花弁が舞うのが収まった後、すでにサクラの姿はなかった。
「……覚えてろよ」
俺は残っていた酒を飲み干し、次サクラに会った時にどう仕返しするかを考えながら、夜桜を見上げた。
サクラがこの世を去ってからも毎年続けているお花見。
前までは愛娘も一緒だったが、いまは嫁いでおり、今年は俺一人。
せっかくだからと夜に訪れ、夜桜とともに酒を嗜む。
「……なぁ、サクラ。俺もそろそろそっちに行っていいか?」
誰に言うともなく呟いた瞬間、強い風が吹き、多くの花弁が舞い散り、思わず目を瞑る。風はすぐに収まり、俺は目を開ける。
「久しぶりだね、サスケくん」
目を開いた先には、ずっと会いたかった人物が舞い散る花弁の中に立っていた。
「サクラ……」
俺は幻術かと思い、解こうとしたが効果はない。
「これは術じゃないよ」
サクラが笑って、俺に近づいてくる。そして、俺の頬に手を当てる。
「ねっ? 本物だよ」
「本当にサクラなのか?」
「だからさっきからそう言ってるじゃない」
俺は頬に添えられているサクラの手を掴む。確かにずっと求めていたサクラの温もりだ。
「本当だな」
俺はサクラの手を離し、腕の中にサクラを閉じ込める。
「会いたかった……!」
「私もだよ、サスケくん」
サクラも俺の背中に手をまわす。俺達は今までの時間を埋めるようにしばらくそのままでいた。
「サスケくん、やっぱり歳を重ねてもかっこいいね。シワもいい感じ」
「お前は変わらないな」
サクラは俺の知っているサクラの姿のままだった。
「お前がいなくなって、大変だったんだからな」
「うふふ、そうみたいね。全部じゃないけど、ところどころ見ていたから」
「そうなのか……」
「サスケくんが初めてのおむつ替えに四苦八苦している姿や、反抗期に悩んでいる姿、娘の彼氏に勝負を挑んだりとか……可愛かったな~」
「! 仕方ないだろ、お前がいなかったんだから」
「そうだね、ごめんね。あの子を立派に育て上げてくれてありがとう」
「……里も平和になって、あいつも一人前になり、嫁いでいった。俺の役目はあらかた終わった。そろそろそっちに行ってもいいころだと思うんだが……」
そう言うと、サクラが悲しそうな表情でそれを否定する。
「まだダメよ」
「どうして」
「孫ができるかもしれないでしょ。可愛い孫、見たくないの? それに、もしかしたら里に再び脅威が訪れるかもしれない。その時にサスケくんがいないと……」
「それは見てみたいが……いつになるか分からないだろ。それに里には俺がいなくてもナルトがいるし、次世代も育ってきている」
「ダメったらダメ! ヨボヨボのおじいちゃんになるまで、こっちに来るのを認めないわ! 私がここに来た理由はそれを伝えるため」
「サクラ……」
「サスケくん、もうちょっとだけ頑張って。私はいつまでも待ってるから。待つのが得意なのは知ってるでしょ?」
「そうだな……お前のしつこさはもう十分知ってる」
「しつこいってひどーい……愛が深いって言ってほしいな」
昔みたいなやり取りに俺達は微笑み合う。
「とにかくサスケくんはもう少し後でこっちに来てね!」
「……あぁ、分かった」
「約束よ! ……それじゃあ、そろそろ時間みたいだからいくね」
「!? もう行くのか?」
「うん。サスケくんに会えて嬉しかったよ」
「俺も会えて良かった」
俺はサクラにキスをすると、サクラは照れくさそうに笑う。
「えへへ、嬉しいな」
「そんな顔しないでくれ。離しがたくなる」
「もうっ! サスケくんったら……」
サクラは俺から少し離れると、「また今度ね」と俺のおでこに指でトンと当てる。
「それは!?」
驚いた瞬間、また風が強く吹き、桜の花弁があたりを覆いつくす。花弁が舞うのが収まった後、すでにサクラの姿はなかった。
「……覚えてろよ」
俺は残っていた酒を飲み干し、次サクラに会った時にどう仕返しするかを考えながら、夜桜を見上げた。
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