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NARUTO/サスサク 短編

なでしこ桜/和楽器バンド


風が吹き桜の花びらが舞い散る中、サスケは大きな桜の下で、酒を飲んでいた。

「サスケーーー!!! やっと見つけたってばよ!」
「ナルトか。よくここが分かったな」
「里中走り回ったからな」
「それより静かにしてくれ。こいつが起きる」

サスケの視線を辿ると、膝の上で気持ち良さそうに寝ている女の子が目に入る。サスケは愛おしそうな目つきをしながらその子の髪を撫でている。

「大きくなったな~」
「本当にな。よくここまで育ってくれた」
「最初の頃のサスケは見てて面白かったなー。てんやわんやでヒナタに泣きついてきたもんな」
「うるせぇ。泣いてはいなかっただろう。育て方を教わりにいっただけだ。赤子の世話をしたことがないんだから仕方ないだろ」
「でもよー」

サスケにギロリと、睨まれる。
オレはそれを受け流し、満開に咲く桜を見上げる。

「サクラちゃんがいなくなってもう6年か……」
「もうそんなになるのか。こいつの面倒をみてると時が経つのはあっという間だな」
「これからすぐにもっと大きくなってお嫁にいっちゃうってばよ」
「こいつは俺とサクラの宝だ。そう簡単に嫁にやるか」
「でも女の子は大人になるのが早いって言うし」
「それ以上言うな」
「分かったから! 写輪眼しまってくれ!!」
「ふんっ」

サクラちゃんはサスケの膝で眠る女の子を産むと同時に、この世を去った。最初はどうなるかと思ったけど、サスケは周りの力を借りながらしっかりとこの子を育て上げた。

「なぁ、サスケ。サクラちゃんに会いたいか?」
「会いたいに決まってるだろう。サクラを忘れたことなど一度もない」
「だよな。俺も会いたいなー」

しばらく沈黙が流れる。でもその沈黙はどこか心地よかった。

「……それにしてもこんな綺麗な場所、よく見つけたな。探すのに苦労したってばよ」
「最初はサクラが見つけてきたんだ。絶景の花見スポットがあるって。誰もいないから俺も気に入ると思うって……」

サスケは懐かしそうに語る。

「それからこの場所は俺とサクラのお気に入りの場所になった。そして約束もした。ここで毎年花見をしようと」
「それで今お花見をしてるってわけか」
「そうだ。この場所を教えるのはこいつだけにと思ったんだが……まさかお前にバレるとは。騒がしくなるな」
「別にいいじゃんかよー。サクラちゃんも、賑やかな方がいいって言うと思うってばよ」
「どうだかな。それより何の用だ?」
「あっ! そうだった! ヒナタが実家から大量に食材をもらったらしくて、サスケたちにその食材を分けたいのと、良かったら一緒に飯もどうだって言うのを伝えにきたんだってばよ」
「それは助かる」
「えへへ、それじゃあさっそく行くってばよ!」
「あぁ。おい、そろそろ起きろ」

サスケが女の子の肩をゆする。

「んっ……パパ?」
「今日はナルトの家でご飯食べるぞ」
「デザートにはあんみつもあるってばよ!」
「えっ、あんみつ!? 食べる! パパ、早く行こう!!」

そう言って女の子はすぐさま起き上がり、サスケの手を引っ張る。
サスケは少し呆れながらもそれについていく。

俺はその光景が昔のサクラちゃんとサスケに見えて、懐かしい気持ちになった。

「ナルトも早く行くわよー!」

女の子が振り返り、俺を呼ぶ。サクラちゃんそっくりの行動と言動に一瞬泣きそうになったが、それを無理矢理引っ込め、俺はサスケたちの後を追った。

「いま行くってばよー!」
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